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ゆるゆりの1話を見た

同名マンガのアニメ化。
原作既読。

1話目としてはまずまずといったところ。
メインキャラ4人に新人声優を起用することについて懸念があったのだけれど、思ったほどには悪くなかった。
それなりに演技のできる声優さんであることは、事前に公開されていたPVによってわかってはいたんだけど、それを裏打ちする本編だったと言える。

ただ、やはり細かい部分で甘いと感じることはあった。
たとえばBパートでの笑いの演技。あれでは涙を流して笑うほどおもしろいと思っているようには聞こえない。
台詞を喋るだけにとどまらず、微細な感情表現が必要とされる場面においては、やはり技術と経験が物を言うようだ。

内容についても、Bパートでは少しダレてしまった感がある。
これは声優さんの演技云々はあまり関係がなく、テンポの悪さによるところが恐らくは大きい。

原作がそもそもシュールなギャグを持ち味のひとつとする作風なので、間の取り方というのがかなり大事になってくる。
加えて演出が地味めであるため、テンポの悪さをそれで補完するということができない。
結果として盛り上がりに欠ける場面が淡々と続くという、見る人によってはつらいと感じるだろう内容になってしまっていた。

ただしそれはあくまでBパートだけの話で、Aパートは普通によかった。
この違いはなにによるものなのかと考えると、場面転換の頻度に根ざしているのではないかという予想に辿り着く。
Bパートは茶道部部室からほとんど動かなかったので、そのせいで淡々とした印象を見る者に与えてしまうのではないかということだ。
この作品は茶道部部室で繰り広げられるエピソードが比較的多く、特に序盤はその傾向が強いため、しばらくはそうした印象を感じる機会も多くなってしまうかもしれない。

一方で、作画はかなりよかった。
失礼ながらこの点にはあまり関心を向けておらず、放送前のキービジュアルを見ても悪くないなと感じる程度であったので、ここまでいいというのはちょっと驚きだった。
原作の絵柄を高いレベルで再現しているし、キャラもよく動いている。
これがこのまま続いてくれるのであれば、作画に関しては何の心配もいらないと言えそうだ。

以上の事柄を総合して考えると、1話目にしてはまずまずという評価になる。
期待値を大幅に越えてはいないけど、下回ってもいないという印象だ。
今後も楽しんで見ていけそうである。


ゆるゆり 1 (IDコミックス 百合姫コミックス)
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テーマ : ゆるゆり
ジャンル : アニメ・コミック

ロウきゅーぶ!の1話を見た

同名ラノベのアニメ化作品。
その1話目。

製作スタッフの割り切りようがすげえ。
どういう路線でいくのがベストかということをよく理解した上で、根元の方から作品作りをしているという印象。
こういうのは中途半端が一番よくないので、単一路線を全力疾走しようという姿勢には好感が持てる。

しかしロリだ。
されどロリだ。
どこかの都知事に喧嘩を売っているとしか思えないような作風は、原作を忠実に再現した結果なのでアニメスタッフは悪くない。
悪いのは原作者と担当編集さんです。いいぞもっとやれ。

そういう意味で、丁寧なアニメ化であると感じた第1話だった。
原作を再現するにとどまらず、「売り」の部分を強調することまでしている。

作画のレベルも高い。
ボールやキャラの動きにちゃんと慣性が効いているし、そのおかげで智花の抜きん出た実力が引き立てられてもいる。
柔軟やってる場面での足の描き方などにもこだわりが感じられる。

序盤の山場となるだろうバスケのシーンが、2話のBパートか3話あたりでくるはずなのだが、個人的に一番期待していて、かつ心配なのがその部分のクオリティだ。
けれどこの丁寧な作画が続いてくれるのであれば、心配は杞憂に終わるだろう。
2話以降にも期待してよさそうだ。


ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

テーマ : ロウきゅーぶ!
ジャンル : アニメ・コミック

バカとテストと召喚獣にっ!の1話を見た

ほぼ原作通りのエピソード。
若干ながら端折ってはあるけど余裕で許容範囲内だ。
むしろそれによってテンポが加速されていた感もあるので、アニメならではの良質な味付けと言えるだろう。

そのくらいにテンポのいい30分だった。
ダレるところが一瞬たりともない。ギャグアニメの構成として、およそ理想的なものだったと思う。
これならアニメから入った人だけでなく、原作信者をも満足させるに足るはずだ。

女性化した秀吉のビジュアルは、そこはかとない背徳感があってよろしいと思う。
あんなのは邪道だという向きもあるだろうけれど、個人的にはTSもいけるクチなのでどんと来いである。

ただ、ムッツリーニの女装姿はぜひ正面から見せてほしかった…!
そこだけが唯一の不満である。

でも二期の範囲だと恐らく7.5巻のエピソードもやるだろうから、そうなるとアキちゃんの艶姿を拝見できるということになる。
アキちゃんというのは7.5巻の表紙を飾っている、作中でも屈指のかわいさを誇るキャラクターの名前だ。
その子に想いを寄せているキャラクターも複数いるほどで、原作読者からの人気も少なからず集めている。
アニメでどのように描かれるのか、今から楽しみでならない。


バカとテストと召喚獣7.5 (ファミ通文庫)

テーマ : バカとテストと召喚獣
ジャンル : アニメ・コミック

うさぎドロップの1話を見た

あらすじを読んで期待した通りのものを、実際の放送で見せてくれたという感じ。
雰囲気がすごくいい。
これだよこういうものを私は求めていたんだよ。

原作はりんの成長過程を描いていく物語であるらしいので、アニメでも話数が進むにしたがい大きくなっていくのかもしれない。
この作品のテーマが彼女の成長にあるだろうことを考えると、経年による変化を描写していくのは常道にして必須と言える構成だ。
ただ、作品のキモとなるのは恐らくそれだけではない。

PVにおいて、主人公である大吉はこのように独白していた。

「俺がりんを育てているのか、俺がりんに育てられているのか。ちょいちょい、わからなくなる」

このうさぎドロップという作品は、りんの成長物語であると同時に、“親”としての自覚を得ていく大吉の物語でもあるのだろう。
率直に言って、そういう話が私は大好きだ。
だからあらすじやPVを見て期待したし、放送を心待ちにもしていた。
その思いに実際の放送によって見事応えてもらえたという印象である。

ネットでの配信が早いので、見逃したり撮り逃したりしてもすぐに挽回できる。ここもまた喜ばしいポイントのひとつと言えるだろう。
2話の放送が待ち遠しくてならない。


うさぎドロップ - 動画配信サービス「フジテレビ On Demand」
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/anime/ser5151/


うさぎドロップ (1) (FC (380))

テーマ : うさぎドロップ
ジャンル : アニメ・コミック

Steins;Gateの12話を見た

サブタイトルは「静止限界のドグマ」。

タイムリープマシンの革新性は、ふたつのマイクロブラックホールを利用することにある。
より正確に言うなら、「2箇所」のMBHだ。

前回ダルと紅莉栖が話していたが、ラボとSERNとのあいだは直通と呼べる回線状況にいつのまにかなっており、これによってLHCの直接操作さえも可能という驚くべき環境が出来上がっている。
この環境がどのようにして形作られたのか、それについて語る言葉はない。
ここで大事なのは、オカリンたちが任意にLHCを使用できるようになったという事実だ。

アニメでは明言されていないが、ラボとSERNとのあいだには専用回線が敷かれているという設定になっている。
これについての説明はアニメでは省かれており、次週以降も恐らくされないままだろう。
さて、この専用というのは文字通りの意味であり、あいだにはほかの経路を一切挟んでいない。完全なる直通回線であるというわけだ。
さらにこの回線は、通常一系統で十分事足りるはずの光ケーブルを少なくとも数十系統は束ねていると予想される構造になっており、凄まじい通信速度を実測値にて叩き出している。理論値に至っては推測すら不可能という冗談のような有様だ。

誰が何のためにこのような回線をしつらえたのかはわからない。
わからないがしかし、前述の通り重要なのは、それをオカリンたちが利用できるという事実だ。

ダルによるLHCの掌握。
専用回線による計測不可能なほどの超高速通信。
以上2点をもって、タイムリープマシンが現実のものとなるお膳立てが整ったことになる。

それほどの超高速回線であれば、テラバイト級のデータであっても、20ms以内というごく短い時間で送信することができる。
戻ってきたときにはマイクロブラックホールによる圧縮を行なったあとだから、受信にかかる時間は実質ゼロのようなものだ。
LHCのMBHを通過した記憶データは自動的に解凍を始めてしまうが、その前に電話レンジ(仮)により生成されたカー・ブラックホールを36バイト以下の情報量のまま通過することができるなら、記憶を過去に送ることも可能となる。
これが、タイムリープマシンの理屈である。

「ブラックホールによる情報の圧縮」。
そんなことが本当に可能なのかと疑問を抱く人もあるだろう。
結論を先に言えば、答えは「わからない」。なぜなら誰も試したことがないからだ。

納得しようと試みる上でまず障害となるのが、情報というある種概念的な存在を、ブラックホールという物理現象によって圧縮するという行程だ。
ここに違和感を持つ人は多いのではないかと思う。

周知の通りにデータの圧縮には一定の限界がある。3.24テラバイトのデータを圧縮したからといって36バイト以内に収めるのは容易ならざるどころか不可能に近いし、そもそもデジタルデータをアナログな物理現象を介して圧縮するという流れそのものをおかしいと見る人もいるだろう。

そういった場合は、見方を変えると案外すっきりするかもしれない。
たとえば、圧縮されるのは「情報」ではなく、それを含んだ「電波」であると考えるのだ。

電波とは電磁波である。
電磁波とはこの世界に普遍的に存在し、宇宙を構成する物理的な要素だ。
PCの上であれこれすべきものではなく、現実世界に存在するアナログな現象なのだ。
であるならば、同じく物理的でアナログな存在であるブラックホールによって“小さく”できない道理はない。
こう考えると違和感をある程度払拭できるかもしれない。

まあ何のかんのと理屈をこねても、実際に作中で理論として提唱されている以上、「可能性はある」と見るしかないだろう。
実際に可能であるかどうかは、文字通り神のみぞ知る。次週をお楽しみにするしかないというわけだ。

小難しい話はこのあたりで切り上げるとして、今回の大きな見どころについて触れておきたいと思う。
該当する箇所はふたつあるけれど、まずは助手から。

めっちゃかわいかった!
助手がめっちゃかわいかった!!

大事なことなので(略
もうねほんとびっくりした。
あまりのかわいさに死ぬかと思った。
あのかわいらしさは動きがあって初めて生じるものだ。ゲームだけでは絶対に表現しきれなかっただろう部分だ。
しかもそれを素晴らしく良い作画でやってくれた。止め絵だけでなく動きも完璧だった。

アニメスタッフまじグッジョブと絶賛せざるを得ない。
いやほんと、よくやってくれました。正直感動したよ。

そんなサプライズがありつつも、展開は予定通りに進んでしまうわけで。
まゆりがああなってしまうことは、原作プレイヤーにとっては既知の事実であったわけだけれど、だからといって衝撃を受けないなんてことはない。あの展開を見ることには応分の傷みが伴ってしまう。恐らくファンの皆がそうだろうと思う。

その上でこの先の展開にどのような感情を抱いているか。それについては今は語らない。
ただ、最後まで見続けようという覚悟は既に固めている。それだけは明言しておきたい。


LINK

テーマ : Steins;Gate/シュタインズゲート
ジャンル : アニメ・コミック

アニメの話いろいろ 6/12

・[うさぎドロップ] Usagi Drop PV



設定とヒロインの少女のビジュアルに心動かされたので、そこはかとなく気になっていた作品。
PVが公開されていたので見てみたのだが、これがどうして雰囲気がいい。
キャラもかわいい。りんちゃんマジ天使。

設定は案外重いのだけれど、それを感じさせないほんわかした作風のようだ。
本放送にも期待したい。

公式サイト
http://www.usagi-drop.tv/




・TVアニメ『ロウきゅーぶ!』 PV



キャラのロリ度がすごい。
小学生のキャラはもちろんのこととして、男である主人公や20歳を越えているはずのキャラまで幼く見える。
ここまでロリロリしいとは思っていなかったので、正直驚いた。
でも原作の挿絵を忠実に再現すれば、こうなるのは必然だったのかもしれない。
個人的にはミホ姉(猫耳生えてた子)と葵(ポニテの子)がかわいかったので、それで十分にして十全である。




・C3 -シーキューブ- PV1



戦闘シーンの作画が結構いい。
原作は2巻あたりまでしか読んでいないのだが、これだけ動くとなればアニメの方にも興味が湧いてくる。

話は変わるが本アニメ原作者の別作品に「ぼくと魔女式アポカリプス」というものがあり、私はこれを楽しんで読んでいたのだが、3巻まで出たところで以降の音沙汰がなくなった。2007年6月のことである。

順当に考えるなら打ち切りを喰らったということなのだろう。
実際、3巻のあとがきにはそれを匂わせる一文があった。
その作品は高濃度の厨二設定を多用した狂的な作風で、個人的にはかなり好きであったのだが、それを差し置いて別の作品がこうしてアニメ化までされているというのは正直複雑な気分だ。
やっかむというほどではないし、そんな権利が一読者にあるわけもないのだけれど、いつか魔女カリの方にも日の当たるときが訪れはしないかとつい思ってしまう。
そんな余談。


ぼくと魔女式アポカリプス (電撃文庫)

テーマ : 2011年07月~
ジャンル : アニメ・コミック

2011年夏季アニメの話

2011年夏季放送開始の新作アニメ一覧
http://gigazine.net/news/20110604_anime_2011summer/



視聴が確定しているのは、バカテス、ゆるゆり、ロウきゅーぶ。
あとは評判を見つつ取捨選択というかたちになると思われる。



「ゆるゆり」は、百合の専門誌である百合姫という雑誌に掲載されている作品だ。
つまりカテゴリーとしては百合マンガに属するわけだが、百合要素は控えめなのでそこに期待すると拍子抜けするかもしれない。
翻せばガチの百合好きでなくとも楽しめる作風ということなので、アニメ化するには適しているとも言えるだろう。

今期の作品では、Aちゃんねるや日常が比較的近い雰囲気を持っている。
Aちゃんねるの登場人物を中学生にして、シュールなギャグを増やしてやれば、ゆるゆりに近似のアニメが出来上がるはずだ。
ゆえにAちゃんねるや日常を楽しめている人ならば、ゆるゆりもまた楽しむことができるだろう。



「ロウきゅーぶ!」は電撃文庫より発刊されている同名ラノベのアニメ化だ。
タイトルの通りに籠球すなわちバスケットボールを話の根幹とした作品なのだが、識者によって本作が語られるときはそのスポーツ要素ではなく、決まってヒロインたちに言及される。
なぜかというとこの作品、ヒロインのほとんどが小学生なのだ。今のご時世なにかとうるさく言われがちだが、作者にとっては何処吹く風。己の道をひた走っている。

しかしながらこの作品がおもしろいのは、そのような設定を持ちつつもしっかりスポーツしているところだ。
バスケに関する設定はもちろん、試合や練習の描写もわりに本格的。筆者がバスケ好きというだけはある。

そんなわけで、そのバスケ要素をどれだけしっかり盛り込んでいけるか。
そしてヒロインたちをどれだけかわいく描いていけるか。
この二点がアニメ版の評価を分けることになるだろう。
うんヒロインのかわいさは重要ですよ。せっかくの小学生なのだしね。



バカテスについては二期なので言うことは特になし。
個人的には秀吉がかわいければ何の文句もありません。


バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

テーマ : 2011年07月~
ジャンル : アニメ・コミック

Steins;Gateの9話を見た

サブタイトルは、「幻相のホメオスタシス」。

今回は、全体的によくまとまっていたと思う。
原作をただなぞるだけではなく、アニメならではのよさがうまく発揮されていた。

オカリンと助手のテンポのいいやりとりもそうだし、まゆしぃやルカ子の制服姿もそうである。
まゆしぃたちの制服姿は、実は原作には出てこない。夏休み期間中を話の舞台としているからだ。
なのでアニメでのお披露目は嬉しいサプライズだった。

しかし、まさかセーラー服であるとは思っていなかった。
意外というほどではないんだけど、ブレザーであるとか、もしくはオリジナルに近い特徴的なものだろうと考えていたので、オーソドックスなセーラー服だったことに新鮮さを覚えてしまった。
おそらくは、助手が普段より改造制服を身にまとっていることが、そのあたりの誤認を生じさせる原因になっているのだろうと思う。

助手といえば、今回で早くもねらーであることが発覚してしまった。
今までにもそれを匂わせるような発言を何度かしていたので今さらといえばそうなのだが、原作だともう少しあとの方でカミングアウトすることになるのだ。
そのときのオカリンと助手とのやりとりがかなりおもしろいものであり、そしてその一番肝心な部分は、アニメではまだ触れられていない。
よってこのネタは、のちのちまたやることになるのだろう。
そのときが楽しみである。

アニメ独自の展開というと、今回は萌郁さんの出番も少しだけあった。
この出番の挿入は理に適っていると思う。あとから見返したときに、因果関係がどのように変わっているのかわかりやすくなるからだ。
ポイントは、「桐生萌郁がIBN5100を探している」ということ。
小さなことだが、今後の展開を見ていく上で大切な鍵となるはずだ。

その一方で、アニメ独自の展開による弊害も、今回は生まれてしまっていたように思う。
何のことかというと、まさにそのIBN5100の件だ。
オカリンたちがSERNの行なっている極秘研究に迫るまでには、ダルがSERNのネットワークにハッキングし、研究員のメールデータを盗み読み、彼らの陰謀の一端を掴むという流れをとっている。
ここまでは原作も同じだ。問題は、ここからである。

アニメではその後、IBN5100を使ってZプログラムの詳細やゼリーマンズレポートを閲覧している。少なくとも、そう解釈できる描写を用いている。
そして今回、IBN5100がラボから消えてしまった。正確には、オカリンが柳林神社からIBN5100を借り受けてきたという事実が、Dメールによる過去改変によって“なかったこと”になってしまった。
つまり、アニメにおけるラボメンたちは、「オカリン以外はゼリーマンズレポートを閲覧していない」と解釈できる状況になってしまっているのである。

SERNの陰謀の真髄に迫ることは、その後の話を形作る上でとても重要なファクターだ。
なぜなら、知らなければ動機が発生しない。
動機がなければ、行動にも繋がらない。
動機がないにもかかわらず行動に移ってしまったら、それは見ている者にとっての矛盾となる。
すなわちその矛盾こそが、前述の弊害であるわけだ。

ここまでの展開でも、この作品における時系列の複雑さは見えてきているのではないかと思う。
そこが魅力の一端でもあるのだが、同時に変えることの難しさも生んでしまっている。ほんのわずかな改変が、因果関係上の矛盾や、そう見えてしまうような状況を発生させてしまうからだ。
つくづくスタッフ泣かせな作品だと思う。

だがそれでも、アニメのスタッフ諸氏は本当によくやってくれている。
この9話を見て、心からそう思った。
根拠はラストの演出だ。

率直に言おう。ぞくぞくした。
ああなることを知っていたにもかかわらず、高揚を覚えずにはいられなかった。

すばらしい演出だったと思う。
締めくくりをうまく飾ることには元来長けている作品だったけれど、その中でも今回は飛び抜けて精良だった。
鶏群一鶴というと語弊があるが、印象としてはそれに近いものがあったくらいだ。

ストーリーはこれから、混迷の度合いをさらに深めていくことになる。
雑誌によって公開されたあらすじでは、おそらく12話で最初の頂に達するはずだ。
それ以後も、山と谷をひたすら昇降することになるだろう。
翻弄されることがわかっていても、心待ちにせずにはいられない。


Steins;Gate(限定版) 特典 電話レンジ(仮)マスコット付ストラップ付き

テーマ : Steins;Gate
ジャンル : アニメ・コミック

アスタロッテのおもちゃ!の4話を見た

このアニメでは、原作において意図してかせずにかエッジの効いていたキャラクターの性格を、できうるかぎり角のとれたものにしている。
端的に言えば、キャラが皆丸くなっているのだ。

原作のキャラクターが、アニメと比べて刺々しかったりするわけではない。
ただ、根本的な価値観の違いによって、言動が常識外れに見えてしまうことがままあるのだ。
そのような尖って見える言動の数々を、アニメではできるだけ抑えるようにしている──見ていると、そんな風に感じられる。

常識外れに見える言動は、時として視聴者に悪感情を抱かせる。
前提となる価値観に差があることは、この場合あまり考慮されない。現実側の常識の方が、圧倒的に重視されるからだ。
よって間違っているのはキャラの方、ひいては作品の方…ということにされてしまう。

そうした流れを避けるために、キャラの言動へ補正を加えることを、おそらくはしているのだろう。
また、倫理的に健全な方向へという狙いもあるのかもしれない。
そうすることで、あの平和的な世界観へのキャラクターの融和を、より高いレベルで実現させようという狙いだ。
もちろんそこには、一部の視聴者からの“お叱り”を避けたいという意図もあるだろう。
要するに、アニメは原作に比べてより健全な内容になりつつあるということだ。

ここで、ひとつ気付いたことがある。
私はなにかの作品に触れるとき、もっとも重視するのは常にストーリーだ。
マンガでもアニメでもゲームでも小説でも映画でも、ストーリー性を持つあらゆるエンターテイメントでこのスタンスは変わらない。
他の部分、音楽やビジュアル、小説であれば文章力描写力といった要素によって総合得点が上下することはあるものの、評価の骨としているのはいつもストーリーである。
だからストーリーのよい作品であれば他が多少悪くとも評価するし、ほかの要素がどれだけよくともストーリーが駄目なら好意的には見られない。
今までは、そう考えていた。

けれどここにきて、良質なキャラクターが良質なストーリーの代替品になりうる可能性に気がついた。
代替品という表現は、正確に言うと少し違う。キャラクターとストーリーは、密接に絡み合ったものであるからだ。
よって正しくは、良質なキャラクターはストーリーの後押しをし、逆もまた然りというような表現である。

このアニメのストーリーは、有り体に言って平坦だ。
大きな山がなく、深き谷もない。
道程はなだらかで、起伏に富んだ要素はない。
そのことを責めるつもりはない。原作からしてそういう物語であるし、そもそも目指していると思われるのがそういう方向だからだ。

だが、そうした製作上の姿勢と、視聴者の反応は必ずしも比例しない。
起伏に乏しい物語をつまらないと切って捨てる人々は当然のようにいる。そして、そうした人々を責めることは誰にもできない。
好きでなければ、楽しめなければ切り捨てられる。それがエンターテイメントの常である。

しかし本作は、そうしたつまらないと切って捨てられかねないストーリーの平坦さを、良質なキャラクターによって補おうとしている。
それも、キャラを原作からそのまま持ってくるのではなく、言動を精査しより好意的に見てもらえるよう調整を加えた上でだ。

そのおかげでこのアニメは、ストーリーに起伏がないにもかかわらず、見て楽しめる作品として仕上がっている。
キャラクターによって、ストーリーが後押しされているのだ。
このことは、本作の大きな特徴と言えるだろう。

視聴者に刮目をうながすキャラ愛に満ちたアニメ。
それがこの「アスタロッテのおもちゃ!」なのである。というのはさすがに無理があるか…

話変わって、この4話でストーリーは大きな転機を迎えた。
原作を知らない人でも、勘のいい人なら事態の複雑さには気付けたことだろう。
この作品の怒濤の展開は、まさにここから始まるのだと言っても違和感なさげだけど、実際はそのようなことにはならない。たぶん。

この作品のなにがいいって、そこがいいのだ。
どれだけ深刻そうな事態になっても、どうにかこうにか、なんとなーくなんとかなってしまう。
ユルいというのとは少し違う。より正鵠を射た言い回しを求めるならば、それは「優しさ」だ。
キャラの大半がいい人であるこの作品は、端々まで優しさに満ちている。
だから、どんな事態に陥ってもなんとかなってしまう。なんとかされてしまう。

この作品の、そういうところが私は好きだ。


ロッテのおもちゃ! 4 (電撃コミックス)

テーマ : アスタロッテのおもちゃ!
ジャンル : アニメ・コミック

Steins;Gateの5話を見た

ゼリーマンズレポートの詳細が明らかとなる回。
パズルのピースが揃ってきて、全体像が見えてきた印象だ。
原作では、おもしろくなってきたのはこのあたりからだったと記憶している。
アニメの方でも緊迫感がいや増してきて、いい感じである。

スポンジによる説明はわかりやすくてよかったと思う。
あれは原作にはない要素だ。

一方で、「ブラックホールを通過したらスカスカになるどころじゃ済まない」と考える人もいるのではないかと思う。
たしかに、ブラックホールの持つ極大の潮汐力にさらされたなら、人体を含むあらゆる物体は素粒子にまで分解されてしまう。“あんな程度”では済まないのだ。
この問題を解決するために、SERNではマイクロブラックホールを電子注入によって制御することを考え、実験を繰り返しているという筋書きである。

MBHがひとつでは、どう制御しようと極小の点に過ぎないし、それ以前に事象の地平面があるから通過することなどできはしない。
ゆえにSERNはMBHをふたつ用意し、それらを連星状に超高速回転させることで、いわゆるカー・ブラックホールと同じ性質のものを作り出そうとしている。
特異点が回転しているブラックホール、つまりカー・ブラックホールは角運動量を持つから、それを増大させることで事象の地平面を剥ぎ取ることができる。
その角運動量の増大に、電子注入を用いるのである。

そうして制御した、超高速で回転しているリング状の特異点を、人が通れるほどの大きさに拡張してやれば、あら不思議。
事象の地平面に捕まることなく、また超重力により素粒子にまで分解されることもなく、過去へと渡れる夢の機構。
因果律を破綻させる悪魔の機械、タイムマシンが完成するというわけだ。

被験者があのような有様になってしまっているのは、電子注入による制御がうまくいかず、超重力による影響をゼロに、あるいは特異点をむき出しにしきれていないためだ。
逆を言うと、完全ではないにしろ、ある程度の制御には成功している。だから、一応とはいえ形状を保ったまま、粉々にされずに過去へと飛べているのだ。

このあたりの理屈については、もし省かれなければ次回あたりに説明されるはず……なのだけれども、今回で中途半端ながらも情報の提示がなされてしまったから、もしかすると説明されないまま先へと進んでしまうかもしれない。
そんなことは、たぶんないとは思うのだけれど……

話変わって、鈴羽について。
彼女の助手に対する理由不明な敵意とか、時折見せる不可解な言動とか。
背景を知らないと奇妙にしか思えない振る舞いだけれども、ああいった言動にも当然ながら理由はある。
ややあからさまなのは、伏線として強く印象づけるという狙いなのだろう。
幾分大袈裟に過ぎるきらいはあるけども、この後の展開を考えると、あのくらいでもちょうどいいのかもしれない。

ジェットコースターに例えるなら、まだ斜面を昇っている段階だ。
昇りきるまでは、あともう少しかかると思われる。
このアニメ版が、下るときにどれほどのスピードを出してくれるのか。
楽しみである。


STEINS;GATE─シュタインズゲート─ 円環連鎖のウロボロス(1) (富士見ドラゴン・ブック)

テーマ : Steins;Gate
ジャンル : アニメ・コミック

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