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バカとテストと召喚獣第12話を見た

サブタイトルは「愛と勇気と俺達の戦いはこれからだ!(仮)」。

第10話の感想でこの作品の悪役が云々という話をしたけど、候補筆頭の根本君が第11話でやられてしまったからか、秀吉の姉こと木下優子がその座に据えられてしまったようだ。
この展開は、正直萎える。

原作ファンだからということも原因としてはあるのだろう。
原作での優子さんは、ちょっと特殊な趣味を持ってはいるものの、悪い人では決してない。
それどころか対外的には極力いい人を演じているという設定なので、まわりから悪感情を持たれるような言動はそうそうしないはずなのだ。
この演技に長じているというあたりはやはり秀吉の姉なのだなと思わされるが、それはともかくとして。
悪役でもなんでもなかったキャラが、こうして悪い印象を抱かざるをえない風に変えられてしまっているのは、見ていて心苦しいものがある。

作品に悪役が必要だというのは理屈としてはわかるし、そのこと自体を否定したいわけじゃない。
主人公たちを善と見立てたときに、対立する悪を登場させることは、カタルシスを生み出させるためにもっとも手近で有効な方法だ。
だから多くの物語では、善が悪を、あるいは主人公がライバルを討ち果たすという流れになる。これは物語における常套手段と言ってもいい。

でも、やり方を間違えないでほしいという話なのだ。
今回のエピソードでいうならば、悪役を作る必要は別になかったと思う。
Fクラスが堂々と宣戦布告し、彼らなりの戦い方をしていれば、おのずと展開は似通ったものになっていただろう。
そうすれば、最後の冗談のような大袈裟な状況にもならずに済んだはずだ。

シナリオ全部がだめだったわけじゃなく、策士坂本の本領発揮とか、これまでに張った伏線を消化していく流れとか、そのあたりの描き方はとてもよかったと思う。
ただ、優子さんのこととか、死人が出かねないほどの大惨事とか、そういったところが目につきすぎて、シナリオ全体での評価まで下げてしまっている。

加えて言えば、今回は作画もおかしかった。
この第12話まで、文句のつけようもないくらいに安定した作画を見せてくれていた本作だが、ここにきてついに崩れてしまっていたのだ。
むしろここまで安定していたことがすごいと言えばそうなのかもしれないけど、それに慣れていた身からすると、急にレベルが落ちてしまえばやはりガッカリしてしまう。
シナリオのまずさだけでなく、そうした面でも残念な回だった。

次回では、この下向いた印象をぜひとも払拭してほしいところである。


バカとテストと召喚獣 6.5 (ファミ通文庫)
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テーマ : バカとテストと召喚獣
ジャンル : アニメ・コミック

バカとテストと召喚獣第11話を見た

サブタイトルは「宿敵と恋文と電撃作戦」。

原作一巻の流れをここにきてまた持ってくるようだ。
ということはすなわち、不世出の名軍師、坂本雄二の本領が見られるということでもある。

試召戦争においてのFクラスの戦績は、学力最低ランクの生徒たちばかりが集められているにもかかわらず、決して悪いものではない。
これは、端的に言って異常だ。本来絶対的で覆せないものであるはずの点数が、Fクラスにとってはさしたる意味のないものへと変わってしまう。
そんなことは通常ありえない。点数差はひっくり返せないものだ。10点は1点に勝り、1000点は100点に勝る。それが摂理というものである。
だからFクラスの強さの背景にあるのは、摂理以外のなにか。そういうことになる。

この戦績のよさを裏打ちする要素は幾つか数えあげることができる。
筆頭はやはり、学年次席相当の学力を持つ姫路瑞希の存在だ。
彼女は言ってみれば、途上国が持つ核ミサイルだ。
アニメにおいて、また原作においても、Eクラスとの戦いを制した決定的な要因が彼女の放った一太刀であることを考えると、その影響力の大きさがうかがい知れる。

個人で戦争の趨勢を左右する。
これは数こそ力である現代の戦争とは決して相容れない幻想だが、実際に度外れた戦力を個人が有することで、現実は幻想によって破壊される。
彼女、姫路瑞希がいるからこそ誰であろうとFクラスを軽視できない。
不可能を可能とする、最強の切り札。
ゆえに「核ミサイル」。
それが姫路瑞希という少女なのである。

もちろん姫路さんだけではない。
Fクラスの持つ切り札は、もう一枚あるのだ。
ほかのすべてを投げ打って、ある一教科にのみ極限まで特化した男。
《寡黙なる性識者》、ムッツリーニの異名をとる土屋康太その人である。
あらゆる教科でバカそのものの点数しかとれない彼だが、唯一保健体育でだけは、ほかの誰にも辿り着けない境地に達している。
この「誰にも」というのは、生徒全員という意味ではない。
「教師も含めた校内の全員」である。保体の教師でさえも、ムッツリーニには太刀打ちできないのだ。
この事実は、保体による勝負ならばムッツリーニには誰も勝てないことを指し示している。
出せば必ず勝利をもたらすスペードのエース。
だからこそのもう一枚である。

だが、これだけでは不足だ。
学力に劣るFクラスが格上相手に勝利をおさめるには、姫路さんとムッツリーニの存在だけではまだ足りない。
その不足を補うのが稀代の名役者木下秀吉であり、召喚獣を自由自在に操る主人公吉井明久である。
しかしまだだ。まだ足りない。
Fクラスが勝利を得るために一番必要なカードが、場には未だ出ていない。

各カードを意のままに操りゲームを自ら組み立てていく、魔術師でありゲームマスターでありトリックスターでもある男。
すなわちそれが坂本雄二その人なのである。

どれほど強力な役を手の内に作り上げていようと、それを必要な場面で適切に使うことができなければ何の意味もない。
戦争は一回勝負だ。機会損失などという言葉はない。負けたらその場ですべてが終了である。
だからこそ初めから全力で勝ちにいく。
そのためのあらゆる手段を考え、可能性を考慮し、最適最善で妥協せず、最高の一手を無二のタイミングで指す。
Fクラス代表のその男は、それを苦もなくやってのける。
ゆえに不世出の名軍師。
勝利を呼ぶ影の立て役者。
それが坂本雄二という男なのである。


アニメの内容についても少し。
展開は原作通りだけど、少しテンポが悪い。
しかしそれもAパートまでのこと。
Bパートに入って一気にスパートがかかってきた。
特に明久の奮戦、あれは予想外によかった。
原作をきっちり踏襲しつつ、アニメならではの味付けまで加えてある。
これぞアニメ化と言えるくらいの素晴らしい演出だったと思う。

そしてCパート。
姫路さんと明久、ふたりの物語の区切りであり、新たな始まりでもある一コマ。
雄二の意志の表明と、それを受けて覚悟を固める翔子。
原作とはエピソードの順番が異なっているがゆえに、迎える終わりは多少違ったものになると考えられる。
願わくば、それがよきものであることを。


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ジャンル : アニメ・コミック

バカとテストと召喚獣第10話を見た

サブタイトルは「模試と怪盗とラブレター」。

アバンタイトルの姫路さんがかわいすぎる…!
「笑わないで」と言われながら自分の女装写真を見せられた明久はかわいそすぎる…

オープニングテーマはいまいちだと最初は思っていたんだけど、何度も聞いているうちに耳に残ってしまった。
かれこれ十回ほどは通して聞いているわけだから、当然といえばそうなのかもしれないけど。

玲姉さんが大塚製薬の回し者すぎてつらい。朝から1リットルとか、かるく拷問だと思うんですが…
商品説明も軽快で小気味よく、なにかのセールストークを聞いているような気分になった。さすがは17歳さんと言うべきか。
というか、ドリンクタイプにもいろいろな味があることを初めて知ったよ。
そういや以前食べた固形のメープル味は、けっこうおいしかったです。

秀吉の姉こと優子さんの来襲、なんだけどAクラス代表の混じってるところに「揃いも揃ってバカのオンパレード」呼ばわりしてたような。
いや翔子もある意味すごいバカだとは、たしかに思うけど。
あと、ナース服着て「ワシはバカなどやっておらぬ」と堂々言い放つ秀吉は、言っちゃ悪いがバカそのものだと思う…

姫路さんのラブレター大作戦。
巻き込まれた雄二と、焼かれた明久のエロ本がいと憐れ。
ラブレターをなくした姫路さんに協力を申し出る雄二たちだけど、どう見ても私利私欲のためです。本当にありがとうございました。

仮にも試験問題なのに、あんなずさんに管理してていいのだろうか。
今更なツッコミだとは思うけど、いろいろと無理がある気がしてならない。
そんなことだから、根本君につけ込まれたりなんかしちゃうわけで。

原作未読の人に向けて簡単に説明しておくと、根本君こと根本恭二はBクラスの代表であり、目的のためには手段を選ばないことでその名を知られている人物だ。
原作一巻における試召戦争時には、卑怯な手段をためらいなく使う非道さで明久たちFクラスを苦しめた。
原作では、悪役ぶってはいるものの結局は小物というイメージのキャラクターだったが、アニメではどうやらラスボスとして君臨するらしい。

この作品では、原作の時点でそこまでの悪役というのが出てこない。
一応、明久たちを目の仇にしている先輩が3年にいたりもするのだが、これはアニメには出てきていないし、そもそも彼らも根っからの悪人というわけではない。
また、第7話のバカップルのように、名もなき悪役ならば登場することはあるものの、大抵はその1話限定である。
だから作品全体をひとつの物語と見立てたときに、越えるべき壁、最終ボスとなるべき存在が、この作品にはいなかったのだ。少なくともこれまでは。

あるいは常夏先輩、明久たちを目の仇にしている件の3年生たちが突然出てきてそうなるのかもと思っていたのだが、どうやらこの予想は外れたらしい。
アニメ版のラスボス、倒すべき相手は、2年B組クラス代表根本恭二その人で決まりと見ていいようだ。

そしてここで、本作主旨のひとつである試召戦争に回帰するという流れに、おそらくはなるのだろう。
召喚獣の設定はいらないと、アニメの放送が始まってよりいろいろなところで目にしてきたが、そのそしりを払拭できるか否かは、きっとここからの展開にかかっている。
制作スタッフのお手並み拝見といきたい。


バカとテストと召喚獣7.5 (ファミ通文庫)

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ジャンル : アニメ・コミック

バカとテストと召喚獣第9話を見た

サブタイトルは「キスとバストとポニーテール」。
明久の姉、吉井玲の登場する回だ。オープニングにも顔を見せていた。
サブタイトルの「バストとポニーテール」は、姉によって暴かれた明久の性的嗜好である。巨乳とポニーテールが好きなんだそうだ。

玲さん役の声優が、お姉ちゃんこと井上喜久子さんだった。
おとなしめの声の人を起用してくるだろうと予想はしてたけど、こんな大御所が出てくるとは思わなかった。
とはいえその実力は折り紙付きである。そんな人が好きなキャラを演じてくれるというのは、素直に嬉しくもあり。

つうかエロいよ玲さんまじエロい…
お姉ちゃん本腰入れすぎです。

ストーリー展開はおおむね原作通り。
ただ、いささかながら駆け足すぎた感がある。
そのせいで、雄二の裸ワイシャツなど、一部のエピソードで描写の不足を感じてしまった。

致命的だったのは、「玲と喧嘩→料理の練習をしていたことを知る→一緒に買い物へ行って仲直り」という一連のエピソードで、タメが明らかに足りていなかったこと。
もう少し、せめてもう少しだけ時間を使ってほしかったというのが正直なところだ。
明久が反発しながらも発憤し、だが大失敗を犯して結果を出せず、その後姉の気概と優しさを知って和解にいたるという一連の流れが、アニメだと完全には描ききれていなかった。個人的に、これはかなり痛い。
なぜなら、最後の「にゃにを」の破壊力が、タメの足りないがために激減してしまうからである。

でも、ただひとつのその不満を除けば、あとはおおよそ悪くない回だったとも思う。
駆け足すぎたというだけで、おもしろくなかったわけでは別にないので。

あと、姫路さんが恐かった。
予想外に恐かった。
あれは、もう、原作と比較して、大袈裟でも何でもなく十倍くらいは恐い。
笑ってない目といっても限度があるだろうと。
回を重ねるごとに、原作以上のネタキャラと化しつつある姫路さんの明日はどっちだ…!


バカとテストと召喚獣7.5 (ファミ通文庫)

テーマ : バカとテストと召喚獣
ジャンル : アニメ・コミック

バカとテストと召喚獣7.5を読んだ

著者は井上堅二。
イラストは葉賀ユイ。
今回はちょっとネタバレ分多めかも。

表紙を飾るのは本作主人公の吉井明久(♂)なのだが、男性キャラの表紙絵実現を、著者氏、イラストレーター氏がともに歓喜していて吹いた。
3.5巻は秀吉が表紙なんだけど、当然のように、彼は数には入れないんだそうである。

さらに口絵では、姫路さんと美波と霧島さんと工藤さんと秀吉、全五人の男装姿も見ることができる。
美波が男装したら映えるだろうとは思っていたのだが、霧島さんに似合っていたのは予想外だった。りりしい顔立ちをしているからかもしれない。
工藤さんはもはや、小悪魔系のショタっ子にしか見えない。胸の大きさもあるのだろうが、それ以上に肉食系な性格が強く影響しているのだと思われる。
けれど姫路さんにはさすがに似合わないようだ。体型が女らしすぎるのが原因だろう。

ちなみに秀吉は、女子の制服も着てみせてくれている。男子用の制服より圧倒的に似合って見えるのは、私の目がおかしいからではないはずだ。

さて、今回は.5がついているので短編集だ。
収録作は四本。うち三本がギャグ調で、一本は少しシリアスというか真面目。そういや6.5でもこんな構成だったなあなんて思ったりしつつ。

短編集だと、気に入る作品とそうでない作品とで分かれることが多いのだが、今回は性に合ったのか、掲載作すべてがおもしろいと感じた。
中でも「僕とダウトと男の尊厳」、「僕とホンネと召喚獣」、この二作品は特によかった。


 ◇


僕とダウトと男の尊厳」は、トランプのダウトをして遊ぶ話である。

もちろん、ただのダウトではない。負けたら罰ゲームがある。
その罰ゲームというのが変わっているというか、むしろ王道的というか。ぶっちゃけると脱衣である。
でもってメンバーには、明久と雄二のほかに、姫路さんと霧島さんがいる。
ここでサービス回かと期待するのが普通の人だと思うのだが、このシリーズの愛読者なら、きっと真逆の予想をするだろう。

すなわち、「明久と雄二が蹂躙される話だな」と。

この蹂躙が、大敗を喫するというだけならまだわかりやすい。脱がせてやるぜと意気込んで、返り討ちにされるというエピソードなら、わりとよく見掛ける。王道的だ。
でも、姫路さんと霧島さんが絡むかぎりにおいては、そんな生やさしい展開にはまずならない。
なぜなら彼女たちの目的は、「返り討ちにすること」ではなく、「明久と雄二を脱がせること」になるはずだからだ。

ギャンブルで一番恐いのは、運を味方につけた人物を相手にすることだろう。
では、二番目は?
おそらくそれは、頭を駆使してくるタイプだ。
記憶力と理論でもって、もっとも勝率の高い選択肢を堅実に選びとり、最後の勝利を確実のものとする。
そういう相手は、とても恐ろしい。

かたや学年主席、かたや学年次席相当。
理論をはさむ余地が多分にあるギャンブルの席上において、このふたりを相手に善戦できる人物はいても、勝てる者はきっといないだろう。
明久と雄二の裸が賭かっているとなれば、なおさらだ。

そして彼女たちは、目的を達成するまで諦めない。
たとえ下着一枚にされようとも、それでも降りない覚悟で挑んでくる。つまり、明久と雄二を脱がすそのためならば、自らの全裸すらもいとわないのだ、彼女たちは。
この覚悟を折って彼女たちを諦めさせることは、容易ならざるどころか不可能にも近い。

畢竟、明久たちは姫路さんと霧島さんに敗北するしかなくなる。それはもう絶対と言えるほどの確実さで。

そんな事件の顛末として、今巻表紙のアキちゃんの姿があるわけである。合掌。
しかしながら、女子の制服を着てウィッグつけただけでここまで女の子になってしまうとは、明久の、いやアキちゃんのポテンシャルの高さには改めて驚愕を覚えざるを得ない。わりと真面目にかわいすぎると思う。


 ◇


僕とホンネと召喚獣」は、学園長が変更を加えた召喚システムの犠牲に、明久たちがなってしまう話だ。

加えた変更とは、召喚獣の操作系統の半自動化。具体的には「脳の無意識領域の一部も読み取るようになる」というものだ。そのテストに、明久たちは参加させられるのである。

本来の召喚獣は、使役者の意思にそって動く。前へ進めと思えば前に進むし、武器で攻撃しろと念じればそうする。そういうシステムだ。
これが学園長の加えた変更によって、使役者の普段表出させていない無意識領域の情報が、召喚獣への命令としてひろわれるようになった。
早い話が「使役者の本音を行動に反映させるようになった」ということだ。
明久や姫路さん、美波、雄二、翔子、ムッツリーニ、工藤さん。こんな面々の本音がだだ漏れとなってしまう機会が、意図せず訪れてしまったわけである。

しかも用意のいいことに、召喚獣が「喋れるようになる」というおまけつきだ。
ここまできたら、あとはどうなってしまうのか、おおよそ想像がつく。そう、「本音暴露大会」である。まかり間違えば告白大会にもなってしまいかねないという大変にあやういこの状況は、意中の相手への思いを秘めたキャラクターたちにとって、あまり喜ばしいとは言えないシチュエーションである。

であるのだが、本音で語り、本音で動く召喚獣たちのかわいいことときたらもうね。
姫路さんの隠し持った大胆さの片鱗にも興味を惹かれるけれど、それ以上にツボにきたのは美波の召喚獣だ。

普段素直じゃない彼女の本音がだだ漏れになるということは、言い換えればツンデレの「デレ状態」ということでもある。
明久への好意を隠すことなく抱っこをせがむさまときたら、普段が普段であるだけにギャップがすさまじい。
ひいてはそれが、彼女のかわいらしさの表出にも繋がっているというわけである。

しかしながら本エピソードにおいては、姫路さんの本質より美波の素直さよりも、もっと気になることがほかにあった。
それは、「秀吉の好きな人は誰なのか」ということだ。

そういう話題になったとき、秀吉までもが逃げに走った。これはつまり、彼には好きな相手がいるということの証左である。
その相手が誰なのか、連想できるキャラクターは現在のところ、ひとりしかいない。

作中で明言されることがないために、その想像が正しいのかは、結局わからないままだ。でも、夢を見ることは今もって許されている。これまでと同様に。
予想通りであってほしくもあり、それを裏切ってほしくもあり。今後の展開へのおもしろい布石となってくれそうな事柄だった。

けど、秀吉のあのカミングアウトは、生々しくてちょっといやだと思ってしまった。
さすがは秀吉、魔性すぎる…


 ◇


長々と書いてきたけど、あともう少しだけ。
最後のエピソード、「ウチと日本と知らない言葉」について、書いておきたい。
本作登場キャラのひとりである島田美波嬢は、ドイツからの帰国子女だ。そんな彼女が日本へ帰ってきたばかりの頃、約一年前の出来事が綴られている。

本作における謎のひとつとして、「美波はなぜ明久に好意を寄せているのか」というものがある。
同様に、姫路さんが明久を思うにいたったきっかけについても、いまだ語られていないのであるが、それはさておくとして。
美波は、一巻時点で既に明久へと明らかな好意を向けており、そしてそうなった理由についてはこれまで明かされてこなかった。
「明かされてこなかった」と過去形であるのは、本エピソードによってその謎がなかば氷解したためである。

言葉がわからないという状況は、原始的な恐怖を呼び起こし、精神的苦痛へと繋がっていく。
言葉がわからなければ意思の疎通はままならず、意思が通じなければ否応なしに孤独へ陥るしかなくなるからだ。
無人島でのひとりより、群衆の中でのひとりのほうが孤独感は強い。物語の中でも、歌の歌詞でもよく言われることである。

では、その孤独の中へ手を伸ばしてくれる人物がもしいたとしたなら?
惚れてまうやろー!
とまではいかなくとも、興味を持つには十分な理由となりうるのではないだろうか。


 ◇


書きすぎました。

正直に言えば書きたいことがまだあるんだけど、さすがにこのあたりでやめておく。
先述の通り、掲載された短編すべてを楽しく読むことのできた一冊だった。ほかの九冊と比べても、ひけはとらないおもしろさと言えるだろう。

アニメ放送中のテンションが評価に影響した可能性も否めないけど、それでも「おもしろかった」という感想を抱いたことは、否定しようのない事実である。

逆を言えば、今がこの作品をもっとも楽しめる時期かもしれないということでもあり。
シリーズのファンはもちろんのこととして、アニメから入った人にもおすすめしたい一冊である。

というか、表紙のためだけにでも買う価値はあると思う。わりと本気で。


バカとテストと召喚獣7.5 (ファミ通文庫) (ファミ通文庫 い 3-1-10)

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バカとテストと召喚獣第8話を見た

サブタイトルは「暴走と迷宮と召喚獣補完計画」。今回はアニメオリジナル。
予想を裏切らずにエヴァのパロディネタの多い回だった。
格闘ゲームのヴァンパイアや、ガンダムSEEDのネタなんかも交えつつ。

これでもかというほどのエヴァネタの嵐には閉口しそうになったけど、全体としては悪くない出来だったと思う。
召喚獣による戦闘シーンが豊富にあったので、視覚的に楽しめたし、テンポが良かったのでだれずに見ることができた。

サキュバス姫路さんが今回で投入されたので、肝試しのエピソードがアニメ化されることはないと考えてよさそうだ。
肝試しはわりといい話だったので、スルーの可能性が高まってしまったのは結構残念。

明久が点数稼ぎまくってステータスがすごいことになっていた。
あれならもしかすると、今のところの作中最強キャラである学年主任の高橋先生(学園長の隣にいた眼鏡の先生)にも勝てるかもしれない。
ちなみに高橋女史の総合点は姫路さんの倍近くもあり、鞭というシンプルな武器を使いこなして明久たち複数名を圧倒してみせたこともある。封神演技の聞仲みたいなキャラなのである。

ただ、問題がひとつ。
総合点が高すぎると機能不全を起こすはずの黒金の腕輪を、あの点数の明久がなぜ操れたのかということだ。
本来ならば、以前の雄二や秀吉のように、爆発して使い物にならなくなっていたはずだ。
とはいえ現実として正常に動作はできてしまえているので、ならばあの異常事態の中でたまたまうまく動作したと考えるのが妥当なのだろう。
設定に矛盾が生じたのは今回が初めてではないので、気にするだけ無駄という考え方もある。

もはや何のアニメかわからなくなるほどにパロディネタが飛び交いまくってた回だったけど、先述の通り、見終わってみればなかなか面白かったという印象だ。
こういうのもたまには悪くないと思う。

次回サブタイトルは「キスとバストとポニーテール」。
どうやら、出ないと思われていた明久の姉が登場するようである。
名前は吉井玲(あきら)。彼女もまた例に漏れず、一癖も二癖もあるキャラクターだ。
女装が恐ろしく似合うことからもわかるように、実際は端正な顔立ちである明久が、自分を不細工でモテないと思い込んでいる原因は、実は彼女にある。そのことを考えれば、彼女の異常性も容易に推し量れようというものである。
個人的にも好きなキャラクターなので、期待せずにはいられない。

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バカとテストと召喚獣7.5の表紙の子がかわいすぎて生きるのがつらい

バカとテストと召喚獣7.5表紙


★ファミ通文庫 2010年2月の新刊

いろいろ反則じゃないかと思った。



あと、劇場版文学少女の予告編も出てた。

「劇場版“文学少女”予告編」

以前発売された特装版付属のDVDとはまた別の内容。こちらでは、麻貴先輩や森ちゃんの姿も見ることができる。
2010年5月1日より順次公開予定だそうだ。

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バカとテストと召喚獣第7話を見た

サブタイトルは「俺と翔子と如月グランドパーク」。

雄二と翔子、ふたりのエピソード。
今回はテンポがいいから当たり回だ!

翔子が追って雄二が逃げるというのがパターン化しているふたりだけど、別に雄二は彼女のことが嫌いなわけではないし、彼女は彼女で雄二を無理やり手籠めにしようなどと本当に思っているわけではない。……たぶん。

ともあれふたりの事の始まりを知るには、小学校時代にまでさかのぼらなければならない。そのエピソードをアニメでやるかはわからないのだが、如月グランドパークの話をやった以上、可能性はあると思う。
まあ、あるといってもかなり低いだろうけれど、それならそれで二期に望みを託すという術もある。
雄二と翔子の小学校時代のエピソードは、この作品としては珍しいくらいにシリアスな話だったのだが、それでもかなり面白かった。個人的に思い入れの深いエピソードだ。
アニメで見られるのならば、ぜひ見てみたい。

話がそれた。
第6話と同じく、今回も話の流れも原作とほぼ同じ。
演技を貫くために、ためらうことなく携帯を捨てる秀吉の男気には惚れざるを得ない。でもその徹底っぷりも、変装でもしてないとあまり意味ないのではないだろうか…
明久にさえ絶句されてしまうリーゼントの兄ちゃんは、逆にすごいと思った。

翔子かわいい。
マジかわいい。アニメだと破壊力が数倍に増してる気がする。視覚からの刺激のなんと強烈であることか。

あと姫路さんもかわいい。アニメだと破壊力が(ry
と思ったらなんか恐い。
思えばこのくらいの頃から、姫路さんのFクラス流への馴染みかたが加速していってた気がする。
見た目ファンシーなのに、明久のやられっぷりがひどい。

そして雄二は格好良い。
今回のエピソードだけを見ても、翔子が惚れるに値する男だとわかる。翔子が雄二を追い掛けていることに疑問を抱いていた人も、これで払拭されたのではないだろうか。

でも、最後の翔子のせりふだけは正直ぶち壊しだと思ってしまった。せりふそのものが問題なのではなく、言うところのアニメーションが不自然なくらいに動きまくっていたのだ。あんなに動かす必要はなかっただろうに。
そこまでとてもいい展開だっただけに、水を差されたような気分になってしまった。とても残念だ。

でもって、エンディングが変わった。
今までのBL風味満点なものから、わりと普通な感じのものへと。
なんて思って見ていたら、登場キャラ全員がセーラー服だった。
それだけならまだ普通なのだが、問題は「男も含めて」であるということだ。
あまつさえ、学園長までいた。もちろんセーラー服姿で。
誰が得するんだよ…

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バカとテストと召喚獣第6話を見た

サブタイトルは「僕とプールと水着の楽園――と、」。
水着回! 水着回ですよ!

今回は久しぶりに原作通りの展開。
冷水シャワー→コーラかけ合い→学校のプールへ。
秀吉が卑怯者呼ばわりされたり、雄二の境遇が切なかったり、秀吉が水着を新調したり、その水着が実は女性用だったりするのも原作通りだ。

でも、せっかくの原作通りなのに、今回はテンポが悪いと感じてしまった。
むしろ、原作を再現しようと努めたことが、テンポを悪くして面白さを削ぐことに繋がっていたように思う。
アニメ化するうえでは、オリジナルの方がやっぱり作りやすいんだろうなあ。
原作を尊重しつつ、内容を面白くすることの難しさを改めて教えられた思いだ。

ただ今回は、秀吉のかわいさが際立っていた。
今回はというか、もう毎回のように秀吉がかわいいと書いてる気がするけど気にしない。
水着回ということもあってか、秀吉もまたこれ以上ないというほどに露出しまくり。
湯気や泡で隠れてるところもあったけど、全裸より半裸を尊ぶべきという先人の教えもある。個人的には問題ないどころかむしろ大歓迎です。

ちなみに美波のドイツ語の台詞は、
「Worauf für einem Standard hat Gott jene unterschieden, die haben, und jene, die nicht haben!? Was war für mich ungenügend!」
と言っている。

和訳すると、
「神様は何を基準に、持つ人と持たざる人を区別しているの!? ウチに何が足りないっていうのよ!」
となる。

さて次回は雄二と霧島さんのエピソード。これも恐らく原作通りになると思われる。
雄二の扱いはアニメで見てると薄ら寒いものがあるけれど、これも愛ゆえのことと思えばかわいいものと思えて……くるような……気が……しなくも……

来週は、そんな危惧を払拭するような展開に、きっとなってくれるだろう。
なぜならこの作品のベストカップルは、明久と姫路さんではなく、明久と美波でもなく、ましてや明久と秀吉などでもなく。
雄二と霧島さんで不動なのだから。

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バカとテストと召喚獣第5話を見た

サブタイトルは「地図と宝とストライカー・シグマV(ファイブ)」。
原作読んでても、予告だけだと意味がわからない…

と思ったら、どうやら今回もオリジナル展開であるようだ。サブタイトルは鉛筆につけられた名前のことだった模様。

原作では召喚獣を校外で呼び出すというシーンが確かなかったので、敷地内でないと駄目なんだと思っていたけど、アニメでは特に問題ないらしい。
原作でも駄目だと明言されていたわけではなかったように思うので、ひょっとしたら校外でも召喚許可さえ得られれば、召喚獣を呼び出すことは可能なのかもしれない。

そうなってくると疑問になるのが、「召喚許可」がどのようなものであるのかということだ。
文月学園の教師によって出され、召喚獣同士の戦闘を可能にするものだが、これが何によって行使されているのか、原作中でも明らかにはされていない。
今回のエピソードで登場した黒金の腕輪、原作では白銀の腕輪に相当するアイテムを使用することによって、限定的ながら「召喚許可」の出された状況を作り出すことは可能となっている。
しかしこの黒金(白銀)の腕輪は欠陥品であり、ある程度以上の総合得点を獲得していると正常に動作しない不具合がある。
ということは、先生たちの召喚許可は、この腕輪によって出されているわけではないと推察できる。そもそも「手を挙げて宣言する」というスタイルを見るに、何らかのアイテムに依存する能力ということでもなさそうである。
以上のことから、「召喚許可」は何らかの生体認証を経て大元のシステムにアクセスし、そこから召喚許可を下ろすといったような手順を踏んでいる可能性がある。これなら道具はいらないし、先生だけに可能であることの説明にもなる。

ただし、問題がひとつある。
認証の手段は声紋などになるのだろうけれど、そうであるならシステムの範囲外であるだろう校外では行使できないのではないかという疑問が生じてしまうのだ。
これも先生個人がそういうシステムを「装備」しているなら解決可能な問題だが、それほど小型化できるのなら、そもそも腕輪なんて作る必要ないじゃないという疑問がまた生じてしまう。
この疑問に対する解答としては、「腕輪は教師以外の人間が召喚許可を出さざるを得ない状況を想定して開発された道具」という可能性を挙げることができる。生徒や校外の人間に、召喚許可行使権をそっくりそのまま渡してしまうのは、乱用などの事態を招いてしまう危険性がある。だから能力を限定させた「腕輪」が必要だったのかもしれない…という考え方だ。一応筋は通っていると思う。

以上までをまとめると、


・召喚許可は先生が声によって宣言することで行使される
・校内、校外どちらでも可能
・行使に必要なシステム端末を先生が携帯している可能性がある
・黒金(白銀)の腕輪は、先生以外に召喚許可行使権を委ねる場合を想定して開発されたと考えられる



というような感じになる。
長いわりにいまいち何が言いたいのか不明瞭だと思うが、要約すると「召喚許可は謎だ」ということである。
ラブコメの設定について深く考えたら負けだと思われるので、細かいことは気にせず楽しむのが吉ということなのだろう。

さて今回はパロディネタが、過剰と思えるくらいに多かった。個人的には、前回の方が面白かったと思う。
パロディネタはたまに交えるから面白く感じるのであって、多用したら食あたりを起こしてしまうと思うんだ…

あと、今回は秀吉の出番がかなり多く、かわいさも際立っていたのは私によかった。
顔のアップが少なからずあったのも嬉しいポイントだ。
ほかにも半裸とか。
チャイナ服とか。

一番よかったのが、明久に「僕のこと嫌いなの?」と聞かれて「ワシは男じゃ」と答えたところ。
一見すると何でもないやり取りのように見えるかもしれないが、私は決して見逃さない。秀吉の真意を。
秀吉は、こう答えた。「ワシは男じゃ」と。つまり。

「明言することを避けている」のである。

そもそも秀吉が明久のことを嫌っていないのは明白であり、ならば「嫌い」などと言わないのは当然のことではある。
しかしそれでも「好きだ」と言うことはできたはずで、それを避けたのには何らかの理由があるのだと考えられる。
小さなことかもしれないが、でも言葉にするのとしないのでは大きな差が生じるのだ。小さな誤解が、時として人の運命を大きく変えてしまうことがあるように。
言葉にするというのは、とても大切なことなのである。

そして、この件でもっとも重要なことは、秀吉が「率直に答えるのをあえて避けた」という事実である。
彼は、答えようと思えば「嫌いではない」と言うことができたし、「好きだ」と言うこともできた。「友達として好き」と答えておけば、八方に角の立たない最良の解答となっただろう。
だが秀吉は、このうちのどれも選ばず、「ワシは男じゃ」という話を反らしているとしか思えない言葉を選択した。このことの意味。

聡明な諸兄方にはもう説明するまでもないだろう。
明久の問いに対し、秀吉が率直に答えなかったのは、「明久のことを憎からず思っており、素直に答えるのを恥ずかしく感じたから」という風に推測することができるのである。
この事実が秀吉ファンにとってどれほど重いものであるかは、容易にご推察いただけると思う。

本当に無駄に長くなってしまったが、私が言いたいのはたったひとつのことだけだ。
すなわち、「秀吉かわいいよ秀吉」ってことである。要するにいつも通りです。

テーマ : バカとテストと召喚獣
ジャンル : アニメ・コミック

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