つぼみvol.12を読んだ
ガールズラブな作品だけを集めたアンソロジーの12冊目。
表紙を描いているのは小梅けいと先生。
口絵は百合姫の表紙でおなじみのカズアキ先生が担当している。
いつものように感想などなど。
◇
・ウミニソラ~The ocean Meets The Sky~ - 小梅けいと
表紙だけでなく作品の方でも参戦。
氏の作品をしばらく手に取っていなかったのだが、もともと高かった画力がさらに向上しているように感じられた。女の子が本当にかわいい。
作品のテーマは結構真面目で、女性型アンドロイドと人間の少女との触れあいを描くというもの。
「アンドロイドと人間とのあいだに恋愛は成立しうるか」というのは、百合好きにとっても看過しがたい問い掛けのひとつだと思う。
この作品はそこまで重くこの問題を扱っているわけではないのだけれど、しかし問いに対するひとつの答えは提示してくれている。
すなわちアンドロイドに宿るこころを真と見なすならば、彼女とのあいだに発生しうる関係もまた真であるということだ。
・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
前回出てきた新キャラを掘り下げていくかたちのエピソード。
そのシチュエーションゆえに先生はほとんど出てこない。
代わりのように出番の増えたかなえさんだが、話にどう絡んでくるのかはいまだ未知数だ。
百合作品には様々なキャラクターが登場するが、女性同士の恋愛を基礎とするジャンルであるため、感情を誌面に出さないキャラというのが滅多に出てこない。
感情の揺れ幅がカタルシスをもたらす要素となるので、キャラが無感情では作品として成立しにくいのである。
シニカルなほどに現実的で、こころを見せないかなえさんは、まさにその禁忌とも言える性質をそなえたキャラクターだ。
だから今なにを考えているのか、これからどう動いていくのか。
まったく読めなくて、そこがおもしろい。
・ひみつのレシピ - 森永みるく
若槻さん大興奮の巻。
妄想の中に突っ込みどころが多すぎる。
そう思いはしたんだけれど、今の雰囲気なら強気でいけば案外何とかなってしまうのかもしれない
だからといってそううまくはいかないというのも世の常であるわけで、波乱を呼ぶ合宿となってしまいそうだ。
・prism - 東山翔
めぐみがひかるの嫁すぎる。
いやひかるがめぐみの嫁なのか? どちらでもいいか。
広瀬さんは前回の様子を見るに、どうも裏があるように思えてならない。
このまま何事もなく和解できればいいんだけれど、さてどうなりますことやら。
・しまいずむ - 吉富昭仁
新キャラ登場。おかげで話に幅が出てきた感じ。
アップダウンのないこれまでの展開も悪くはないんだけど、多少はストーリー性もあった方が作品はおもしろくなると思う。
だがさしあたり気になって仕方がないのは、ダムみたいな女の子ってどういう形容なんだということだ…
・ロンリーウルフ・ロンリーシープ - 水谷フーカ
あー羊ってそっちなのかと思ったり。
ああいうキャラはこの作者氏のマンガでは珍しい気がする。
ここで止まるのか、それともさらに暴走するのか。
読めないあたりが少し恐い。
・Green. - 大朋めがね
関係というのは時間経過とともに変わっていくものであり、恋愛を扱った作品ならその変化を避けては通れない。
つけた仮面もいつかは剥がれる。必然的な結論というやつだ。
そして、そこにこそ恋愛マンガの妙もある。
飄々としていたキャラが実はという展開が好きだ。
・異文化より愛をこめて - 縞野やえ
マリアさんの割り切りは簡単なように見えて、実際は恐ろしく難易度が高い。
現実のものとなったなら、それこそ身を切られるような苦痛の連続だろう。
だからこそ彼女の覚悟がいかに重いものであったかよくわかる。
生まれた国は違えども、信念のために私心を殺した彼女の清廉さは大和撫子を名乗るにふさわしいものだと思う。
・むすんでひらいて - イコール
初夜の話。
関係を保つことに対してきちんと理由付けしているところがよかったと思う。
そういうところをなし崩しにしない作品は大好きだ。
・くらいもり、しろいみち - 由多ちゆ
連載二回目。
人付き合いの苦手な子と全盲の子の話。
距離感が独特で計るのが難しい。
お互いにどう思っているのかということさえろくに見えてこない。
わかるのは、あいだにはかない依存があるということだけ。
だがこのふたりの関係は、その依存という言葉だけであるいは事足りるのかもしれない。
・センチ・28cm - やとさきはる
身長差のある女の子たちの話。
一般のラブストーリーでもよくあるシチュエーションだが、百合でも見かける機会は比較的多い。
それだけ身長差というものに萌えを感じる人が多いということなのだろう。
個人的には大きい子の方がほがらかな性格だとよろしい。
大型犬の愛らしさに通ずるものがあると言えば、伝わってくれるだろうか。
・私の愛する河野さん - 芥文絵
テンパる主人公がかわいい。
けど話そのものはわりかし重い。
ノンケの同性に対して恋愛感情を抱くということが、いかに過酷な道であるのかということを思い知らされる。
どれだけ想っても叶う見込みは薄く、ばれたが最後絶縁されるかもしれないという恐怖を常に持ち続けていなければならないのだ。
それでも好きになるのは止められないし、気持ちを消すことなどできるわけがない。
もはや苦行にも等しい茨の道だ。
そしてだからこそ想いの強さが際立つし、カタルシスの大きさにもまた繋がるのだ。
よく練られたいいストーリーだと思う。
・プライベートレッスン - ナヲコ
連載最終回。
最初から最後まで一貫してゆるやかな作風だった。
結末には賛否あるかもしれないが、個人的には納得できるものだ。
こういう作品も世に出続けるべきだと思う。
◇
こんなところで。
vol.11には変化球的な作品が幾つか掲載されていたのだが、今回は直球のみに徹しているという印象。
どちらかを選ぶとするなら、直球だけの方がいいのではないかと思う。
需要に対する適正な供給とでも言おうか。
百合アンソロ誌は、純然たる百合だけを載せる雑誌であるべきだという思いはやはりある。
表紙を描いているのは小梅けいと先生。
口絵は百合姫の表紙でおなじみのカズアキ先生が担当している。
いつものように感想などなど。
◇
・ウミニソラ~The ocean Meets The Sky~ - 小梅けいと
表紙だけでなく作品の方でも参戦。
氏の作品をしばらく手に取っていなかったのだが、もともと高かった画力がさらに向上しているように感じられた。女の子が本当にかわいい。
作品のテーマは結構真面目で、女性型アンドロイドと人間の少女との触れあいを描くというもの。
「アンドロイドと人間とのあいだに恋愛は成立しうるか」というのは、百合好きにとっても看過しがたい問い掛けのひとつだと思う。
この作品はそこまで重くこの問題を扱っているわけではないのだけれど、しかし問いに対するひとつの答えは提示してくれている。
すなわちアンドロイドに宿るこころを真と見なすならば、彼女とのあいだに発生しうる関係もまた真であるということだ。
・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
前回出てきた新キャラを掘り下げていくかたちのエピソード。
そのシチュエーションゆえに先生はほとんど出てこない。
代わりのように出番の増えたかなえさんだが、話にどう絡んでくるのかはいまだ未知数だ。
百合作品には様々なキャラクターが登場するが、女性同士の恋愛を基礎とするジャンルであるため、感情を誌面に出さないキャラというのが滅多に出てこない。
感情の揺れ幅がカタルシスをもたらす要素となるので、キャラが無感情では作品として成立しにくいのである。
シニカルなほどに現実的で、こころを見せないかなえさんは、まさにその禁忌とも言える性質をそなえたキャラクターだ。
だから今なにを考えているのか、これからどう動いていくのか。
まったく読めなくて、そこがおもしろい。
・ひみつのレシピ - 森永みるく
若槻さん大興奮の巻。
妄想の中に突っ込みどころが多すぎる。
そう思いはしたんだけれど、今の雰囲気なら強気でいけば案外何とかなってしまうのかもしれない
だからといってそううまくはいかないというのも世の常であるわけで、波乱を呼ぶ合宿となってしまいそうだ。
・prism - 東山翔
めぐみがひかるの嫁すぎる。
いやひかるがめぐみの嫁なのか? どちらでもいいか。
広瀬さんは前回の様子を見るに、どうも裏があるように思えてならない。
このまま何事もなく和解できればいいんだけれど、さてどうなりますことやら。
・しまいずむ - 吉富昭仁
新キャラ登場。おかげで話に幅が出てきた感じ。
アップダウンのないこれまでの展開も悪くはないんだけど、多少はストーリー性もあった方が作品はおもしろくなると思う。
だがさしあたり気になって仕方がないのは、ダムみたいな女の子ってどういう形容なんだということだ…
・ロンリーウルフ・ロンリーシープ - 水谷フーカ
あー羊ってそっちなのかと思ったり。
ああいうキャラはこの作者氏のマンガでは珍しい気がする。
ここで止まるのか、それともさらに暴走するのか。
読めないあたりが少し恐い。
・Green. - 大朋めがね
関係というのは時間経過とともに変わっていくものであり、恋愛を扱った作品ならその変化を避けては通れない。
つけた仮面もいつかは剥がれる。必然的な結論というやつだ。
そして、そこにこそ恋愛マンガの妙もある。
飄々としていたキャラが実はという展開が好きだ。
・異文化より愛をこめて - 縞野やえ
マリアさんの割り切りは簡単なように見えて、実際は恐ろしく難易度が高い。
現実のものとなったなら、それこそ身を切られるような苦痛の連続だろう。
だからこそ彼女の覚悟がいかに重いものであったかよくわかる。
生まれた国は違えども、信念のために私心を殺した彼女の清廉さは大和撫子を名乗るにふさわしいものだと思う。
・むすんでひらいて - イコール
初夜の話。
関係を保つことに対してきちんと理由付けしているところがよかったと思う。
そういうところをなし崩しにしない作品は大好きだ。
・くらいもり、しろいみち - 由多ちゆ
連載二回目。
人付き合いの苦手な子と全盲の子の話。
距離感が独特で計るのが難しい。
お互いにどう思っているのかということさえろくに見えてこない。
わかるのは、あいだにはかない依存があるということだけ。
だがこのふたりの関係は、その依存という言葉だけであるいは事足りるのかもしれない。
・センチ・28cm - やとさきはる
身長差のある女の子たちの話。
一般のラブストーリーでもよくあるシチュエーションだが、百合でも見かける機会は比較的多い。
それだけ身長差というものに萌えを感じる人が多いということなのだろう。
個人的には大きい子の方がほがらかな性格だとよろしい。
大型犬の愛らしさに通ずるものがあると言えば、伝わってくれるだろうか。
・私の愛する河野さん - 芥文絵
テンパる主人公がかわいい。
けど話そのものはわりかし重い。
ノンケの同性に対して恋愛感情を抱くということが、いかに過酷な道であるのかということを思い知らされる。
どれだけ想っても叶う見込みは薄く、ばれたが最後絶縁されるかもしれないという恐怖を常に持ち続けていなければならないのだ。
それでも好きになるのは止められないし、気持ちを消すことなどできるわけがない。
もはや苦行にも等しい茨の道だ。
そしてだからこそ想いの強さが際立つし、カタルシスの大きさにもまた繋がるのだ。
よく練られたいいストーリーだと思う。
・プライベートレッスン - ナヲコ
連載最終回。
最初から最後まで一貫してゆるやかな作風だった。
結末には賛否あるかもしれないが、個人的には納得できるものだ。
こういう作品も世に出続けるべきだと思う。
◇
こんなところで。
vol.11には変化球的な作品が幾つか掲載されていたのだが、今回は直球のみに徹しているという印象。
どちらかを選ぶとするなら、直球だけの方がいいのではないかと思う。
需要に対する適正な供給とでも言おうか。
百合アンソロ誌は、純然たる百合だけを載せる雑誌であるべきだという思いはやはりある。

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コミック百合姫2011年7月号を読んだ
つぼみと双璧をなす百合専門誌の7月号。
いつものように感想などなど。
◇
・ゆるゆり - なもり
巻頭にアニメ化に関連した情報が載っている。カラーピンナップもある。
キャストの半数以上が知らない声優さんだ。海のものとも山のものともわからない。
とはいえ「みなみけ」や「みつどもえ」を担当し、日常描写に定評のある太田雅彦氏が監督なので、作画さえまともなら原作を反映した仕上がりになってくれるのではないかと思われる。
あ、マンガの内容はいつも通りでした。
・ゆりゆり - なもり
いつだったかの無印百合姫(統合前)に掲載されていた読みきり作品。
つまり再掲載。
ほかにもう二編ほど再掲載されているんだけど、個人的に好きなのがこの作品なので、これのみを取り上げる。
この作品の「キモイ!」はすばらしい。なぜってそれは、言うキャラの愛情が溢れんばかりに籠められているからです。
・茶の間の花 - タカハシマコ
あいかわらずというか、普通は避けるようなところに渾身のストレートを放り込んでくる作家さんだ。
結構好き嫌い分かれそうだけど、個人的には好き。
・百合男子 - 倉田嘘
主人公の主張には共感できるけど、実際の行動があまりにも変態じみているせいで頭を抱えざるを得ない。
あのアグレッシブさを十全に発揮すれば、顔は悪くないんだから彼女なんて作り放題だと思うんだけど、そうしないあたり何とも業が深い。
あとこの作品、取り上げる実例が異様なまでに生々しいんだけど、やはり作者氏の経験に基づくものなのだろうかね。
・アオハル・ラニングス - 再田ニカ
脳筋な子と理知的な子という組み合わせは一ジャンルとして確立している感があるけど、百合においても例外ではない。
そんな感じのストーリー。
話そのものはありふれているけど、作りが丁寧なのでおもしろく読める。
主人公かわいい。
・欠け落ちて盗めるこころ - 大北紘子
ページ数の少ない読みきり作品の場合、設定を複雑にしすぎると読者が置いてけぼりになってしまう可能性が高まるので、あまり好ましくはない。
一般にはそう思われているだろうし私もそう思っているのだが、そうした観念をひょいとどかして通っていったかのようなストーリーを持つのがこの作品だ。
複雑そうな設定のわりにはよくまとまっていると思う。
・きものなでしこ - 八色
四コマのギャグマンガ。
きらら系列ではありふれている…のかもしれないが、百合専門誌では意外と見ない。
百合っぽさは今のところ控えめ。四コマだと、どうしてもそういう傾向になってしまいがちなところが専門誌で見掛けない理由なのかもしれない。
・私の世界を構成する塵のような何か。 - 天野しゅにんた
タイトルなげえ。
…のはともかくとして、内容は性生活の不和によりすれ違う二人を書いたもの。
統合してからこっち、こういうあけすけな作品も遠慮なく載せてくるようになった気がする。
雑誌のカラーには合っていると思うので、個人的には気にしない。むしろバッチコイ。
・チキンガール - ねこ太
病的なまでに臆病な女の子が、それを克服して恋に前向きになるまでを描いた物語。
…などではなくて、鳥好きな女の子と鳥嫌いな女の子を描いた話。いやマジで。
設定からして結構アレだけど、内容はそれ以上にぶっ飛んでいる。
そんなんでも話が百合として成立しているあたりが、この作品の、そしてこの作家さんのすごいところかもしれない。
・春待メランコリィ - 黒霧操
祝福する気持ちと厭う気持ちは必ずしも相反するものではないよね、という話。
百合と言えども綺麗事だけで済むはずはないので、ちょっと毒が混じってるくらいの方がより人間らしく見える。
・sweet temptation - 竹宮ジン
見た目、性格、声に仕草。人の特徴たりえる要素は数多あり、そのうちのひとつに「匂い」がある。
見た目ならば見なければいいし、性格ならば接しなければいい。けど声や匂いとなると意識して遮断することは難しいから、知らないうちに取り込まれて、気付いたときには手遅れになっている。あるいはそういうものなのかもしれない。
・あめ玉1ツ - 田仲みのる
常時ハイテンションな子と常時クールな子の物語。
短いけれども破壊力大。
真希ちゃんの笑顔が素敵。
◇
こんなところで。
次号からは田仲みのる先生の連載が始まるんだそうな。
むしろなんで今まで連載持ってなかったんだというレベルの作家さんであり、個人的にも好きなので嬉しいことこの上なし。
二ヶ月先が待ち遠しい。
いつものように感想などなど。
◇
・ゆるゆり - なもり
巻頭にアニメ化に関連した情報が載っている。カラーピンナップもある。
キャストの半数以上が知らない声優さんだ。海のものとも山のものともわからない。
とはいえ「みなみけ」や「みつどもえ」を担当し、日常描写に定評のある太田雅彦氏が監督なので、作画さえまともなら原作を反映した仕上がりになってくれるのではないかと思われる。
あ、マンガの内容はいつも通りでした。
・ゆりゆり - なもり
いつだったかの無印百合姫(統合前)に掲載されていた読みきり作品。
つまり再掲載。
ほかにもう二編ほど再掲載されているんだけど、個人的に好きなのがこの作品なので、これのみを取り上げる。
この作品の「キモイ!」はすばらしい。なぜってそれは、言うキャラの愛情が溢れんばかりに籠められているからです。
・茶の間の花 - タカハシマコ
あいかわらずというか、普通は避けるようなところに渾身のストレートを放り込んでくる作家さんだ。
結構好き嫌い分かれそうだけど、個人的には好き。
・百合男子 - 倉田嘘
主人公の主張には共感できるけど、実際の行動があまりにも変態じみているせいで頭を抱えざるを得ない。
あのアグレッシブさを十全に発揮すれば、顔は悪くないんだから彼女なんて作り放題だと思うんだけど、そうしないあたり何とも業が深い。
あとこの作品、取り上げる実例が異様なまでに生々しいんだけど、やはり作者氏の経験に基づくものなのだろうかね。
・アオハル・ラニングス - 再田ニカ
脳筋な子と理知的な子という組み合わせは一ジャンルとして確立している感があるけど、百合においても例外ではない。
そんな感じのストーリー。
話そのものはありふれているけど、作りが丁寧なのでおもしろく読める。
主人公かわいい。
・欠け落ちて盗めるこころ - 大北紘子
ページ数の少ない読みきり作品の場合、設定を複雑にしすぎると読者が置いてけぼりになってしまう可能性が高まるので、あまり好ましくはない。
一般にはそう思われているだろうし私もそう思っているのだが、そうした観念をひょいとどかして通っていったかのようなストーリーを持つのがこの作品だ。
複雑そうな設定のわりにはよくまとまっていると思う。
・きものなでしこ - 八色
四コマのギャグマンガ。
きらら系列ではありふれている…のかもしれないが、百合専門誌では意外と見ない。
百合っぽさは今のところ控えめ。四コマだと、どうしてもそういう傾向になってしまいがちなところが専門誌で見掛けない理由なのかもしれない。
・私の世界を構成する塵のような何か。 - 天野しゅにんた
タイトルなげえ。
…のはともかくとして、内容は性生活の不和によりすれ違う二人を書いたもの。
統合してからこっち、こういうあけすけな作品も遠慮なく載せてくるようになった気がする。
雑誌のカラーには合っていると思うので、個人的には気にしない。むしろバッチコイ。
・チキンガール - ねこ太
病的なまでに臆病な女の子が、それを克服して恋に前向きになるまでを描いた物語。
…などではなくて、鳥好きな女の子と鳥嫌いな女の子を描いた話。いやマジで。
設定からして結構アレだけど、内容はそれ以上にぶっ飛んでいる。
そんなんでも話が百合として成立しているあたりが、この作品の、そしてこの作家さんのすごいところかもしれない。
・春待メランコリィ - 黒霧操
祝福する気持ちと厭う気持ちは必ずしも相反するものではないよね、という話。
百合と言えども綺麗事だけで済むはずはないので、ちょっと毒が混じってるくらいの方がより人間らしく見える。
・sweet temptation - 竹宮ジン
見た目、性格、声に仕草。人の特徴たりえる要素は数多あり、そのうちのひとつに「匂い」がある。
見た目ならば見なければいいし、性格ならば接しなければいい。けど声や匂いとなると意識して遮断することは難しいから、知らないうちに取り込まれて、気付いたときには手遅れになっている。あるいはそういうものなのかもしれない。
・あめ玉1ツ - 田仲みのる
常時ハイテンションな子と常時クールな子の物語。
短いけれども破壊力大。
真希ちゃんの笑顔が素敵。
◇
こんなところで。
次号からは田仲みのる先生の連載が始まるんだそうな。
むしろなんで今まで連載持ってなかったんだというレベルの作家さんであり、個人的にも好きなので嬉しいことこの上なし。
二ヶ月先が待ち遠しい。
![コミック百合姫 2011年 07月号 [雑誌]](http://rcm-images.amazon.com/images/P/B004WDQ79O.09.LZZZZZZZ.jpg)
つぼみvol.11を読んだ
知らない人は知らないが、知ってる人は知っている。
そんな百合アンソロの11冊目。
表紙を描くのは先日最終回を迎えたテレビアニメ「フラクタル」のキャラクターデザインでお馴染みの左氏。
例によって目に留まった作品の感想などを書いてゆく。
◇
・カラーイラスト - 箸井地図
作品のタイトルではなく、純粋なカラーイラスト。
お姉さん同士の百合も大好きなので全然あり。
むしろバッチコイ。
・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
新キャラ登場。クールっぽい外見の眼鏡の塾講師と、その塾に通う生徒さん。めがねめがね。
この後の流れはだいたい予想がつく…と思っていたら、終盤でその予想の三倍ほどに加速してった感じ。
次回どうなるのか非常に気になる。
・ひみつのレシピ - 森永みるく
ここ数回で私のなかでの高値更新中な本作。アクセル踏み込んでからの飛ばしっぷりが半端ない。
今回もまた素晴らしい仕上がりを見せてくれている。
若槻がもう少し賢ければ意外とあっさり片のついている問題だと思うんだけど、そうであるがゆえに現状のもやもやした関係を楽しむことができるのであり、ここは若槻がバカであることに感謝しなければならないだろう。
・ネガ⇔ポジ - 天王寺キツネ
異様にフェティッシュな写真ばかりを撮る女の子の話。
新聞部所属ということで卒業アルバムに使う写真の撮影を頼まれるのだが、撮る写真の悉くがどうしてこうなったと言わんばかりに偏愛的なのだ。
尻だの太ももだのにフォーカスするコマがほんと無駄に多くて吹く。
前後編の前編なので、ストーリーの真価は次々号に掲載されるという後編を読んでみるまでわからない。
・prism - 東山翔
連載第2話。というか連載だったのか。
今回は光ちゃんの心情にも強めのスポットライトが当てられていて、前回うやむやだったふたりの関係に決着がつけられている。
東山先生の作品はエロマンガでありながら心情描写をしっかりしてくれるので、百合を描いてもうまいだろうと思ってはいたけれど、その期待に見事応えてもらえたかたちである。
次回も楽しみだ。
・花と星 - 鈴菌カリオ
あいかわらずテンションたけえ。
…のはいいんだけど、そのテンションにキャラの心情が追いついていない感じ。唐突さを覚える場面が散見される。
もう少し緩やかにした方が、ストーリーにも深みが出るんじゃないかなあ。
・苺カーディガン - モロやん
学校の先生と引っ込み思案な生徒の話。ふたりとも眼鏡装備なあたりが私によし。
後半は台詞がなくなって完全に絵だけで話が進行していく。こういう作品もあっていいと思う。
・とりどりの花 - 塚井ヨウ
主人公が初っ端に男と付き合い始めるというなかなかチャレンジャブルな作品。
四コママンガの体をなしているというところもこの雑誌にしては珍しい。
一見するとそのように奇をてらった部分ばかりが目につくのだが、質の方もかなりいい。
キャラの性格のよさがそう思わせてくれる要因なのだろう。
・魚の見る夢 - 小川麻衣子
姉妹百合。そう一言で書くとほんわかした雰囲気を想像されるかもしれないが、この作品はやや病的。
束縛も依存も、恋愛を語る上では切り離せない命題だ。百合もまた然り。
連載第1回なので、続きがあるということになる。好きなタイプのストーリーなのでかなりうれしい。
・レンアイマンガ - コダマナオコ
最終回。
展開が、ほんの少し性急すぎたかなという気がする。あと1話くらい使ってじっくり描いてもよかったんじゃないかな。
でも、オチは素直にいいと思った。ああいうかたちで繋がりの深さを描写するのはとてもいい。
・キャンディ - 鈴木有布子
連載第5話。
結ばれたあとも、一筋縄ではいかないねぇというお話。
相手がモテると大変だ。
・べことてくてく - 三谷知子
田舎に住む女の子と、その田舎に越してきた美少女の話。
主人公がイケメンすぎて惚れそう。
今回だけでも十分いい話だけど、続きがあるならぜひ読みたい。
・恋するシュガーコットン - 天童きりん
百合と見なすかどうかで物議を醸しそうな作品。主人公の体の性別が男であることがその理由だ。
心は女の子なので精神性に重きを置くなら百合と呼んで差し支えないだろうけど、遺伝子がXYであるというのはそれだけで百合好きの拒否反応を誘発しかねない事柄だ。
個人的には、こういう作品の存在が許容されてもいいのではと思う。
端的に言うなら「これはこれで」。
・わんらぶ - 杉浦次郎
連載第3話。
主人公が自らの変態性をようやくにして自覚するという展開。
平行して作品内の空気も重くなってきているけれど、主人公の妹だけは全力全開で変態のままです。
・トランスフォーム・ガール - かずといずみ
設定は悪くないのに、ページ数の少なさがそれを殺してしまっている感じ。
せめてもう5、6ページあれば…
・プライベートレッスン - ナヲコ
やっと決着がつきそう。
と思わせておいて次回に続くという。
待ち遠しい…
・しまいずむ - 吉富昭仁
花粉症は。
つらいよね。
◇
こんなところで。
今回は比較的当たりが多かった。初登場の作家さんも多く、そのことが新鮮味を引き出す要因にもなっていたと思う。
ひとつひとつは短いながら、掲載作全部の感想を書いていることからも、それを察していただけるのではないだろうか。
予告がないので次回作家陣についてはわからず。
予告の通りになるかわからないという不確実さゆえに載せるのをやめてしまったのだろうか。
ともあれ次号にも期待したい。
そんな百合アンソロの11冊目。
表紙を描くのは先日最終回を迎えたテレビアニメ「フラクタル」のキャラクターデザインでお馴染みの左氏。
例によって目に留まった作品の感想などを書いてゆく。
◇
・カラーイラスト - 箸井地図
作品のタイトルではなく、純粋なカラーイラスト。
お姉さん同士の百合も大好きなので全然あり。
むしろバッチコイ。
・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
新キャラ登場。クールっぽい外見の眼鏡の塾講師と、その塾に通う生徒さん。めがねめがね。
この後の流れはだいたい予想がつく…と思っていたら、終盤でその予想の三倍ほどに加速してった感じ。
次回どうなるのか非常に気になる。
・ひみつのレシピ - 森永みるく
ここ数回で私のなかでの高値更新中な本作。アクセル踏み込んでからの飛ばしっぷりが半端ない。
今回もまた素晴らしい仕上がりを見せてくれている。
若槻がもう少し賢ければ意外とあっさり片のついている問題だと思うんだけど、そうであるがゆえに現状のもやもやした関係を楽しむことができるのであり、ここは若槻がバカであることに感謝しなければならないだろう。
・ネガ⇔ポジ - 天王寺キツネ
異様にフェティッシュな写真ばかりを撮る女の子の話。
新聞部所属ということで卒業アルバムに使う写真の撮影を頼まれるのだが、撮る写真の悉くがどうしてこうなったと言わんばかりに偏愛的なのだ。
尻だの太ももだのにフォーカスするコマがほんと無駄に多くて吹く。
前後編の前編なので、ストーリーの真価は次々号に掲載されるという後編を読んでみるまでわからない。
・prism - 東山翔
連載第2話。というか連載だったのか。
今回は光ちゃんの心情にも強めのスポットライトが当てられていて、前回うやむやだったふたりの関係に決着がつけられている。
東山先生の作品はエロマンガでありながら心情描写をしっかりしてくれるので、百合を描いてもうまいだろうと思ってはいたけれど、その期待に見事応えてもらえたかたちである。
次回も楽しみだ。
・花と星 - 鈴菌カリオ
あいかわらずテンションたけえ。
…のはいいんだけど、そのテンションにキャラの心情が追いついていない感じ。唐突さを覚える場面が散見される。
もう少し緩やかにした方が、ストーリーにも深みが出るんじゃないかなあ。
・苺カーディガン - モロやん
学校の先生と引っ込み思案な生徒の話。ふたりとも眼鏡装備なあたりが私によし。
後半は台詞がなくなって完全に絵だけで話が進行していく。こういう作品もあっていいと思う。
・とりどりの花 - 塚井ヨウ
主人公が初っ端に男と付き合い始めるというなかなかチャレンジャブルな作品。
四コママンガの体をなしているというところもこの雑誌にしては珍しい。
一見するとそのように奇をてらった部分ばかりが目につくのだが、質の方もかなりいい。
キャラの性格のよさがそう思わせてくれる要因なのだろう。
・魚の見る夢 - 小川麻衣子
姉妹百合。そう一言で書くとほんわかした雰囲気を想像されるかもしれないが、この作品はやや病的。
束縛も依存も、恋愛を語る上では切り離せない命題だ。百合もまた然り。
連載第1回なので、続きがあるということになる。好きなタイプのストーリーなのでかなりうれしい。
・レンアイマンガ - コダマナオコ
最終回。
展開が、ほんの少し性急すぎたかなという気がする。あと1話くらい使ってじっくり描いてもよかったんじゃないかな。
でも、オチは素直にいいと思った。ああいうかたちで繋がりの深さを描写するのはとてもいい。
・キャンディ - 鈴木有布子
連載第5話。
結ばれたあとも、一筋縄ではいかないねぇというお話。
相手がモテると大変だ。
・べことてくてく - 三谷知子
田舎に住む女の子と、その田舎に越してきた美少女の話。
主人公がイケメンすぎて惚れそう。
今回だけでも十分いい話だけど、続きがあるならぜひ読みたい。
・恋するシュガーコットン - 天童きりん
百合と見なすかどうかで物議を醸しそうな作品。主人公の体の性別が男であることがその理由だ。
心は女の子なので精神性に重きを置くなら百合と呼んで差し支えないだろうけど、遺伝子がXYであるというのはそれだけで百合好きの拒否反応を誘発しかねない事柄だ。
個人的には、こういう作品の存在が許容されてもいいのではと思う。
端的に言うなら「これはこれで」。
・わんらぶ - 杉浦次郎
連載第3話。
主人公が自らの変態性をようやくにして自覚するという展開。
平行して作品内の空気も重くなってきているけれど、主人公の妹だけは全力全開で変態のままです。
・トランスフォーム・ガール - かずといずみ
設定は悪くないのに、ページ数の少なさがそれを殺してしまっている感じ。
せめてもう5、6ページあれば…
・プライベートレッスン - ナヲコ
やっと決着がつきそう。
と思わせておいて次回に続くという。
待ち遠しい…
・しまいずむ - 吉富昭仁
花粉症は。
つらいよね。
◇
こんなところで。
今回は比較的当たりが多かった。初登場の作家さんも多く、そのことが新鮮味を引き出す要因にもなっていたと思う。
ひとつひとつは短いながら、掲載作全部の感想を書いていることからも、それを察していただけるのではないだろうか。
予告がないので次回作家陣についてはわからず。
予告の通りになるかわからないという不確実さゆえに載せるのをやめてしまったのだろうか。
ともあれ次号にも期待したい。

百合姫2011年5月号を読んだ
百合姫Sとの統合後第3号。
例によって目に留まった作品の感想を書く。
◇
ゆるゆり - なもり
アニメ化だそうで。
のみならず単行本3ヶ月連続刊行だそうで。
しかもストックはないそうで。
今号でも60ページほども描いているし、そろそろ本当になもり先生が倒れてしまうのではないかと心配でならない。
あたしはお姉ちゃん - ロクロイチ
一風変わった姉妹百合。
お姉ちゃんがクレバーで性格も見た目も格好良いのに、妹には甘いというあたりはもはやお約束。
そのお約束を貫くと見せかけて…というお話だ。
ロクロイチ先生のマンガは心情描写をしっかりやってくれるので好き。
百合男子 - 倉田嘘
百合なのに男子という一見すると意味不明なマンガの第2話。
どういうことかというと、百合好きな男が主人公なのである。
百合を好むがゆえに男である自分を異物と認識する主人公の価値観には共感しないでもないのだが、8割くらいがバカなテンションで、しかもそれを異様に高い画力でもって描いているので、変にシュールで笑えてしまう。
見開き4ページを使って主人公(♂)が渾身の左ストレートを入れられる百合マンガがかつてあっただろうか。私は寡聞にして見た記憶がないよ…
Rose letter - 慎結
美少年顔の女の子とその友達の話。
20ページに満たない短い作品だけれど、よくまとまっている。
vampire girl - 田仲みのる
吸血鬼モノの百合は「カーミラ」のように著名な作品がある一方で、数そのものは少ないように思う。
そんなスキマを狙うがごとき設定の作品。
場面転換のテンポのよさは相変わらずで、最後に一捻り加えてくる手腕もさすがの一言。
欲を言えばもっと長めの尺で描いてほしかったけど、これは贅沢に過ぎるか。
ふ~ふ - 源久也
ガールズキラーかななさん破れるの図。
普段攻め気なキャラが逆に振り回されるという構図に激しく萌える。
心路戀情 - 東雲水生
前後編の後編。
互いを思い合う双子の女の子たちのエピソードを、主人公の過去回想を絡めて描いていく。
かわいいけど艶のある画風が結構好み。
毎度話をきっちりまとめてくれるあたりも好き。
或る少女の群青 - 百乃モト
いつも電車に乗り合わせる百合カップルに憧れを持つ女子高生の話。
同性ゆえの現実の厳しさとか、世代の違いによる意識のズレとか、そういった細々した要素をちりばめてあるわりには、比較的よくまとまった作品だと思う。
江里さんの心情がもっと表に出ていたら、さらに味わい深い作品になっていたかも。
3秒ルール - かずまこを
この短さでこのクオリティは、もうさすがと言うしかない。
描くべき1場面だけをスパッと描ききった良作。
◇
こんなところで。
感想は書いていないのだが、短編小説も2本ほど掲載されている。
巻末には百合SSの書き方を解説するコラムがあったりもして、これからは文字媒体にも力を入れていきたいという気概が伝わってくるかのようだ。
百合要素を含むマンガ作品は今やありふれたものとなったけれど、これが小説となるとぐっと少なくなってしまう。その飢餓状態を脱するための一助に百合姫がなってくれるのなら、この上なくありがたいことなのだけれど、はてさて。
例によって目に留まった作品の感想を書く。
◇
ゆるゆり - なもり
アニメ化だそうで。
のみならず単行本3ヶ月連続刊行だそうで。
しかもストックはないそうで。
今号でも60ページほども描いているし、そろそろ本当になもり先生が倒れてしまうのではないかと心配でならない。
あたしはお姉ちゃん - ロクロイチ
一風変わった姉妹百合。
お姉ちゃんがクレバーで性格も見た目も格好良いのに、妹には甘いというあたりはもはやお約束。
そのお約束を貫くと見せかけて…というお話だ。
ロクロイチ先生のマンガは心情描写をしっかりやってくれるので好き。
百合男子 - 倉田嘘
百合なのに男子という一見すると意味不明なマンガの第2話。
どういうことかというと、百合好きな男が主人公なのである。
百合を好むがゆえに男である自分を異物と認識する主人公の価値観には共感しないでもないのだが、8割くらいがバカなテンションで、しかもそれを異様に高い画力でもって描いているので、変にシュールで笑えてしまう。
見開き4ページを使って主人公(♂)が渾身の左ストレートを入れられる百合マンガがかつてあっただろうか。私は寡聞にして見た記憶がないよ…
Rose letter - 慎結
美少年顔の女の子とその友達の話。
20ページに満たない短い作品だけれど、よくまとまっている。
vampire girl - 田仲みのる
吸血鬼モノの百合は「カーミラ」のように著名な作品がある一方で、数そのものは少ないように思う。
そんなスキマを狙うがごとき設定の作品。
場面転換のテンポのよさは相変わらずで、最後に一捻り加えてくる手腕もさすがの一言。
欲を言えばもっと長めの尺で描いてほしかったけど、これは贅沢に過ぎるか。
ふ~ふ - 源久也
ガールズキラーかななさん破れるの図。
普段攻め気なキャラが逆に振り回されるという構図に激しく萌える。
心路戀情 - 東雲水生
前後編の後編。
互いを思い合う双子の女の子たちのエピソードを、主人公の過去回想を絡めて描いていく。
かわいいけど艶のある画風が結構好み。
毎度話をきっちりまとめてくれるあたりも好き。
或る少女の群青 - 百乃モト
いつも電車に乗り合わせる百合カップルに憧れを持つ女子高生の話。
同性ゆえの現実の厳しさとか、世代の違いによる意識のズレとか、そういった細々した要素をちりばめてあるわりには、比較的よくまとまった作品だと思う。
江里さんの心情がもっと表に出ていたら、さらに味わい深い作品になっていたかも。
3秒ルール - かずまこを
この短さでこのクオリティは、もうさすがと言うしかない。
描くべき1場面だけをスパッと描ききった良作。
◇
こんなところで。
感想は書いていないのだが、短編小説も2本ほど掲載されている。
巻末には百合SSの書き方を解説するコラムがあったりもして、これからは文字媒体にも力を入れていきたいという気概が伝わってくるかのようだ。
百合要素を含むマンガ作品は今やありふれたものとなったけれど、これが小説となるとぐっと少なくなってしまう。その飢餓状態を脱するための一助に百合姫がなってくれるのなら、この上なくありがたいことなのだけれど、はてさて。
![コミック百合姫 2011年 05月号 [雑誌]](http://rcm-images.amazon.com/images/P/B004P3MQRI.09.LZZZZZZZ.jpg)
百合姫S vol.14を読んだ
今回の表紙はなもり氏。
表紙だけでなく、マンガも恐ろしい枚数を描いていらっしゃる。
その量たるや100ページに及ぶほど。
無印百合姫にも描いてた気がするけど大丈夫か、死んだりしないか。
そう心配になってしまうほどのがんばりようだ。
閑話休題。
いつものように目にとまった作品の感想などなど。
◇
・死神アリス - いづみやおとは
それほど好きな作品ではなかったんだけど、今回で印象が少し変わった。
関係の変化は性急に描くより、じっくりと描写していく方が個人的には好きだ。
・姫と魔法使い - 直江まりも
タイトルそのまんま。魔女とお姫さまの物語。
短いながらもきちっとまとまった良作。
作者氏の画力が高いことも、そう思わせる理由のひとつかも。
・年の差マイステディ - 谷村まりか
年の差百合はわりと好きなジャンルなんだけど、今回の話はキャラの扱いが好みから少し外れてた。
一コマだけでもいいからその後について言及なりがあれば、ただ憎まれるだけの端役で終わらず済んだかもしれない。
そう考えるとちょっと惜しい。
・ふ~ふ - 源久也
そろそろあるかなーと思ってたら、案の定新キャラの登場。
今回は顔見せだけで、実際に活躍するのは次回以降になる模様。
・むげんのみなもに - 高崎ゆうき
第三話+第四話。
意図してかそうでないかはわからないけど、ほんわかした絵柄のなかに、背筋の寒くなるような狂気をひそませてる作品。
恐らくは作者氏の狙っていないだろうところにもそれが反映されて、そのおかげで全体のいびつさに拍車がかかっている。
だがそれがマイナスポイントにはならずに、持ち味のひとつになっているあたりが本作のいいところだと思う。
三話で張った伏線を四話で受けていたりと、話の構造もうまくできてて楽しませてもらえた。
・flower*flower - 石見翔子
ものすごく唐突に急展開。
いや、好き嫌いで言えば好きな流れなんだけど、何の前振りもなかったからびっくりしてしまった。
次回が楽しみ。
・絶対少女アストライア - 東雲水生
ものすごく唐突に終わってしまった。
あまりにも突然すぎて、なにか理由があるんじゃないかと疑うくらい。
誌の統合のことがあるにしても、もう少し時間をかけて描いていった方がよかった気がする。
・おっかけgirls - 石田敦子
こっちも最終回。
全力で投げてどこへ行ったかわからなくなったボールをさあ取ってこい!と言われているかのような幕引きだ。
雑誌の都合に振り回されている…んだろうなあこれは。
・ゆるゆり - なもり
大体400ページほどあるこの雑誌の実に1/4が本作という恐るべき割合。
作者氏の負担を想像すると薄ら寒いものがある。
個人的には好きな作品なのでありがたいけれど。
内容としては、千歳の乱れっぷりに心震わされた。
タイトル通りにゆるい百合かと思わせておいて、意外とガチな展開もあったりするから油断ならない。あれをガチと言っていいのかは意見の分かれるところかもしれないが…
◇
こんなところで。
感想の中でもちょろっと触れたけど、本誌百合姫Sはこのvol.14をもって廃刊となり、以降は無印百合姫と統合する形になる。
そして統合後は、3ヶ月に一度の刊行だったのが隔月刊となるようだ。
要は、2種類の雑誌が1年に4冊ずつ、計8冊出ていたのが、1種類にまとめて年6冊になるよという話である。
今号に至ってまだ最終回を迎えていない作品も幾つかあるのだが、半数は統合後の百合姫に引っ越して、あとの半数はwebでの連載となる模様だ。
ふたつの雑誌がひとつとなることで、作家陣はかなり選りすぐられた感がある。
百合好きな人なら過半数の名前に見覚えがあるのではというレベルだ。
読み続けてきた雑誌がなくなるというのはやはり寂しくもあるのだけれど、その分も新たな百合姫が楽しませてくれることだろう。
表紙だけでなく、マンガも恐ろしい枚数を描いていらっしゃる。
その量たるや100ページに及ぶほど。
無印百合姫にも描いてた気がするけど大丈夫か、死んだりしないか。
そう心配になってしまうほどのがんばりようだ。
閑話休題。
いつものように目にとまった作品の感想などなど。
◇
・死神アリス - いづみやおとは
それほど好きな作品ではなかったんだけど、今回で印象が少し変わった。
関係の変化は性急に描くより、じっくりと描写していく方が個人的には好きだ。
・姫と魔法使い - 直江まりも
タイトルそのまんま。魔女とお姫さまの物語。
短いながらもきちっとまとまった良作。
作者氏の画力が高いことも、そう思わせる理由のひとつかも。
・年の差マイステディ - 谷村まりか
年の差百合はわりと好きなジャンルなんだけど、今回の話はキャラの扱いが好みから少し外れてた。
一コマだけでもいいからその後について言及なりがあれば、ただ憎まれるだけの端役で終わらず済んだかもしれない。
そう考えるとちょっと惜しい。
・ふ~ふ - 源久也
そろそろあるかなーと思ってたら、案の定新キャラの登場。
今回は顔見せだけで、実際に活躍するのは次回以降になる模様。
・むげんのみなもに - 高崎ゆうき
第三話+第四話。
意図してかそうでないかはわからないけど、ほんわかした絵柄のなかに、背筋の寒くなるような狂気をひそませてる作品。
恐らくは作者氏の狙っていないだろうところにもそれが反映されて、そのおかげで全体のいびつさに拍車がかかっている。
だがそれがマイナスポイントにはならずに、持ち味のひとつになっているあたりが本作のいいところだと思う。
三話で張った伏線を四話で受けていたりと、話の構造もうまくできてて楽しませてもらえた。
・flower*flower - 石見翔子
ものすごく唐突に急展開。
いや、好き嫌いで言えば好きな流れなんだけど、何の前振りもなかったからびっくりしてしまった。
次回が楽しみ。
・絶対少女アストライア - 東雲水生
ものすごく唐突に終わってしまった。
あまりにも突然すぎて、なにか理由があるんじゃないかと疑うくらい。
誌の統合のことがあるにしても、もう少し時間をかけて描いていった方がよかった気がする。
・おっかけgirls - 石田敦子
こっちも最終回。
全力で投げてどこへ行ったかわからなくなったボールをさあ取ってこい!と言われているかのような幕引きだ。
雑誌の都合に振り回されている…んだろうなあこれは。
・ゆるゆり - なもり
大体400ページほどあるこの雑誌の実に1/4が本作という恐るべき割合。
作者氏の負担を想像すると薄ら寒いものがある。
個人的には好きな作品なのでありがたいけれど。
内容としては、千歳の乱れっぷりに心震わされた。
タイトル通りにゆるい百合かと思わせておいて、意外とガチな展開もあったりするから油断ならない。あれをガチと言っていいのかは意見の分かれるところかもしれないが…
◇
こんなところで。
感想の中でもちょろっと触れたけど、本誌百合姫Sはこのvol.14をもって廃刊となり、以降は無印百合姫と統合する形になる。
そして統合後は、3ヶ月に一度の刊行だったのが隔月刊となるようだ。
要は、2種類の雑誌が1年に4冊ずつ、計8冊出ていたのが、1種類にまとめて年6冊になるよという話である。
今号に至ってまだ最終回を迎えていない作品も幾つかあるのだが、半数は統合後の百合姫に引っ越して、あとの半数はwebでの連載となる模様だ。
ふたつの雑誌がひとつとなることで、作家陣はかなり選りすぐられた感がある。
百合好きな人なら過半数の名前に見覚えがあるのではというレベルだ。
読み続けてきた雑誌がなくなるというのはやはり寂しくもあるのだけれど、その分も新たな百合姫が楽しませてくれることだろう。
![コミック百合姫S (エス) 2010年 11月号 [雑誌]](http://rcm-images.amazon.com/images/P/B0041TA7T0.09.LZZZZZZZ.jpg)
百合姫S vol.13を読んだ
2010年8月号。
今号の表紙はブリキさんが描いておられる。
これまでは椿あすさんだったのだが、連載作が最終回を迎えるので、それでバトンタッチしたのかもしれない。
ちなみにマンガの掲載はなし。あくまで表紙だけ。
ちょっと残念。
いつものように掲載作の感想などなど。
◇
・此花亭奇譚 - 天乃咲哉
今回も二話掲載。パワフルな作家さんだなーと思う。二話ともページ数結構あるし。
中身は祭りと川遊びの話。作品の中では一足先に夏が到来している。
おだやかでファンタジックな作風はいつも通りだったけど、キャラの新たな相関関係がわかったりして、見るべきところもしっかりあった。
・ふ~ふ - 源久也
嫉妬心を剥き出しにするきながかわいい。
キャラの心の機微に共感しやすいのがこの作品のいいところだ。
でもハグ分少なめだったのはちと残念。
・むげんのみなもに - 高崎ゆうき
連載第二話。
かわいい絵柄で悲壮感漂う話。
なのはいいんだけど、ちょっとどっちつかずな印象になってきた。
とはいえ、二話目だったらこんなものかも。
・にゃんちゅー - 米
ネコ→ネズミのおはなし。
簡単に言えば、百合版トムとジェリーである。
ネズミの方は敵意を総身にみなぎらせているのだが、そこは悲しいかな矮小なる齧歯類、ネコには敵うはずもなく、いいようになぶられてしまう。
主に脱がされたりとかコスプレさせられたりとかで。
ネコがひたすらにネズミラブなのがなかなかいい感じだった。
余談だけど、このペンネームは検索しにくいことおびただしいんじゃないかな。
他人事ながら、いらぬ心配をしてしまう…
・marriage black - 速瀬羽柴
連載第二話。
なにを欲しがってるのかは明白だけど、家の事情やらしがらみやらいろいろあって、思うようには手を伸ばせないというお話。
結局のところリリシィアもまだ覚悟を決めきれてないんだろうね。
言動が中途半端なのもそのせいだと思われる。
その辺を、この先で掘り下げていくのだろう。
・ふたりとふたり - 吉富昭仁
最終話。
当初予想したのとはだいぶ異なる結末だった。
これはこれで悪くないけど、もうちょっとシリアスでもよかったかなという気はする。
・会長と副会長 - 袴田めら
これも最終回。
メガネを取ったら美人という、メガネ好きにとって許しがたい設定はたまに見るけど、メガネを取ったらイケメン(♀)というのはやや珍しい気がする。
これで最後だからか、結構やりたい放題。けど、このくらいやってくれた方が個人的には好き。
〆も文句なし。いい作品でした。
・死神アリス - いづみやおとは
デレの威力が思いのほか大きかった。
それはいいんだけど、ご飯はよく冷ましてあげてほしいのだ。熱々のドリアは、猫舌にとってはマジ凶器なので…
・ゆるゆり - なもり
櫻子がわりとバカだ。ことによると京子に匹敵するやもしれぬ。
あと何の脈絡もなく妹登場。伏線は張ってあったけど、まさか同じ学校とは思わなかった。
同学年なのに存在知らないってありえなくね? いいのか?
いいのか。そうか。
個人的には結構好きなキャラです妹。図書室で対面に座って舌打ちされたい。
・幼馴染と呼ばないで! - 黒柾志西
始まったと思ってたら、まだスタートラインにも立っていなかったぜ。
普段は格好良い先輩のダメダメなところを見せられるのは、なかなかに堪えるのではないだろうか…
・カシオペア・ドルチェ - 高木信孝
誰彼かまわずキスしまくりの日常に、主人公以外から初めてツッコミが入った。びっくりした。
作中キャラも、異常性については認識してたんだな。
そんなどうでもいい話をよそに、サブキャラへスポットを当てた話。
この流れだと、連載もまだしばらく続いていくと見ていいようだ。
・flower*flower - 石見翔子
朱玲の正体が明らかになってからこっち、ふたりがかわいくて仕方がない。
でも、ニナが抱いているのはたぶん、同性間の友情なんだよなあ。
そこがまずひとつ目の壁。
それに加えてもうひとつ、兄絡みの壁もある。
道行きは厳しい。
・おっかけ×girls - 石田敦子
憧れの先輩へのおっかけに青春を捧げる少女たちの物語。
主人公が予想外にアホだった。
まわりの子たちも結構ダメだった。
トラブルの予感がひしひしと…
・絶対少女アストライア - 東雲水生
連載第三話。
起承転結で言うところの転。順当に話を展開させている感じ。
話のつくりはうまいと思うんだけど、もう少し意外性が欲しいかもしれない。
この先に期待。
・HONEY CRUSH - 椿あす
最終回。
百合姫S創刊から残ってたのは、この作品を除くとあとはflower*folwerくらいかな?
期間にして実に三年近く。そう考えると感慨深いものがある。
話の顛末には賛否あると思うけど、個人的には評価したい。
あえて粗探しをするならば、エピローグがあっさりしすぎていたことがそうだと言えるだろう。
もう少し濃いめに描いてもよかったんじゃないかと思う。
ともあれ、安易な抜け道に逃げ込まなかった作者氏の勇気には、称賛の意を表したい。
◇
こんなところで。
私としては、HONEY CRUSHの最終回が読めただけで万々歳な号だった。
そんな百合姫Sですが、次のvol.14を最後に無印百合姫と統合されるそうです。
でもって隔月刊化。
隔月刊化は予想してたけど、百合姫Sがなくなるとは思ってなかった。
現在連載中の作品の扱いが気になるけど、統合された新百合姫の方へまとめて引っ越しというのが妥当な流れだろうか。
強制最終回なんていう笑えない落ちだけは勘弁してもらいたいところだ。
でも引っ越しするなら、今の無印百合姫の連載作と一緒に掲載されることなるわけで。
そうなると、雑誌の厚さがとんでもないことになってしまいそうだ。
鈍器として使えるかもしれないことで有名なとあるマンガ雑誌があるけれど、ことによるとそれに近い有様になってしまうのじゃなかろうか。
隔月刊化とあわせて、本棚がますます圧迫されるフラグが立っておりますわい…
今号の表紙はブリキさんが描いておられる。
これまでは椿あすさんだったのだが、連載作が最終回を迎えるので、それでバトンタッチしたのかもしれない。
ちなみにマンガの掲載はなし。あくまで表紙だけ。
ちょっと残念。
いつものように掲載作の感想などなど。
◇
・此花亭奇譚 - 天乃咲哉
今回も二話掲載。パワフルな作家さんだなーと思う。二話ともページ数結構あるし。
中身は祭りと川遊びの話。作品の中では一足先に夏が到来している。
おだやかでファンタジックな作風はいつも通りだったけど、キャラの新たな相関関係がわかったりして、見るべきところもしっかりあった。
・ふ~ふ - 源久也
嫉妬心を剥き出しにするきながかわいい。
キャラの心の機微に共感しやすいのがこの作品のいいところだ。
でもハグ分少なめだったのはちと残念。
・むげんのみなもに - 高崎ゆうき
連載第二話。
かわいい絵柄で悲壮感漂う話。
なのはいいんだけど、ちょっとどっちつかずな印象になってきた。
とはいえ、二話目だったらこんなものかも。
・にゃんちゅー - 米
ネコ→ネズミのおはなし。
簡単に言えば、百合版トムとジェリーである。
ネズミの方は敵意を総身にみなぎらせているのだが、そこは悲しいかな矮小なる齧歯類、ネコには敵うはずもなく、いいようになぶられてしまう。
主に脱がされたりとかコスプレさせられたりとかで。
ネコがひたすらにネズミラブなのがなかなかいい感じだった。
余談だけど、このペンネームは検索しにくいことおびただしいんじゃないかな。
他人事ながら、いらぬ心配をしてしまう…
・marriage black - 速瀬羽柴
連載第二話。
なにを欲しがってるのかは明白だけど、家の事情やらしがらみやらいろいろあって、思うようには手を伸ばせないというお話。
結局のところリリシィアもまだ覚悟を決めきれてないんだろうね。
言動が中途半端なのもそのせいだと思われる。
その辺を、この先で掘り下げていくのだろう。
・ふたりとふたり - 吉富昭仁
最終話。
当初予想したのとはだいぶ異なる結末だった。
これはこれで悪くないけど、もうちょっとシリアスでもよかったかなという気はする。
・会長と副会長 - 袴田めら
これも最終回。
メガネを取ったら美人という、メガネ好きにとって許しがたい設定はたまに見るけど、メガネを取ったらイケメン(♀)というのはやや珍しい気がする。
これで最後だからか、結構やりたい放題。けど、このくらいやってくれた方が個人的には好き。
〆も文句なし。いい作品でした。
・死神アリス - いづみやおとは
デレの威力が思いのほか大きかった。
それはいいんだけど、ご飯はよく冷ましてあげてほしいのだ。熱々のドリアは、猫舌にとってはマジ凶器なので…
・ゆるゆり - なもり
櫻子がわりとバカだ。ことによると京子に匹敵するやもしれぬ。
あと何の脈絡もなく妹登場。伏線は張ってあったけど、まさか同じ学校とは思わなかった。
同学年なのに存在知らないってありえなくね? いいのか?
いいのか。そうか。
個人的には結構好きなキャラです妹。図書室で対面に座って舌打ちされたい。
・幼馴染と呼ばないで! - 黒柾志西
始まったと思ってたら、まだスタートラインにも立っていなかったぜ。
普段は格好良い先輩のダメダメなところを見せられるのは、なかなかに堪えるのではないだろうか…
・カシオペア・ドルチェ - 高木信孝
誰彼かまわずキスしまくりの日常に、主人公以外から初めてツッコミが入った。びっくりした。
作中キャラも、異常性については認識してたんだな。
そんなどうでもいい話をよそに、サブキャラへスポットを当てた話。
この流れだと、連載もまだしばらく続いていくと見ていいようだ。
・flower*flower - 石見翔子
朱玲の正体が明らかになってからこっち、ふたりがかわいくて仕方がない。
でも、ニナが抱いているのはたぶん、同性間の友情なんだよなあ。
そこがまずひとつ目の壁。
それに加えてもうひとつ、兄絡みの壁もある。
道行きは厳しい。
・おっかけ×girls - 石田敦子
憧れの先輩へのおっかけに青春を捧げる少女たちの物語。
主人公が予想外にアホだった。
まわりの子たちも結構ダメだった。
トラブルの予感がひしひしと…
・絶対少女アストライア - 東雲水生
連載第三話。
起承転結で言うところの転。順当に話を展開させている感じ。
話のつくりはうまいと思うんだけど、もう少し意外性が欲しいかもしれない。
この先に期待。
・HONEY CRUSH - 椿あす
最終回。
百合姫S創刊から残ってたのは、この作品を除くとあとはflower*folwerくらいかな?
期間にして実に三年近く。そう考えると感慨深いものがある。
話の顛末には賛否あると思うけど、個人的には評価したい。
あえて粗探しをするならば、エピローグがあっさりしすぎていたことがそうだと言えるだろう。
もう少し濃いめに描いてもよかったんじゃないかと思う。
ともあれ、安易な抜け道に逃げ込まなかった作者氏の勇気には、称賛の意を表したい。
◇
こんなところで。
私としては、HONEY CRUSHの最終回が読めただけで万々歳な号だった。
そんな百合姫Sですが、次のvol.14を最後に無印百合姫と統合されるそうです。
でもって隔月刊化。
隔月刊化は予想してたけど、百合姫Sがなくなるとは思ってなかった。
現在連載中の作品の扱いが気になるけど、統合された新百合姫の方へまとめて引っ越しというのが妥当な流れだろうか。
強制最終回なんていう笑えない落ちだけは勘弁してもらいたいところだ。
でも引っ越しするなら、今の無印百合姫の連載作と一緒に掲載されることなるわけで。
そうなると、雑誌の厚さがとんでもないことになってしまいそうだ。
鈍器として使えるかもしれないことで有名なとあるマンガ雑誌があるけれど、ことによるとそれに近い有様になってしまうのじゃなかろうか。
隔月刊化とあわせて、本棚がますます圧迫されるフラグが立っておりますわい…
![コミック百合姫S (エス) 2010年 08月号 [雑誌]](http://rcm-images.amazon.com/images/P/B003PLNK6W.09.LZZZZZZZ.jpg)
つぼみvol.6を読んだ
百合のマンガだけを集めたアンソロジーの6冊目。
今回の表紙はカトウハルアキ氏。雑誌の表紙を描くのは初めてだったそうである。
例によって目にとまった作品の感想を。
◇
・Green. - 大朋めがね
連載第1話。全5話ほどの構成になる予定だそうだ。
この作者氏にしてはやわらかめの話。作風変えたのかな?
・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
いろいろあったりなかったりしつつ進んできたふたりの道程も、ここらでひとまず一区切りといった様相。
いやはや収まるべき鞘に収まってくれてよかったよかった。
あと、先生の意図に気付いてからの乙女がすごくかわいかった。
今後はどうなるんだろう。続くのか、それとも別の連載を始めるのか。
・キャンディ - 鈴木有布子
連載第2話。
というか連載だったのか。読みきりだとばかり思ってた。
可南さんがあいかわらずのナチュラルボーンガールズキラーっぷりを発揮しております。
一条姐さんは、ヒロインからは嫉妬の対象にされてるけど、可南との腐れ縁は見ていて正直心地良い。
幼稚園からってことは、「ぱっとしない」可南をずっと見てきたということだ。そのうえで、彼女と無二の親友であり続けてきたということだ。
ひょっとしたら、両親以上にお互いをわかり合えている間柄とも言えるのかもしれない。
そんなだから、ヒロインが嫉妬せざるを得ない気持ちもわかるんだけど、腐れ縁同士仲良くしてるのもまた眼福である、と。
・ロンサム・エコー - きぎたつみ
宣言通りに律子さんの話。前回に出てきた双子の叔母だ。
天然というか、ぽわぽわした印象のキャラだったんだけど、話はちょっとシリアスムード。
助けを求めてるのは、はたしてどちらなのかな。
・あこがレディをもみタイム - 天野シロ
最初に言っておくと、エステティックサロンの話である。揉むのは背中とかそっち方面の肉である。おっぱいではない。
でも、許されれば恍惚の表情を浮かべて揉みにはしりそうな主人公ではある。
・はみだし音楽隊 - 水谷フーカ
タイトルの通りに吹奏楽部の話。珍しく登場キャラ多め。
ロバートが男前すぎる。いや女の子なんだけども。
・無限遠点 - 関谷あさみ
短い!
そういやお姉さん全然出てこなくなったな。最初は思いきりヒロインぽかったのに…
・はさみとゆび - 犬神すくね
良質なラブコメを描きなさる作家さんだから、きっと百合でもいけるだろうと思ってたら、案の定いい感じの雰囲気。
ただ、落ちのつけ方はちょっと急すぎるかなと思った。ああなるのなら、途中で気付くとかしててもよかったと思う。
・タンデムLOVER - カサハラテツロー
連載第2話。これも続くとは思ってなかったからちょっと驚き。
舞台は前回と同じだけど、登場キャラは刷新。こういうスタイルでおそらくは描いていくのだろう。
・レンアイマンガ - コダマナオコ
大好きなマンガを描いている先生に憧れを抱いて編集者となったはいいものの、当の先生はイメージとは真逆の人物で…という比較的ありがちなストーリー。
でも、百合でそれをやると印象も変わって見えてくるのが不思議だ。
続きが楽しみ。
・エンドレスルーム - 藤が丘ユミチ
褐色のお嬢様とホテルの従業員のお話。
キャラ、シナリオ、構成、すべてがハイレベルにまとまっていておもしろい。
今号の最優秀作筆頭。
・ダーリン・ダーリン - 縞野やえ
前後編の前編。倦怠期に入ったカップルの話。
後味の悪いところで後編に続くとなっているので先が超気になる。ハッピーエンドであってほしい。
・一緒にかえろう - 矢直ちなみ
四コママンガ。まんがタイム系の雑誌で連載されている作品のようだ。
雰囲気がとてもいい。単行本が欲しくなった。
・SWEET LIPS - 青木俊直
いちご大福はキスの感触に近いらしい。
でも私が試したらいろいろ終わる気がする。年若い少女がやってたらむしろ映えるのに。なぜだ。
・ガールズライド - 磯本つよし
連載第2話。
セイが好意を抱いているのはわかるけど、ナンさんはどうなんだろうか。
思わせぶりなことをするけど、内心はなかなか読みがたい…
・ひみつのレシピ - 森永みるく
どんどんドツボにはまっていく流れに吹いた。
ほんとどうしてこうなった…
・プライベートレッスン - ナヲコ
連載第3話。
本作にはまったりほんわかした百合を期待していたんだけど、なんだか雲行きが怪しくなってきた。
妙なことにはならない…とは思うけど、どうなってしまうのか続きが気になる。
・しまいずむ - 吉富昭仁
情け容赦のかけらもない蹴りに吹いた。
普通に恐いよ!
◇
こんなところで。
今号はいまいちという印象だった。
原因ははっきりしている。連載の第1話や、前後編の前編が多かったからだ。
話として完成されているものにより強い満足感を覚えるのは必然であり、であるならば今までよりそれの少ない今号にいまいちという印象を抱いたのも当然のなりゆきと言える。
そして次号では、印象もまた上向くことだろう。
今回の表紙はカトウハルアキ氏。雑誌の表紙を描くのは初めてだったそうである。
例によって目にとまった作品の感想を。
◇
・Green. - 大朋めがね
連載第1話。全5話ほどの構成になる予定だそうだ。
この作者氏にしてはやわらかめの話。作風変えたのかな?
・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
いろいろあったりなかったりしつつ進んできたふたりの道程も、ここらでひとまず一区切りといった様相。
いやはや収まるべき鞘に収まってくれてよかったよかった。
あと、先生の意図に気付いてからの乙女がすごくかわいかった。
今後はどうなるんだろう。続くのか、それとも別の連載を始めるのか。
・キャンディ - 鈴木有布子
連載第2話。
というか連載だったのか。読みきりだとばかり思ってた。
可南さんがあいかわらずのナチュラルボーンガールズキラーっぷりを発揮しております。
一条姐さんは、ヒロインからは嫉妬の対象にされてるけど、可南との腐れ縁は見ていて正直心地良い。
幼稚園からってことは、「ぱっとしない」可南をずっと見てきたということだ。そのうえで、彼女と無二の親友であり続けてきたということだ。
ひょっとしたら、両親以上にお互いをわかり合えている間柄とも言えるのかもしれない。
そんなだから、ヒロインが嫉妬せざるを得ない気持ちもわかるんだけど、腐れ縁同士仲良くしてるのもまた眼福である、と。
・ロンサム・エコー - きぎたつみ
宣言通りに律子さんの話。前回に出てきた双子の叔母だ。
天然というか、ぽわぽわした印象のキャラだったんだけど、話はちょっとシリアスムード。
助けを求めてるのは、はたしてどちらなのかな。
・あこがレディをもみタイム - 天野シロ
最初に言っておくと、エステティックサロンの話である。揉むのは背中とかそっち方面の肉である。おっぱいではない。
でも、許されれば恍惚の表情を浮かべて揉みにはしりそうな主人公ではある。
・はみだし音楽隊 - 水谷フーカ
タイトルの通りに吹奏楽部の話。珍しく登場キャラ多め。
ロバートが男前すぎる。いや女の子なんだけども。
・無限遠点 - 関谷あさみ
短い!
そういやお姉さん全然出てこなくなったな。最初は思いきりヒロインぽかったのに…
・はさみとゆび - 犬神すくね
良質なラブコメを描きなさる作家さんだから、きっと百合でもいけるだろうと思ってたら、案の定いい感じの雰囲気。
ただ、落ちのつけ方はちょっと急すぎるかなと思った。ああなるのなら、途中で気付くとかしててもよかったと思う。
・タンデムLOVER - カサハラテツロー
連載第2話。これも続くとは思ってなかったからちょっと驚き。
舞台は前回と同じだけど、登場キャラは刷新。こういうスタイルでおそらくは描いていくのだろう。
・レンアイマンガ - コダマナオコ
大好きなマンガを描いている先生に憧れを抱いて編集者となったはいいものの、当の先生はイメージとは真逆の人物で…という比較的ありがちなストーリー。
でも、百合でそれをやると印象も変わって見えてくるのが不思議だ。
続きが楽しみ。
・エンドレスルーム - 藤が丘ユミチ
褐色のお嬢様とホテルの従業員のお話。
キャラ、シナリオ、構成、すべてがハイレベルにまとまっていておもしろい。
今号の最優秀作筆頭。
・ダーリン・ダーリン - 縞野やえ
前後編の前編。倦怠期に入ったカップルの話。
後味の悪いところで後編に続くとなっているので先が超気になる。ハッピーエンドであってほしい。
・一緒にかえろう - 矢直ちなみ
四コママンガ。まんがタイム系の雑誌で連載されている作品のようだ。
雰囲気がとてもいい。単行本が欲しくなった。
・SWEET LIPS - 青木俊直
いちご大福はキスの感触に近いらしい。
でも私が試したらいろいろ終わる気がする。年若い少女がやってたらむしろ映えるのに。なぜだ。
・ガールズライド - 磯本つよし
連載第2話。
セイが好意を抱いているのはわかるけど、ナンさんはどうなんだろうか。
思わせぶりなことをするけど、内心はなかなか読みがたい…
・ひみつのレシピ - 森永みるく
どんどんドツボにはまっていく流れに吹いた。
ほんとどうしてこうなった…
・プライベートレッスン - ナヲコ
連載第3話。
本作にはまったりほんわかした百合を期待していたんだけど、なんだか雲行きが怪しくなってきた。
妙なことにはならない…とは思うけど、どうなってしまうのか続きが気になる。
・しまいずむ - 吉富昭仁
情け容赦のかけらもない蹴りに吹いた。
普通に恐いよ!
◇
こんなところで。
今号はいまいちという印象だった。
原因ははっきりしている。連載の第1話や、前後編の前編が多かったからだ。
話として完成されているものにより強い満足感を覚えるのは必然であり、であるならば今までよりそれの少ない今号にいまいちという印象を抱いたのも当然のなりゆきと言える。
そして次号では、印象もまた上向くことだろう。

愛百合女学院へようこそ☆を読んだ
著者は成田空子。
イラストはCHI-RAN。
タイトルの☆にはハートが入ります。
同じティアラ文庫より発刊された「384,403km」が思ったより読めたので、こいつはどうだということで手に取ってみたけど、ものの見事に期待を裏切られた。
最初の十ページほどで挫折しかけた心をなんとか持ちこたえさせて、どうにかこうにか読み切ることには成功。
しかしページ数が少なく内容も薄いので、読むのが遅い私としてはあり得ないほどの短時間で読み終わってしまった。大体一時間ほど。
ちなみに一般的なラノベであれば、同じページ数だとこの倍はかかる…
一番我慢ならなかったのは、主人公が我が儘なうえに頭が悪すぎること。
我が儘にはそれなりの理由があったし、その辺りの展開も、悪くなかったとは思う。
でも、それ以外のところがひどすぎる。
主人公は、物語を読むうえで一番長く付き合うことになるキャラクターだ。好感どころか反感を持ってしまうようでは、ストーリーを楽しむどころではない。
のみならず、作品にとっての致命的な弱点にもなってしまいかねない。
主人公だけじゃない。
ほかのキャラも持ち味を活かせていないし、犯罪まがいというか、確実に捕まるようなことをしておいて殆どお咎めなしだったりと、もう無茶苦茶。
ここまで凄いと、もはや笑うしかない。
褒められるところは、主人公が我が儘を通す理由と、それに関連してヒロインとの仲を深めるあたりの流れくらい。
そこだけは、ちゃんと物語になっていたと思う。
でも、そこ以外が駄目なので、全体としては大きくマイナスになってしまっている。
言いたかないが、もうちょっと何とかできたんじゃないかと、そう思えてならない作品だった。
イラストはCHI-RAN。
タイトルの☆にはハートが入ります。
同じティアラ文庫より発刊された「384,403km」が思ったより読めたので、こいつはどうだということで手に取ってみたけど、ものの見事に期待を裏切られた。
最初の十ページほどで挫折しかけた心をなんとか持ちこたえさせて、どうにかこうにか読み切ることには成功。
しかしページ数が少なく内容も薄いので、読むのが遅い私としてはあり得ないほどの短時間で読み終わってしまった。大体一時間ほど。
ちなみに一般的なラノベであれば、同じページ数だとこの倍はかかる…
一番我慢ならなかったのは、主人公が我が儘なうえに頭が悪すぎること。
我が儘にはそれなりの理由があったし、その辺りの展開も、悪くなかったとは思う。
でも、それ以外のところがひどすぎる。
主人公は、物語を読むうえで一番長く付き合うことになるキャラクターだ。好感どころか反感を持ってしまうようでは、ストーリーを楽しむどころではない。
のみならず、作品にとっての致命的な弱点にもなってしまいかねない。
主人公だけじゃない。
ほかのキャラも持ち味を活かせていないし、犯罪まがいというか、確実に捕まるようなことをしておいて殆どお咎めなしだったりと、もう無茶苦茶。
ここまで凄いと、もはや笑うしかない。
褒められるところは、主人公が我が儘を通す理由と、それに関連してヒロインとの仲を深めるあたりの流れくらい。
そこだけは、ちゃんと物語になっていたと思う。
でも、そこ以外が駄目なので、全体としては大きくマイナスになってしまっている。
言いたかないが、もうちょっと何とかできたんじゃないかと、そう思えてならない作品だった。

コミック百合姫S Vol.12を読んだ
発売直後には買ってあったのだが、時間がなくて今になるまで読むことができなかった。
さらっと掲載作品の感想などなど。
◇
・むげんのみなもに - 高崎ゆうき
連載第一話。
見開きのカラー絵が大槍葦人っぽい塗り。
雰囲気は結構出てる作品だと思う。
かわいい絵柄とストーリーとのギャップも悪くない。
ちょっと底が浅くも見えるけど、二話三話と続いていく中でそれも解消されていくかもしれない。
・ふ~ふ - 源久也
連載第二話。
すぅちゃんがムッツリすぎて吹く。
前回より破壊力が増してる気がする。ハンモックとか。
・此花亭奇譚 - 天乃咲哉
怪談の話。
まだちょっと早すぎね? とも思うけどファンタジーなので問題あるまい。
蓮のぐらつきっぷりがすごい。もう素直になってしまえばいいのにと思う。
・おっかけ×girls - 石田敦子
絵柄は特徴的で華があるけど、間の取り方がちょっと性急にすぎる感じ。
ギャグ偏重ならそれでもいいだろうけど、ストーリー性も求めるならもう少しゆるやかでもよさげ。
まあ例によって好みの範疇だとは思う。
・会長と副会長 - 袴田めら
これまでずっと、思いが通じてからも常に差のあったふたりの立ち位置が、今回で初めて並んだ感じ。
ある意味ここからが本当のスタートと言えるのかも。
次号最終回。
・幼馴染みと呼ばないで! - 黒柾志西
静さんの報われなさがつらい。
むつみさんの叫びが熱い。
なんかもうしっちゃかめっちゃか。
でも結構おもしろい。
・ゆるゆり - なもり
ちなつちゃんがどんどん痛いキャラになりつつある。
初登場時、京子に怯えてた様子とかはどこにいった。
ていうかバールのようなものは正式名称なんていうんだろう。
・ふたりとふたり - 吉富昭仁
そっちかーそっちにいっちゃうかー。
もっときつい展開を覚悟してただけに、ちょっと拍子抜け。
ふたりの出会いが弥生時代とか言いだしたときには本気で混乱した。そんなスピリチュアルな方向にいってしまうのかと。
次号最終回。
・marriage black - 速瀬羽柴
強いて言うなら百合版ロミオとジュリエット。
命を盾に我を押しとおす展開に燃える。
隠された意思にこれほど説得力を持たせられる流れもそうはないだろう。
主人公が精神的に強ければなおよかったけど、そこはたぶん連載第一話なので、必要に応じてそうしているのだと思う。
・オレンジイエロー - 乙ひより
淡々としているようで緩急のつけ方とかすげえうまい。
みゅーさんが素直でアホかわいくてつらい。
主人公の無口無表情さはこういう展開でこそ活きてくる。
と思ったらもう終わりか。いい締めくくりだったけど、欲を言えばもっと読んでいたかった。
・秘密の宮園 - すこやか
荒削り感がすごい。あんまり得意じゃないのにSFやってるようなイメージ。
このあたりのこなれてなさは、新人作家さんだから仕方ないっちゃそうなのだろう。
でもネタだけに頼らず真面目に話を作ろうとしているところには好感が持てる。
と思ったら最後の最後で吹いた。結局それかよ!(褒め言葉)
・コノハナリンク - 玄鉄絢
まとめて読みてえ!
早く単行本をプリーズ!!
・絶対少女アストライア - 東雲水生
前回で立ち上がった物語を、この第二話できちっと受けている。
第一話はたしか微妙だと評した記憶があるけど、二話では奥深さがぐっと増した。
長編向きの作家さんなのだろうと思う。
・flower*flower - 石見翔子
ようやっと核心に迫ってきた感じ。
ニナの過去と本当の目的が明らかになった。
対して兄の秘密に関しては、大部分がいまだ闇の中。
そこを知るにはもうしばらくの時を待たねばならないようだ。
・南波と海鈴 - 南方純
最終回なのに誰が誰だかいまいちわかってなくてつらい。
でも大団円でよかったよかった。
・HONEY CRUSH - 椿あす
作者氏の百合作家としての開花ぶりがすさまじい。
一話目を読んだときには失礼ながら絵だけの作品だなんて思ったものだけど、それからストーリーのつくりや間の取り方がどんどんうまくなっていって、今では中身もともなった上質な百合作品だ。
絵がよくてストーリーもいいなら、それはもう絶賛せざるをえないわけで。
今回まで引っぱって引っぱって引っぱりぬいて、連載十二話にいたってようやく見せた恭子の素の顔。
普段がクールでさっぱりしたキャラだからこそ、こうした展開がものすごく引き立つ。
だって第一話の掲載2007年9月ですよ。そこから二年半引っぱり通して完璧に近いかたちで伏線束ねてんですよ。そんなん盛り上がらないわけないでしょうと。
次回最終回。超楽しみ。
◇
号を重ねるごとに厚さが増していってる気がする。
気がするじゃなくて、第一号と今号を比べると実際に倍くらい差があるんだけども。
手に取ったときに「あれ、こんなに厚かったっけ?」と思ってしまった。
まあそれはともかく。
今号と次号で結構な数の作品が最終回を迎えるようで、その代わりの新連載が幾つか載っている。
次号でも何本か掲載されるのだろう。
掲載作の質の面ではつぼみという強力なライバルが存在しているけど、新人の発掘に関して百合姫の牙城はそうそう揺るがないと思われる。
これからも業界の先鋒としてがんばっていってほしい。
さらっと掲載作品の感想などなど。
◇
・むげんのみなもに - 高崎ゆうき
連載第一話。
見開きのカラー絵が大槍葦人っぽい塗り。
雰囲気は結構出てる作品だと思う。
かわいい絵柄とストーリーとのギャップも悪くない。
ちょっと底が浅くも見えるけど、二話三話と続いていく中でそれも解消されていくかもしれない。
・ふ~ふ - 源久也
連載第二話。
すぅちゃんがムッツリすぎて吹く。
前回より破壊力が増してる気がする。ハンモックとか。
・此花亭奇譚 - 天乃咲哉
怪談の話。
まだちょっと早すぎね? とも思うけどファンタジーなので問題あるまい。
蓮のぐらつきっぷりがすごい。もう素直になってしまえばいいのにと思う。
・おっかけ×girls - 石田敦子
絵柄は特徴的で華があるけど、間の取り方がちょっと性急にすぎる感じ。
ギャグ偏重ならそれでもいいだろうけど、ストーリー性も求めるならもう少しゆるやかでもよさげ。
まあ例によって好みの範疇だとは思う。
・会長と副会長 - 袴田めら
これまでずっと、思いが通じてからも常に差のあったふたりの立ち位置が、今回で初めて並んだ感じ。
ある意味ここからが本当のスタートと言えるのかも。
次号最終回。
・幼馴染みと呼ばないで! - 黒柾志西
静さんの報われなさがつらい。
むつみさんの叫びが熱い。
なんかもうしっちゃかめっちゃか。
でも結構おもしろい。
・ゆるゆり - なもり
ちなつちゃんがどんどん痛いキャラになりつつある。
初登場時、京子に怯えてた様子とかはどこにいった。
ていうかバールのようなものは正式名称なんていうんだろう。
・ふたりとふたり - 吉富昭仁
そっちかーそっちにいっちゃうかー。
もっときつい展開を覚悟してただけに、ちょっと拍子抜け。
ふたりの出会いが弥生時代とか言いだしたときには本気で混乱した。そんなスピリチュアルな方向にいってしまうのかと。
次号最終回。
・marriage black - 速瀬羽柴
強いて言うなら百合版ロミオとジュリエット。
命を盾に我を押しとおす展開に燃える。
隠された意思にこれほど説得力を持たせられる流れもそうはないだろう。
主人公が精神的に強ければなおよかったけど、そこはたぶん連載第一話なので、必要に応じてそうしているのだと思う。
・オレンジイエロー - 乙ひより
淡々としているようで緩急のつけ方とかすげえうまい。
みゅーさんが素直でアホかわいくてつらい。
主人公の無口無表情さはこういう展開でこそ活きてくる。
と思ったらもう終わりか。いい締めくくりだったけど、欲を言えばもっと読んでいたかった。
・秘密の宮園 - すこやか
荒削り感がすごい。あんまり得意じゃないのにSFやってるようなイメージ。
このあたりのこなれてなさは、新人作家さんだから仕方ないっちゃそうなのだろう。
でもネタだけに頼らず真面目に話を作ろうとしているところには好感が持てる。
と思ったら最後の最後で吹いた。結局それかよ!(褒め言葉)
・コノハナリンク - 玄鉄絢
まとめて読みてえ!
早く単行本をプリーズ!!
・絶対少女アストライア - 東雲水生
前回で立ち上がった物語を、この第二話できちっと受けている。
第一話はたしか微妙だと評した記憶があるけど、二話では奥深さがぐっと増した。
長編向きの作家さんなのだろうと思う。
・flower*flower - 石見翔子
ようやっと核心に迫ってきた感じ。
ニナの過去と本当の目的が明らかになった。
対して兄の秘密に関しては、大部分がいまだ闇の中。
そこを知るにはもうしばらくの時を待たねばならないようだ。
・南波と海鈴 - 南方純
最終回なのに誰が誰だかいまいちわかってなくてつらい。
でも大団円でよかったよかった。
・HONEY CRUSH - 椿あす
作者氏の百合作家としての開花ぶりがすさまじい。
一話目を読んだときには失礼ながら絵だけの作品だなんて思ったものだけど、それからストーリーのつくりや間の取り方がどんどんうまくなっていって、今では中身もともなった上質な百合作品だ。
絵がよくてストーリーもいいなら、それはもう絶賛せざるをえないわけで。
今回まで引っぱって引っぱって引っぱりぬいて、連載十二話にいたってようやく見せた恭子の素の顔。
普段がクールでさっぱりしたキャラだからこそ、こうした展開がものすごく引き立つ。
だって第一話の掲載2007年9月ですよ。そこから二年半引っぱり通して完璧に近いかたちで伏線束ねてんですよ。そんなん盛り上がらないわけないでしょうと。
次回最終回。超楽しみ。
◇
号を重ねるごとに厚さが増していってる気がする。
気がするじゃなくて、第一号と今号を比べると実際に倍くらい差があるんだけども。
手に取ったときに「あれ、こんなに厚かったっけ?」と思ってしまった。
まあそれはともかく。
今号と次号で結構な数の作品が最終回を迎えるようで、その代わりの新連載が幾つか載っている。
次号でも何本か掲載されるのだろう。
掲載作の質の面ではつぼみという強力なライバルが存在しているけど、新人の発掘に関して百合姫の牙城はそうそう揺るがないと思われる。
これからも業界の先鋒としてがんばっていってほしい。
![コミック百合姫S (エス) 2010年 05月号 [雑誌]](http://rcm-images.amazon.com/images/P/B003AXNVFA.09.LZZZZZZZ.jpg)
ナハトイェーガーを読んだ
著者は涼本悠一。
イラストは一美。
サブタイトルは「菩提樹荘の闇狩姫」。
百合と聞いて購入し、その期待を裏切らない内容だった。
簡潔に言うと、このような感じになる。
序盤の文章からの違和感が酷く、これはハズレを掴んだかと思うのも束の間のこと、ページを四十もめくる頃には印象が逆転し、悪くないと思い始めていた。
そして第一幕を読み終えたときには、上質な百合作品であるという風に、考えを改めさせられていた。
舞台はとあるお嬢様学校。
共学だが、そうなったのは近年のことであり、男子生徒はまだ少ないという設定だ。
そこの一生徒である平凡な少女が、本作の主人公となっている。
彼女がふとしたきっかけから、ゴシックな衣服を身にまとう外国人の少女と出会うところから物語は始まる。
逢瀬が重ねられるたびにふたりの距離は縮まっていき、やがては級友や、時代錯誤な和装の少女も交えた奇談へと発展していく。
そんな感じの物語である。
先述の通り、立ち上がりがやや悪いと感じたのだが、そこさえ越えてしまえばあとは一気に読み進めることができた。
ファンタジックな要素が本著には多分に含まれており、それ絡みの問題を解決することがヒロインたちの主目的ともなるのだが、作中においてもっとも重要視されているのは、主人公とヒロインが仲を深めていく過程である。主題はあくまで百合ということだ。
主人公はそうした方面に天性の才覚があるらしく、プラチナブロンドの少女だけでなく、十二単の貴人からも言い寄られることになったりする。
そのふたりともが超然とした性格の持ち主であり、身なりに違わずおよそ浮世離れした言葉遣いやものの考え方をするので、彼女たちと主人公との掛け合いは現実離れしていてコミカルであり、読んでいてとても楽しいものだった。
また同時に、ふたりは女性をかどわかすことに躊躇がないので、言動にはときにうっすらと、ときに明白に情欲を匂わせる。それを主人公が受けてうろたえるという流れに繋がるのだが、そういった言動もまた作風に合っていて、魅力を深めているように感じられた。
広げすぎに思える風呂敷を、この一冊できちんと畳んでいるあたりも評価すべきポイントだろう。
決着のつけ方は予想とまるで違うものだったが、悪い印象は受けなかった。むしろ、この作品に似合いの落ちと言えるだろう。
プラチナブロンドのゴシック幼女、黒の長髪を膝まで届かせる和装の少女、そして百合。
このあたりのフレーズに惹かれるものがあるなら、読んでみて損はないと思う。
イラストは一美。
サブタイトルは「菩提樹荘の闇狩姫」。
百合と聞いて購入し、その期待を裏切らない内容だった。
簡潔に言うと、このような感じになる。
序盤の文章からの違和感が酷く、これはハズレを掴んだかと思うのも束の間のこと、ページを四十もめくる頃には印象が逆転し、悪くないと思い始めていた。
そして第一幕を読み終えたときには、上質な百合作品であるという風に、考えを改めさせられていた。
舞台はとあるお嬢様学校。
共学だが、そうなったのは近年のことであり、男子生徒はまだ少ないという設定だ。
そこの一生徒である平凡な少女が、本作の主人公となっている。
彼女がふとしたきっかけから、ゴシックな衣服を身にまとう外国人の少女と出会うところから物語は始まる。
逢瀬が重ねられるたびにふたりの距離は縮まっていき、やがては級友や、時代錯誤な和装の少女も交えた奇談へと発展していく。
そんな感じの物語である。
先述の通り、立ち上がりがやや悪いと感じたのだが、そこさえ越えてしまえばあとは一気に読み進めることができた。
ファンタジックな要素が本著には多分に含まれており、それ絡みの問題を解決することがヒロインたちの主目的ともなるのだが、作中においてもっとも重要視されているのは、主人公とヒロインが仲を深めていく過程である。主題はあくまで百合ということだ。
主人公はそうした方面に天性の才覚があるらしく、プラチナブロンドの少女だけでなく、十二単の貴人からも言い寄られることになったりする。
そのふたりともが超然とした性格の持ち主であり、身なりに違わずおよそ浮世離れした言葉遣いやものの考え方をするので、彼女たちと主人公との掛け合いは現実離れしていてコミカルであり、読んでいてとても楽しいものだった。
また同時に、ふたりは女性をかどわかすことに躊躇がないので、言動にはときにうっすらと、ときに明白に情欲を匂わせる。それを主人公が受けてうろたえるという流れに繋がるのだが、そういった言動もまた作風に合っていて、魅力を深めているように感じられた。
広げすぎに思える風呂敷を、この一冊できちんと畳んでいるあたりも評価すべきポイントだろう。
決着のつけ方は予想とまるで違うものだったが、悪い印象は受けなかった。むしろ、この作品に似合いの落ちと言えるだろう。
プラチナブロンドのゴシック幼女、黒の長髪を膝まで届かせる和装の少女、そして百合。
このあたりのフレーズに惹かれるものがあるなら、読んでみて損はないと思う。
