葉桜が来た夏5を読んだ
著者は夏海公司。
イラストは森井しづき。
サブタイトルは「オラトリオ」。
シリーズの第五巻であり、そして最終巻だ。
始まりは、琵琶湖の中心に最長部数キロという巨大な十字架が落着したこと。
それを移民船としていた異星人との間で戦争が起こり、多くの人が死に、異星人が殺されていった。
とどまるところを知らない悲壮と憎悪の連鎖はしかし、多くの人々の願いと努力によって打ち砕かれ、最終的には講和が成されることとなる。
それから十二年。
一時はたしかにあったはずの平和を願う声は隅へと追いやられ、人類と異星人の両者は再び緊迫した状況を迎えていた。
タイムリミットは72時間。それを過ぎれば全面戦争の幕開けとなる。
国が焦土と化すか、それとも十字架が灰燼に帰すか。文字通りの総力戦、殲滅戦争。
それを止めるために、主人公とヒロインが奔走する。
さて、シリーズの総評を先に書こうと思う。
一言で言って、最高のシリーズだった。
素晴らしい作品をリアルタイムで追い、その結末を見届けられたことを、ただただ幸運に思う。
面白かった。
本当に面白かった。
地味でぱっとしない、いわゆる華のない作風ではあるけれど、でもこれにしかない、これでしか味わえないという輝きを秘めた作品でもあった。
それに引きずられて五冊を追ってきて、その個々、すべてで存分に楽しませてもらった。
必要なことだけを語り、それ以外を語らず、およそ理想的な結末を迎えたと思う。
恐らく今後、最低でも一年は、私にとってこれを超えるシリーズは出てこないだろう。
そう思えるくらいにこの作品は印象深く、それだけに、続きがもう読めないということが惜しまれてならない。
矛盾していると思いながらもそのように考えてしまうのは、このシリーズがそれほど私にとって素晴らしいものだったからである。
この作品と出会わせてくれたことを、著者氏には感謝している。
だから次のシリーズも、きっと手に取ろうと思う。
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