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龍盤七朝ケルベロス壱を読んだ

著者は古橋秀之。
イラストは藤城陽。
シェアードワールド、龍盤七朝の新シリーズ。

ある時代のある国に、一個の怪物がいた。
身の丈九尺九寸。腕の一振りで百人を屠り、槍を放れば街一つを壊滅させる。
人の身におよそ不可能なその暴虐は、なればこそ行う者は人にあらざり、いわく「天災」、いわく「怪物」。
世にその超常ぶりを知らぬ者はなく、当然のように一国の盟主となって他国を蹂躙していくそれを、畏怖を込めて人々はこう呼ぶ。いわく、「覇王」と。

そして本著の冒頭には、こう綴られている。
「これは、一匹の怪物の物語だ」と。
三首四眼五臂六脚、戦場に現れ声高く喚けば敵将の首が落ち、姿を見れば目が潰れ、影に触れれば寿命が縮み、吐き出す毒気は一軍丸ごとを死滅させる。
歴戦の兵までを震え上がらせるそのモノは、ヒトというには到底あたわず、ならば怪物と呼ぶ他ない。

怪物を殺す者が、もしあるとするなら。
そのモノもまた、怪物でなければならない。
だからこれは、「一匹の怪物の物語」だ。

そんな感じのあらすじ。
一昨年読んだラノベの中でもとりわけ面白かった、「龍盤七朝・DRAGON BUSTER」の、世界観を同じくする別作品ということもあって、それなり以上の期待を込めて手に取った。

際立つのは描写のうまさ。
一見すると何気ない、ごく普通の文章だ。
しかしこれが、読みやすい。読んでいて、引っかかるということがない。
書くべきことを、必要なだけの言葉で、簡潔に、最大の効果を上げるように、書いてある。
だから、一見すると普通だ。でも読みやすく、わかりやすく、水のようにすっと入ってくる。

戦闘描写が特に顕著だ。
一文を読めば、場面が脳裏へ色鮮やかに描き出される。
つぶてのように打ち当たる雨の中、赤熱し光り輝く鎧を身につけた、人智を超えた怪物の姿。
雷光を背にした見上げんばかりの威容は、ただそこに在るだけで、周囲に破壊をもたらす。
赤銅色の皮膚に落ちる雨粒は、その端から蒸気に変わり、あたりを駆けめぐる力の暴風に飲まれていく。
携える槍は鉄柱と見まがうばかりに太く巨大で、兜の奥の眼光は、それだけで人を殺せるほど強大な意思の力を宿し、燃えるように輝いている。
こんな化け物と出会ってしまったら、ましてや相対してしまったら。そこにはもう、絶望しかない。
勝てる見込みなど、万に一つもありはしない。
一文を読むだけで、そう確信させられる。それほどに、精彩に満ちた描写。

普通に面白い。
当たり前のように面白い。
珍しくもないごく見慣れた材料を堅実に積み上げていって、できた代物が精緻をきわめた螺鈿細工。そんな印象の物語。
だから「普通に」面白い。

端的に言って期待通り。それ以上と言ってもいいかもしれない。
シリーズの第一巻として、申し分のない内容だと思う。
なので、次巻以降にも期待する。きっと裏切られることはないだろう。


龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)

テーマ : 武侠小説
ジャンル : 小説・文学

クロノ×セクス×コンプレックス1を読んだ

著者は壁井ユカコ。
イラストはデンソー。

内容を端的に言うと、「TS」+「ハリポタ」+「時かけ」。
不思議な路地で女の子とぶつかったことにより、その子と体が入れ替わってしまった主人公が、そのままおかしな空間へ飛ばされて、魔法学院で時空魔法を学ぶ羽目になる、というお話だ。
誰が見てもそうとわかるくらいに無茶苦茶な展開であり、それゆえか、要素を統合しきれていないという印象を受けた。
料理の材料をボールに入れて混ぜ込んだというよりは、原材料のままくっつけてみたというイメージだ。
具体的には、「TS物か」、「次は魔法学園物か」、「今度は時かけか」という具合に、要素の切り替わりが読んでいて認識できる。
素材同士の繋ぎ目が見えてしまうのだ。
このあたりが「くっつけてみたイメージ」と評した原因である。

ただ、それぞれの要素のレベルは高い。
たとえば、本作をTS物として見たならば、かなり質の高い作品と言うことができる。
言うなれば、いい素材を使ってうまく仕込みはしたものの、最終的な調理の段階で平凡な出来になってしまったという感じだ。
味は悪くないどころかむしろ良いんだけど、これもっと美味しくできたんじゃね?と少し思ってしまうのだ。
そういう意味で、若干ながら惜しいと言える作品である。

個人的には先述の通り、良いTS物だと思ったので、そういう嗜好のある人にはお勧めできる。
主人公が肉体的に女性化した男性であり、女子寮に入っているということもあってか、第三者視点から見ると百合になる場面が頻出する。私によしと言いたいところだが、中身が男である以上、百合には相当しない。物語の根幹をなす設定であるし、そもそも私はTS物も大好きなので、文句を言うつもりはさらさらないのだが、なぜか少し、ほんの少しだけ惜しいと思ってしまう。これが百合好きのサガなのか。

この一巻では、共学校であるという設定が置き去りにされ、おあつらえ向きに女の子ばかりがスポットライトを浴びているけど、次の巻では男性キャラの出番もいくらか増えるそうである。

今のところ、巻が進んだとしても主人公の身には破滅しか訪れないように思えるけど、実際にどうなるかは読み続けないとわからない。
予定調和に終わるのか、はたまた主人公が未来を変えるのか。
続きが楽しみだ。


クロノ×セクス×コンプレックス 1 (電撃文庫 か 10-17)

テーマ : ジェンダー小説(IS、GID・性同一性障害、女装、男装、他ジェンダー関連全般
ジャンル : 小説・文学

彼女は眼鏡HOLICを読んだ

著者は上栖綴人。
イラストはトモセシュンサク。

タイトルにもある通り、本著の主役は眼鏡である。
主人公は眼鏡を操り戦う「眼鏡使い」であり、その超常の力を駆使して眼鏡を悪用せんとする敵たちと戦っていく。
もちろん、コンタクトレンズも倒すべき敵である。
そんな物語だ。

しかし、本著の特徴は眼鏡だけにとどまらない。
まずおっぱいだ。
出てくるキャラの多くが巨乳なのである。
お風呂のシーンなんかもあったりする。
当たり前のように挿絵もある。
最高だ。

まだある。
ニーソックスだ。
物語の舞台となる学園では、女子はニーソックスの着用が義務づけられているらしく、女性キャラの全員がこれを着用している。
挿絵には太ももへの食い込みもばっちり描かれており、更には絶対領域まで展開されているという気合いの入れようである。
感動的だ。

そして極めつけ。
百合なのだ。
女の子同士でキャッキャウフフなのである。
のみならずラブラブなのである。
眼鏡で百合。
おっぱいでニーソックス。
なんと素晴らしい世界だろうか。
私も混ぜてほしい。
わりと切実に。

でも、そういった特色がドストライクである一方で、文章はあまりこなれていない。
下手というのとはまた違うと思うのだが、どうも洗練されていない印象を受けるのだ。
著者氏の頭のなかにあるイメージと、実際に書かれた文章とが剥離しているように感じられる。
恐らく、著者氏が小説を書き慣れていないんじゃないかと思う。

だがそれでも、著者氏の眼鏡に対する愛情の深さは、十分すぎるほどに伝わってきた。明らかにやりすぎと思えるほどに、眼鏡がチートアイテム化していたからだ。
その万能感たるや凄まじく、「この世界、眼鏡あったらほかに何もなくても生きていけるんじゃね?」と思えるほどの勢いである。
そうまでして眼鏡讃歌を歌いたいのが著者氏という人物なのだろう。
物語の読み手として手放しの賛同はできかねるが、しかし少なからず感銘を受けたことは告白しなければなるまい。

徹頭徹尾、眼鏡づくしな本作品。
人にはあまり勧められないけど、百合と眼鏡とおっぱいとニーソックスを愛する者の一人として、読む価値はあったと思う。


彼女は眼鏡HOLIC (HJ文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

カラミティナイト-オルタナティブ-を読んだ

著者は高瀬彼方。
イラストはひびき玲音。

百合と思って読んでいたら、その期待を裏切られてしまった。
百合っぽくはあるものの、あくまでぽいというだけであり、私にとってはそうと言いがたい内容だった。
どうやらAmazonのタグ機能は、あまりあてにしない方がよさそうだ。

気を取り直して内容の評価。
期待を裏切られたというショックを差し引いても、あまり良い作品とは感じなかった。
まず第一に、ラノベにしては展開がおとなしすぎるということが挙げられる。
作中ではそれなりに事件が発生し、登場キャラクターが翻弄されてもいくのだが、それが盛り上がりと言えるほどにはなっていないのだ。
言うなれば、起承転結の起のあとになだらかな道が続いて、最後に転で終わるといった感じの物語である。

そう、転で終わるのだ。
つまりこの本では完結せずに、一番いいところで次巻へ続くとなっているのである。

それはいい。ラノベにはよくあることだ。
問題は、そこまでの展開に三百ページ超の文量が必要であったのか、疑問に思えることなのだ。

一言で言うなら冗長。
それは言いすぎとしても、もっと削ることはできたように思う。
展開がなだらかでおとなしすぎると感じたのは、この辺が原因になっているのではないだろうか。

連作小説としての評価は、次の巻を読んでみないことにはつけられないけど、この巻だけで言うなら良くて凡作といったところ。
でも百合への期待なしで読んでいたなら、いくらか好意的な評価を下せていた可能性もある。そう考えると、いろいろな意味で不幸な作品だったと言えるのかもしれない。


カラミティナイト-オルタナティブ- (GA文庫 た 6-1)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

迷い猫オーバーラン!を読んだ

著者は松智洋。
イラストはぺこ。
副題は「拾ってなんていってないんだからね!!」。
春からのアニメ放送が予定されており、矢吹健太朗氏の手になるマンガ版が、ジャンプスクエアにて連載中だ。

あらすじとしては、学校へ通うかたわらで姉の経営する洋菓子店を手伝っていた主人公が、トラブルメーカーであるその姉が拾ってきた少女と同居する羽目になり、幼馴染兼洋菓子店のバイトである少女も交えてすったもんだの騒動が展開されるという感じである。
男性主人公一人に対し、ヒロインキャラがたくさん登場するという比較的よくあるタイプのラブコメだ。

ただ、メインヒロインの性格に一風変わった特徴が見受けられる。
ツンデレってものを一段掘り下げて書いてある感じなのだ。
ヒロインはツンデレではあるのだが、そうなるに至る理由付けが作中でしっかりとなされている。
それが物語のクライマックスにもかかわってくるというあたり、ちょっと珍しいタイプの作品と言えるのではないだろうか。

あとはサブキャラの菊池家康君に驚愕させられたということを書いておかねばならないだろう。

「忙しかったのに、お前のメールで邪魔されてムカつきました。俺と俺の右手に謝れ!」

この一文には目を疑うしかありませんでした。
男性諸氏には共感できるところも多少ならずあるかもしれない。

インターネット上のサイトが実名で登場したりするあたりは、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でも使われていた手法だ。
そういったところは好き嫌いのありそうなポイントではある。
だが話はまとまっていて面白いし、全体としては悪くないと私は思う。
ツンデレ少女の一挙一動をただ楽しみたいという欲求をこの本が満たしてくれることは、恐らく無い。
しかし既存のツンデレに当てはまらない、少し変わったツンデレが見てみたいというなら、手に取ってみる価値はあると思う。


迷い猫オーバーラン!―拾ってなんていってないんだからね!! (集英社スーパーダッシュ文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

ごくペン!を読んだ

著者は三原みつき。
イラストは相音うしお。
MF文庫新人賞、審査員奨励賞受賞作。

今や時代遅れとなりつつあるかに見えて意外に根強い人気を見せている四文字タイトルは、この作品を端的に書き表している。
「ペン」とは筆記具、つまり文章を書くことだ。
そして「ごく」とは極道、つまり任侠のことである。

極道という言葉、または存在に対しては、基本的にマイナスイメージがつきまとう。
だがこの作品においての極道は、弱きを助け強きをくじき、仁義を通そうとする言葉通りの任侠者だ。
日本でも最低クラスの低学力校へ、ある目的をもって編入した主人公は、力こそ正義を地でいく世紀末覇者伝説的な校風にもめげることなく、小さい頃に離ればなれとなった幼馴染みの少女を探すことになる。
はたして少女は見つかり、彼女もまた主人公のことを覚えていた。
のだがしかし、彼女は幼い頃とは似ても似つかぬ姿と性格、すなわちヤクザの親分に収まっていたのである。

という物語。
学校内でヤクザとかわけわかんねーよと思われるかもしれない。私も最初のうちはそう思っていた。
けれどこの「学校内でヤクザ」という明らかに異常なシチュエーションには、具体的な理由付けがなされている。
その理由ゆえに、少女は主人公との約束を裏切るようなかたちでヤクザの頭へ収まったのであり、最初のうちはそれを認められなかった主人公も、彼女たちヤクザと共に過ごしていくなかで、次第に考えを改めていくことになる。

こう書くとふざけたようで真面目な話なのかと思われるかもしれない。私も最初のうちはそう思っていた。
しかし基本的にはすごくバカな物語である。真面目にやっているようでも、根本はバカであり無茶苦茶だ。
主人公は作中におけるツッコミ担当的なポジションなのだが、目に見えて手が足りていない。ツッコミに対して、ボケの量も質も上すぎるのである。
だからツッコミが追いつかず、恐るべき無茶苦茶が公然とまかり通っている。とてつもなくカオスなストーリーなのである。

そしてその混沌のなかでも、一本の筋を通している。
著者が語りたいと思っていることを、最初から最後まで、きちんと貫き通している。
この本のなにがいいって、そこがいい。
それがあるからこそ、カオスな展開も面白く読める。
そういう作品だった。


ごくペン! (MF文庫J)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

影執事マルクの迷走を読んだ

著者は手島史詞。
イラストはCOMTA。
影使いの眼鏡執事が主のために七転八倒するシリーズの第5巻。

今回は短編集となっているのだが、少し変わった趣向が凝らされている。
短編集とはその名の通り、サブキャラクターたちによるサイドストーリーや、主人公の過去話などを短編形式でいくつか綴り、それらを一冊にまとめたものを一般には指す。
その際、メインストーリーからは一旦離れる場合が多いため、幕間とか小休止とか箸休めとか、印象としてはそういったものに近いことが多い。
だからシリーズによっては、短編集の巻であることをわかりやすくするために、副題をつけたり巻数に『.5』をつけたりする。「○○3.5巻」といった具合にだ。
つまるところ短編集というのは、本編とは別個のものとして扱われることが多いのである。

しかしこの本の場合は、短編集を本編のストーリーへ組み込むという珍しい形式をとっているのだ。
本シリーズにおけるメインストーリーの主人公は眼鏡執事のマルク少年なのだが、この巻では彼が仕える主であるエルミナ嬢が主役となっている。
彼女がとあるアクシデントに巻き込まれてしまい、その行く先々で本シリーズ登場キャラたちのサイドストーリーを盗み見るという形式でもって、本編と短編集を融和させているのである。

どうしてそんな面倒なことをしたのかというと、担当氏にそう命じられたからだとあとがきに書いてあった。ついでに担当氏が鬼であるとも。
でも、その甲斐はあったと思う。著者氏が苦労した分、しっかり面白くなっていたからだ。
短編をひとつ読み進めるごとにストーリーも少しずつ進んでいき、最終的には今回のアクシデントも解決されることになる。
その、短編を追う過程で投げ掛けられる問いと、解決によって導かれた答えの流れが、実にスマートで鮮やかだった。
伏線を張って回収する流れのスマートさが著者氏の持ち味だと前巻の感想に書いた覚えがあるけれど、それを再確認させられたかたちだ。
そんでもって、最後の最後にとんでもない爆弾が仕掛けられてもいた。
予想しなかったわけではないけど、もっと先のことになると考えていた。思いのほかの急展開。
次の巻を手に取るときが待ち遠しい。


影執事マルクの迷走 (富士見ファンタジア文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

這いよれ!ニャル子さん3を読んだ

著者は逢空万太。
イラストは弧印。
クトゥルフの邪神に這いよられてSAN値がごりごり下がるシリーズの第三巻。

一言で言うと微妙だった。
要所要所ではそれなりに面白いのだが、全体としてはそれほどでもないというか。
原因として考えられるのは、パロディネタに頼りすぎなことだと思う。
ちょっとうざいと感じるくらいにてんこ盛りになっていて、それがメインストーリーの良い部分にも悪影響を与えてしまっている。
具体的に言うとテンポが悪くなっているのだ。そこはさらっと流しといても別にいいんじゃね?という場面でもパロディネタを押し通しているので、無駄に冗長に感じられてしまう。
元ネタの九割はわかったので、元ネタが理解できないがゆえのつまらなさってわけでもないと思う。つまりはみだりに使いすぎなのではないか、と。
パロディネタはたしかに面白いが、それはあくまでスパイスとして使うからそう感じるのであって、入れ過ぎてしまえばそりゃあ味もおかしくなってしまおうというもの。何事もほどほどが一番だと思う。

あとは、本著にはトランスセクシャルファンタジー、いわゆるTS、つまりは性別変更的な要素があるのだが、そこをもう少ししっかりやってほしかった。
突如として起こった体の劇的な変化にキャラクターが戸惑う様子とか、性差からくる認識の違いに驚くさまとか、そういったものをもっとじっくりねっとり描写してほしかったのだ。
はい、単なる個人的な好みです。これはあくまで物語を盛り上げるための一要素に過ぎなかったので、そこに濃密さを求めるのは筋違いというものだろう。
それにラノベのヒロインが決してやってはいけないレベルの大業をニャル子さんが成し遂げてもくれたので、それで満足しておこうと思う。あれには正直、卒倒しそうになった。普通思いついてもやりはしないだろうに、それを躊躇なく行う彼女の好奇心には驚嘆せざるを得ない。
つうかこの作品のヒロイン連中は性欲持て余しすぎだ…

そしてニャル子さん強い。
超強い。
さすが原典においても旧支配者筆頭に並ぶ力を持つとされるジョーカー的存在なだけあって、敵が地球に襲来してきたときのベジータくらいの強さなのに、自分は既にフリーザ並という恐るべきインフレっぷり。
主人公からチート呼ばわりされ、シリーズのラスボスは実はこいつなのではと疑われるだけのことはある。
最後の一撃は、仮面ライダーディケイドのファイナルフォームライド+第三次スパロボαの大雷凰の最強技神雷というカオスっぷりだった。

幕引きから見るに、続巻は確実に出ると思われる。というか三月半ばに発売されるそうだ。
今度はパロディネタにはあまり頼らずがんばってほしい。


這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

とある飛空士への恋歌2を読んだ

著者は犬村小六。
イラストは森沢晴行。
ラーメンが神の料理に思えてくるシリーズの第2巻だ。

主人公はかつての皇国第一王子。
革命によって皇室が滅ぼされる折に運良く助け出され、飛空挺技師の養子として生きてきた。
革命以後はおおむね平和に、かつ幸せに暮らしてきた彼であったが、自分から両親を奪い去った革命軍を、そしてその旗印だった少女のことを今でも憎んでいる。
そんな彼は、ある事情により世界の最果てを目指す一大計画の一員として、空に浮く巨大な島に乗って旅立つことになる。
彼を動かしたもの。それは革命軍のあの少女が島に乗るという情報だった。

というあらすじだ。
主人公は飛空士見習いであり、よって空を飛ぶ描写がちょくちょく出てくる。
だがこの2巻も1巻と同様、中心となっているのは人間ドラマであり、空戦の場面などはまだ出てこない。
人間ドラマも王道的な設定からなるものなので、若干ありきたりだと思わないこともない。
ただ、主人公に秘密があり、ヒロインにも秘密があり、それがいつ明かされるのか、明かされたらどうなるのかというところには否が応にも惹きつけられてしまう。
そのあたりを見るに、王道をちゃんと王道として成立させている作品なのだと思う。

ストーリー的にも大きな動きはなく、経過していく時間のなかで何気ない日々を描いていくのみだ。舞台は空飛ぶ島の上だが、繰り広げられるのはさしたる驚きもないごく普通の日常なので、この巻だけなら学園ラブコメと呼んでしまってもいいかもしれない。

しかし、終盤にいたってそれが急転を迎えることとなる。
ある意味予想通りの展開ではあった。ああいった話の流れを予期していた読者は、私のほかにもたくさんいただろうと思えるくらいには。
でも、そこからどう転んでいくかの予想はまったくつかない。
だからこの作品の本質が問われるのは、きっと次巻からなのだろうと思う。


とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

とある飛空士への恋歌を読んだ

著者は犬村小六。
イラストは森沢晴行。

著者の前作「とある飛空士への追憶」は、2008年に発売されたラノベのなかでもとりわけ高く評価されており、普段ラノベを読まない人でもタイトルぐらいは知っていたりするかもしれない。
そんな作品の続編。

といっても共通しているのは世界観だけであり、キャラクターや地名などは完全に別物となっている。
同じ世界を舞台にして、まったく異なる物語が描かれているのだ。
前作は完璧と言っていい終幕を迎えていたので、キャラを同じくする後日談などでは蛇足になってしまう。
そのため続巻が出るという話になったときに、戸惑いを覚えた読者も多かったと聞く。
続編としてくくるには微妙かもしれないが、前作のファンに対してこの本の在り方は、この上ない良回答と言えるのではないだろうか。

あらすじは、さる皇国の王子が革命によってその座を追われ、紆余曲折の末に空飛ぶ島に乗って世界の果てを目指す旅に出るという感じのもの。
この一冊で完結はしておらず、あくまでシリーズの序章と言うべき内容だ。
しかし、完成度はかなり高い。
前作にも負けていないと思う。
なかでも親子の別れのシーンは胸にくるものがあった。
定石ではたしかにある。
でもだからこそ、命中率100%の攻撃のように心へ響いてしまいます。

個人的に印象深かったのが、予想していた展開の裏をかかれたこと。
王道なのか、それとも奇をてらうのか。
ストーリーに対してのそういった予想は、ラノベでなくても誰しもがついやってしまうことだと思う。
それは当たることもあるだろうし、外れることもあるだろう。
そしてその予想の裏をかかれて外れたとき、私はなぜか「やられた」と思ってしまう。
悔しいような、嬉しいような、形容しがたい感情だ。
それをこの本でも味わったのだ。
ただでさえストーリーが良いのに、そのうえ驚きを誘う要素まであるとなると、「やられた」なんて言いつつも面白いと評さざるを得ないのである。

私が予想を裏切られたのは、恐らくはイラストによるところが一番大きいと思う。
こういう流れかなと予想しつつも、イラストを見て違うだろうと考えてしまったのだ。
あれはもしかして、狙ってああいう風にしていたんだろうか。
もしそうだったら凄いと思うんだけど。
どうなんだろう 。


とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

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