わぁい!vol.1を読んだ
オトコの娘が集まる新世紀マガジン。
と表紙には書いてある。
公式サイト
http://www.ichijinsha.co.jp/waai/
内容は女装少年の出てくるゲームやアニメの紹介に、マンガ、イラスト、コラムなど。
アンソロやマンガ誌ではなく、男の娘ネタを主に扱っている雑誌である。
装丁はエロゲー雑誌のそれに近く、結構しっかりしていて紙の質もいい。
紹介されているタイトルは処女はお姉さまに恋してる2、CrossDays、花と乙女に祝福を、恋する乙女と守護の盾など。
アニメはバカテス、マリホリ、ささめきことといった作品。
掲載されてるマンガの作家陣は、神吉、ひねもすのたり、日辻ハコ、ゑむ、すえみつぢっか、冬凪れくといった具合。
個人的にはゑむ氏の「ひみつの悪魔ちゃん」がおもしろかった。
すえみつぢっか氏の「リバーシブル!」もかなりいい。
という具合にマンガの質は結構いいんだけど、全ページ数の半分ほどしかなく、スタンスとしてはあくまで雑誌である。
そのためマンガだけを目当てに買うのはあまりおすすめしない。
1,200円という価格も気軽に手を出すには不向きと言えるだろう。
個人的には、付録はいらないのでその分安くしてほしかった。
私は女装少年を見るのが好きなのであって誰かにさせたいなどという願望はなく、そもそも三次にはあまり興味がないのである。
ブルマ(風のなにか)なんてもらっても途方に暮れるしかねえよ…!
総括すると、男の娘を味わい尽くしたいという人よりも、最近興味を持ち始めた人向けの本だと言える。
もともと好きだった人なら既知であろう情報の多いことがその理由だ。
ニュースサイトなどで取り上げられていたこのvol.1はともかく、本来は季刊とか半年に一冊くらいのペースで細く長く続いていきそうな雑誌という印象である。
次号発売日は7月24日予定とのこと。
内容と価格もほぼ同じと思われる。
扱いに困る類の付録もおそらくは付くだろう。
ページ数をもっと増やしてくれると嬉しいのだが、はてさて。
と表紙には書いてある。
公式サイト
http://www.ichijinsha.co.jp/waai/
内容は女装少年の出てくるゲームやアニメの紹介に、マンガ、イラスト、コラムなど。
アンソロやマンガ誌ではなく、男の娘ネタを主に扱っている雑誌である。
装丁はエロゲー雑誌のそれに近く、結構しっかりしていて紙の質もいい。
紹介されているタイトルは処女はお姉さまに恋してる2、CrossDays、花と乙女に祝福を、恋する乙女と守護の盾など。
アニメはバカテス、マリホリ、ささめきことといった作品。
掲載されてるマンガの作家陣は、神吉、ひねもすのたり、日辻ハコ、ゑむ、すえみつぢっか、冬凪れくといった具合。
個人的にはゑむ氏の「ひみつの悪魔ちゃん」がおもしろかった。
すえみつぢっか氏の「リバーシブル!」もかなりいい。
という具合にマンガの質は結構いいんだけど、全ページ数の半分ほどしかなく、スタンスとしてはあくまで雑誌である。
そのためマンガだけを目当てに買うのはあまりおすすめしない。
1,200円という価格も気軽に手を出すには不向きと言えるだろう。
個人的には、付録はいらないのでその分安くしてほしかった。
私は女装少年を見るのが好きなのであって誰かにさせたいなどという願望はなく、そもそも三次にはあまり興味がないのである。
ブルマ(風のなにか)なんてもらっても途方に暮れるしかねえよ…!
総括すると、男の娘を味わい尽くしたいという人よりも、最近興味を持ち始めた人向けの本だと言える。
もともと好きだった人なら既知であろう情報の多いことがその理由だ。
ニュースサイトなどで取り上げられていたこのvol.1はともかく、本来は季刊とか半年に一冊くらいのペースで細く長く続いていきそうな雑誌という印象である。
次号発売日は7月24日予定とのこと。
内容と価格もほぼ同じと思われる。
扱いに困る類の付録もおそらくは付くだろう。
ページ数をもっと増やしてくれると嬉しいのだが、はてさて。

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放課後プレイを読んだ
作者は黒咲練導。
このマンガはあれだね。
作者氏に振り回されてる感覚を楽しむマンガだね。
展開がゲームネタだったり恋愛ネタだったり。
方向性だけでなく実際の描き方もまったく違うので、読んでてどっちだよ!と言いたくなることがたびたびある。
そして気づいた。
ああこれこういう感覚を楽しむマンガなんだなって。
滅茶苦茶いいところで寸止め喰らって一気にギャグ展開になるのを見るのが面白く。
また逆に、ギャグから急に緊迫感あふれるラブシーンに突入するあたりも面白い。
絵にかなり特徴があるから好き嫌いはあると思うが、個人的にはかなりいい作品だと思った。
ってのが中盤あたりまでの印象。
これが全体だと、“人前じゃ絶対読めないマンガ”という感じだった。
それはなぜか?
否応なしにニヤニヤしちゃうからである。
終盤の畳み掛けかたが物凄い。
前半あんなでこうくるのかと驚かされた。
なんともカオスな作品ではあったけど、良作であることだけは間違いないと思う。
というかこれ、電撃プレイステーションに掲載されてたという話だけど…
これが載るのか。
ゲームの雑誌にこれが。
すごい時代になったもんだ…
このマンガはあれだね。
作者氏に振り回されてる感覚を楽しむマンガだね。
展開がゲームネタだったり恋愛ネタだったり。
方向性だけでなく実際の描き方もまったく違うので、読んでてどっちだよ!と言いたくなることがたびたびある。
そして気づいた。
ああこれこういう感覚を楽しむマンガなんだなって。
滅茶苦茶いいところで寸止め喰らって一気にギャグ展開になるのを見るのが面白く。
また逆に、ギャグから急に緊迫感あふれるラブシーンに突入するあたりも面白い。
絵にかなり特徴があるから好き嫌いはあると思うが、個人的にはかなりいい作品だと思った。
ってのが中盤あたりまでの印象。
これが全体だと、“人前じゃ絶対読めないマンガ”という感じだった。
それはなぜか?
否応なしにニヤニヤしちゃうからである。
終盤の畳み掛けかたが物凄い。
前半あんなでこうくるのかと驚かされた。
なんともカオスな作品ではあったけど、良作であることだけは間違いないと思う。
というかこれ、電撃プレイステーションに掲載されてたという話だけど…
これが載るのか。
ゲームの雑誌にこれが。
すごい時代になったもんだ…

楽園 Le Paradis 第2号を読んだ
恋愛を主題とするマンガを集めたアンソロジーの第2号。
先日1号の感想を書いたばかりだけど、発刊ペースが早いというわけでは別にない。私が前号を手に取るのが遅かっただけだ。
本来は二月、六月、十月の、年三回の発刊である。
いつものように、目にとまった作品の感想を書いていく。
◇
・遠い日のBOY/未明のGIRL - 売野機子
二作掲載。
ふしぎな画風だと思う。今っぽくないのにかわいい。
引き出しもかなり広いようだ。明治・大正頃の話と、現代の若い女の子を平行して描けてしまうあたりを見るに。
そして、構成力が並外れている。たたでさえ文章量の少なくなりがちなマンガという媒体で、ぎりぎりまでテキストを削ってテンポよく印象深く、かつおもしろくってのを成立させているのだ。
二作目の落ちも私によし。
・コレクターズ/パルファン - 西UKO
二作掲載。両方百合。
二番目の作品にやられた。全6Pと非常に短い話なんだけど、そうくるか! と思わせてくれる内容で。
それでいて読む者の情動に訴えかけてくるところもあって、あーあるよなあと得心させられてしまった。
素晴らしい。
・ノミノ - 宇仁田ゆみ
幼馴染みの男女を描いた話。
キャラクター同士の関係が優しくて心地いい。
お兄ちゃんええ男じゃのう。
・想いの欠片 - 竹宮ジン
前号掲載の百合作品の前日談。
主人公が歳不相応なほど恋愛を達観してる理由は、おそらくこのエピソードにあったのだろう。
あの喫茶店にこだわる理由も、また同じく。
・乙女ループ - 鬼龍駿河
登場キャラが女の子三人だけのギャグマンガ。
ギャグのテイストが合えば楽しめる作品だと思う。私はわりと合ってるほう。
・ディアティア - かずまこを
連載第二話。
知らない感情に振りまわされる主人公が滑稽でかわいい。
根深い問題を抱えているので、ヒロインと仲良くなって、それで終わりというわけにはいかないだろうけど、それ以前にヒロインがなびいてくれないという。
思わせぶりな態度を振りまいて主人公をオタつかせるヒロインマジ鬼畜。いいぞもっとやれ。
・かまくりあん - 沙村広明
技術のすげえ無駄遣いな話だと思った。よりにもよってかまくら作るための人造人間かよ、みたいな。
アホっぽい設定なのに話は真面目なので、読んでいると妙な気分にさせられてしまう。
・GAME OVER - 水谷フーカ
この作者氏の百合以外の話を初めて読んだ。
恋愛を主題としているかぎりは百合でもヘテロでも本質は変わらないと思っているけど、実際百合を描いておもしろい作家さんって、百合以外でもおもしろいんだよね。
それを証明してると言える作品だ。
終盤のたたみ掛けるような展開に、にやにやがとまらない。
・木曜日のサバラン/おはよう楽園くん(仮) - 中村明日美子
二作掲載。
一作目は、会社帰りに寄ったケーキ屋で鉄道模型にはまるサラリーマンの話。
何を言ってるのかわからねーと思うが本当にそういう話です。ケーキ屋の奥の部屋に鉄道模型のセットが置いてあるのだ。
とっても変な話だけど、そこまで現実離れしていなくて、世界のどこかにこういう場所があってもおかしくないと、そんな風に思ってしまう。
・誰にも言えない - シギサワカヤ
子供の頃に“人に言えない遊び”をしていた男女が、いい歳のおとなになったあとの話。両者ともに恋人はいる。
歪みを自覚してからの主人公の豹変ぶりがすごい。堆積し鬱屈した感情は、ああまで人を突き動かすのだな、と思わせられる。
こういう話が、この雑誌には一番似合っている気がする。
・すきなひと - 日坂水柯
連載第二話。
百合かと思ったら百合じゃなかった。いや百合ではあるんだけど狙いがはずれてたというか。
次回あたりにそのへん描いてくれるのかな、と期待してみたり。
・ひたひた - 鶴田謙二
題字、二宮ひかるだそうだ。
非常に評価しづらい内容。そもそも恋愛じゃねえ…
実のところ、恋愛を主題とした云々と書いておきながら、この雑誌には恋愛してない作品がいくつか載っている。
でも、本作のように“人間がひとりしか出てこない作品”というのはほかにない。ひとりじゃ恋愛の成立する下地がそもそもないではないか…!
・オンリーワン - 二宮ひかる
これだよ!
こういうのを私は求めてたんだよ!(ガッツポーズしながら
作者氏の前作がエロ偏重気味だったので物足りなさを感じていたんだけど、今回で解消できた気がする。
まあ何のかんのと言ってもやっぱり男は女の子に振りまわされてこそだと思います。ハイ。
◇
こんなところで。
大当たりもいくつかあって、期待通りと言える内容だった。
次号はおそらく六月末。あと四ヶ月弱。
長いぜ…
先日1号の感想を書いたばかりだけど、発刊ペースが早いというわけでは別にない。私が前号を手に取るのが遅かっただけだ。
本来は二月、六月、十月の、年三回の発刊である。
いつものように、目にとまった作品の感想を書いていく。
◇
・遠い日のBOY/未明のGIRL - 売野機子
二作掲載。
ふしぎな画風だと思う。今っぽくないのにかわいい。
引き出しもかなり広いようだ。明治・大正頃の話と、現代の若い女の子を平行して描けてしまうあたりを見るに。
そして、構成力が並外れている。たたでさえ文章量の少なくなりがちなマンガという媒体で、ぎりぎりまでテキストを削ってテンポよく印象深く、かつおもしろくってのを成立させているのだ。
二作目の落ちも私によし。
・コレクターズ/パルファン - 西UKO
二作掲載。両方百合。
二番目の作品にやられた。全6Pと非常に短い話なんだけど、そうくるか! と思わせてくれる内容で。
それでいて読む者の情動に訴えかけてくるところもあって、あーあるよなあと得心させられてしまった。
素晴らしい。
・ノミノ - 宇仁田ゆみ
幼馴染みの男女を描いた話。
キャラクター同士の関係が優しくて心地いい。
お兄ちゃんええ男じゃのう。
・想いの欠片 - 竹宮ジン
前号掲載の百合作品の前日談。
主人公が歳不相応なほど恋愛を達観してる理由は、おそらくこのエピソードにあったのだろう。
あの喫茶店にこだわる理由も、また同じく。
・乙女ループ - 鬼龍駿河
登場キャラが女の子三人だけのギャグマンガ。
ギャグのテイストが合えば楽しめる作品だと思う。私はわりと合ってるほう。
・ディアティア - かずまこを
連載第二話。
知らない感情に振りまわされる主人公が滑稽でかわいい。
根深い問題を抱えているので、ヒロインと仲良くなって、それで終わりというわけにはいかないだろうけど、それ以前にヒロインがなびいてくれないという。
思わせぶりな態度を振りまいて主人公をオタつかせるヒロインマジ鬼畜。いいぞもっとやれ。
・かまくりあん - 沙村広明
技術のすげえ無駄遣いな話だと思った。よりにもよってかまくら作るための人造人間かよ、みたいな。
アホっぽい設定なのに話は真面目なので、読んでいると妙な気分にさせられてしまう。
・GAME OVER - 水谷フーカ
この作者氏の百合以外の話を初めて読んだ。
恋愛を主題としているかぎりは百合でもヘテロでも本質は変わらないと思っているけど、実際百合を描いておもしろい作家さんって、百合以外でもおもしろいんだよね。
それを証明してると言える作品だ。
終盤のたたみ掛けるような展開に、にやにやがとまらない。
・木曜日のサバラン/おはよう楽園くん(仮) - 中村明日美子
二作掲載。
一作目は、会社帰りに寄ったケーキ屋で鉄道模型にはまるサラリーマンの話。
何を言ってるのかわからねーと思うが本当にそういう話です。ケーキ屋の奥の部屋に鉄道模型のセットが置いてあるのだ。
とっても変な話だけど、そこまで現実離れしていなくて、世界のどこかにこういう場所があってもおかしくないと、そんな風に思ってしまう。
・誰にも言えない - シギサワカヤ
子供の頃に“人に言えない遊び”をしていた男女が、いい歳のおとなになったあとの話。両者ともに恋人はいる。
歪みを自覚してからの主人公の豹変ぶりがすごい。堆積し鬱屈した感情は、ああまで人を突き動かすのだな、と思わせられる。
こういう話が、この雑誌には一番似合っている気がする。
・すきなひと - 日坂水柯
連載第二話。
百合かと思ったら百合じゃなかった。いや百合ではあるんだけど狙いがはずれてたというか。
次回あたりにそのへん描いてくれるのかな、と期待してみたり。
・ひたひた - 鶴田謙二
題字、二宮ひかるだそうだ。
非常に評価しづらい内容。そもそも恋愛じゃねえ…
実のところ、恋愛を主題とした云々と書いておきながら、この雑誌には恋愛してない作品がいくつか載っている。
でも、本作のように“人間がひとりしか出てこない作品”というのはほかにない。ひとりじゃ恋愛の成立する下地がそもそもないではないか…!
・オンリーワン - 二宮ひかる
これだよ!
こういうのを私は求めてたんだよ!(ガッツポーズしながら
作者氏の前作がエロ偏重気味だったので物足りなさを感じていたんだけど、今回で解消できた気がする。
まあ何のかんのと言ってもやっぱり男は女の子に振りまわされてこそだと思います。ハイ。
◇
こんなところで。
大当たりもいくつかあって、期待通りと言える内容だった。
次号はおそらく六月末。あと四ヶ月弱。
長いぜ…

楽園 Le Paradis 第1号を読んだ
横文字は「ル・パラディ」と読む。
既に2号が出てるけど、私が読んだのは1号です。
ラインナップとしては、恋愛を主題としたマンガが集めてある感じ。
女性向けのマンガ雑誌と決定的に異なるのは、マンガの内容ではなく、作家によって雑誌の色が決められているあたり。
わかりやすく言うと、ジャンルがごった煮状態なのだ。
ヘテロはもちろんのこととして、百合も普通に掲載されているし、近親愛もあるし、あまつさえBLなんかも載っている。
とがったものを描く作家さんを集めてきて、好きに描かせてみたらこうなりましたみたいな。
そんな感じの雑誌である。
いつものように、目にとまった作品の感想を書いていきたいと思う。
◇
・ディアティア - かずまこを
個人的に百合のイメージが強い作家さんだけど、この作品はヘテロ。
モテるけど彼女をつくらない男の子と、先輩や友人が彼にふられるのを見てきた女の子の話。
読んでみてわかった。この人はマンガの話をつくるのがとてもうまい。
だから百合を描いてもおもしろくなるんだろうなあ。
・薔薇だって書けるよ - 売野機子
二作掲載されてるうちの一作目。
ちょっと頭の弱い若奥さんの話。
このヒロインの形質を一語をもって言い表すのはとても簡単なことだけど、でもそんなものは作品を構成するごく小さな要素のひとつに過ぎない。
何が言いたいかっていうと、とてもよくできた物語だと私は言いたいのだ。
起て承けて転じ結する。読者が望む通りのラストへと。
お見事。
・コレクターズ/mio post - 西UKO
二作掲載。ともに百合作品。
短いけど雰囲気はよく出ている。四コマのほうは特に。
二作目は一言の会話もないというおもしろい作品。こちらもなかなか良い。
・すきなひと - 日坂水柯
凝縮された積年の思いがページからにじみ出てくるかのようだ。良い。
長い間おあずけ喰らってたのに、突然いいよなんて言われたりしたら、そりゃ自制できなくもなるよなあ。
・立体交差の駅 - 中村明日美子
こちらも百合。
最後のコマ見てリアルな話だと思った。
女の子と女の子でも人間同士なので、恋愛である以上はそこに打算も計画立てもあって当然だ。
そういうのをあんな話の後にさらっと見せられると、うまいなあと思ってしまう。
・on/隷属性クラブ - 黒咲練導
ゲーム雑誌では物足りないと言わんばかりのアクセル踏みっぷり。
とがったマンガの多いこの雑誌でも、顔射まで描いてるのはこの人だけです。ある意味潔いと思う。
・思いの欠片 - 竹宮ジン
これも百合。こうして見ると多いなー百合。
主人公の性格ゆえに、わりとドライに見える話。
達観しすぎてて高校生っぽくないけど、でもこのストーリーには合っていると思う。
性の不一致ってのが身体の相性ならまだしも、もっと本来的な「性別の不一致」だったら、その後の生活がどれだけ悲惨なことになるかは想像に難くない。
だからこその恐怖であり、主人公はそこにつけ込んだとも、助け船を出したとも言える。
少ないページ数でそれだけの要素をしっかりまとめてあるあたりには感心せざるを得ない。
・…ごっこ - 二宮ひかる
ただのエロマンガじゃねーか!
そういうシーンがあるだろうことは予想してたけど、ここまで多いとは思ってなかった。
もう少し突き抜けたストーリーを期待してたので、肩すかしを食らった感が若干ながらある。
でも、作者氏らしい話だとは思う。
・あなたさえいなければ。 - シギサワカヤ
彼氏のみならず、主人公まで自分に振りまわされてしまうという話。
主人公は超がつくほどクールでガチガチの理系であり、理屈に合わない恋愛感情などというものを抱え込んでしまっては、ただ葛藤するしかないような人物だ。
きわめて難解な数式と昼夜の別なく格闘し続けるがごとく、葛藤は混迷の色を深めていき、喧嘩や別れ話へと繋がっていく。
その果てにどのような解を導き出すのか…というあたりが本作の核心だ。
ともあれ彼氏君が災難すぎると思った。
◇
こんなところで。
百合好きというのは二種類に大別できる。
ひとつは女の子同士が好きなタイプ。
ひとつは倒錯した関係に惹かれるタイプだ。
後者なら、この本を存分に楽しむことができると思う。
ちなみに私は後者である。
既に2号が出てるけど、私が読んだのは1号です。
ラインナップとしては、恋愛を主題としたマンガが集めてある感じ。
女性向けのマンガ雑誌と決定的に異なるのは、マンガの内容ではなく、作家によって雑誌の色が決められているあたり。
わかりやすく言うと、ジャンルがごった煮状態なのだ。
ヘテロはもちろんのこととして、百合も普通に掲載されているし、近親愛もあるし、あまつさえBLなんかも載っている。
とがったものを描く作家さんを集めてきて、好きに描かせてみたらこうなりましたみたいな。
そんな感じの雑誌である。
いつものように、目にとまった作品の感想を書いていきたいと思う。
◇
・ディアティア - かずまこを
個人的に百合のイメージが強い作家さんだけど、この作品はヘテロ。
モテるけど彼女をつくらない男の子と、先輩や友人が彼にふられるのを見てきた女の子の話。
読んでみてわかった。この人はマンガの話をつくるのがとてもうまい。
だから百合を描いてもおもしろくなるんだろうなあ。
・薔薇だって書けるよ - 売野機子
二作掲載されてるうちの一作目。
ちょっと頭の弱い若奥さんの話。
このヒロインの形質を一語をもって言い表すのはとても簡単なことだけど、でもそんなものは作品を構成するごく小さな要素のひとつに過ぎない。
何が言いたいかっていうと、とてもよくできた物語だと私は言いたいのだ。
起て承けて転じ結する。読者が望む通りのラストへと。
お見事。
・コレクターズ/mio post - 西UKO
二作掲載。ともに百合作品。
短いけど雰囲気はよく出ている。四コマのほうは特に。
二作目は一言の会話もないというおもしろい作品。こちらもなかなか良い。
・すきなひと - 日坂水柯
凝縮された積年の思いがページからにじみ出てくるかのようだ。良い。
長い間おあずけ喰らってたのに、突然いいよなんて言われたりしたら、そりゃ自制できなくもなるよなあ。
・立体交差の駅 - 中村明日美子
こちらも百合。
最後のコマ見てリアルな話だと思った。
女の子と女の子でも人間同士なので、恋愛である以上はそこに打算も計画立てもあって当然だ。
そういうのをあんな話の後にさらっと見せられると、うまいなあと思ってしまう。
・on/隷属性クラブ - 黒咲練導
ゲーム雑誌では物足りないと言わんばかりのアクセル踏みっぷり。
とがったマンガの多いこの雑誌でも、顔射まで描いてるのはこの人だけです。ある意味潔いと思う。
・思いの欠片 - 竹宮ジン
これも百合。こうして見ると多いなー百合。
主人公の性格ゆえに、わりとドライに見える話。
達観しすぎてて高校生っぽくないけど、でもこのストーリーには合っていると思う。
性の不一致ってのが身体の相性ならまだしも、もっと本来的な「性別の不一致」だったら、その後の生活がどれだけ悲惨なことになるかは想像に難くない。
だからこその恐怖であり、主人公はそこにつけ込んだとも、助け船を出したとも言える。
少ないページ数でそれだけの要素をしっかりまとめてあるあたりには感心せざるを得ない。
・…ごっこ - 二宮ひかる
ただのエロマンガじゃねーか!
そういうシーンがあるだろうことは予想してたけど、ここまで多いとは思ってなかった。
もう少し突き抜けたストーリーを期待してたので、肩すかしを食らった感が若干ながらある。
でも、作者氏らしい話だとは思う。
・あなたさえいなければ。 - シギサワカヤ
彼氏のみならず、主人公まで自分に振りまわされてしまうという話。
主人公は超がつくほどクールでガチガチの理系であり、理屈に合わない恋愛感情などというものを抱え込んでしまっては、ただ葛藤するしかないような人物だ。
きわめて難解な数式と昼夜の別なく格闘し続けるがごとく、葛藤は混迷の色を深めていき、喧嘩や別れ話へと繋がっていく。
その果てにどのような解を導き出すのか…というあたりが本作の核心だ。
ともあれ彼氏君が災難すぎると思った。
◇
こんなところで。
百合好きというのは二種類に大別できる。
ひとつは女の子同士が好きなタイプ。
ひとつは倒錯した関係に惹かれるタイプだ。
後者なら、この本を存分に楽しむことができると思う。
ちなみに私は後者である。

ヒャッコ5を読んだ
作者はカトウハルアキ。
学校を舞台にした群像劇風マンガの第5巻。
マンガに限った話でもないと思うが、あまりにもキャラが増えすぎると、個々の持ち味が薄まって、全体としての面白さを損なってしまうことが往々にしてある。
このマンガもまた、キャラがどんどん増えていくタイプの作品だ。
だからそのうち面白くなくなっていくのかも、なんて思ってたけど、今のところその兆候は感じられない。
むしろ面白くなってるようにも思う。
理由を考えてみるに、そもそも特定のキャラへ依存した内容ではないということが第一に挙げられるだろう。
一応、四人の主要キャラクターは存在しているのだが、彼女たちに頼っていたのは最初のうちだけで、順次増えていくほかのキャラクターたちへも、今では均等にエピソードが割り振られている。
ここで重要となるのが第二の理由だ。
キャラクターに個性があること。それも生半可なものじゃなく、かなり強烈な個性だ。
だからキャラクターの増加にともなって、その個々にスポットライトのあたる時間が減じていっても、それぞれが主要と言えるくらいの個性を持っているから、持ち味が薄まらない。つまり作品としての面白さが損なわれることもない。
この場合、キャラクターが増えることはプラスに働きこそすれ、マイナスになることはないと言えるだろう。
作者氏の別作品である夕日ロマンスの場合、強い個性を有していたのが主要キャラの数人だけで、ほかのキャラにはそれがなかった。
というかメイン三人の話こそが読んでて面白いものだったので、のちのち登場してきたほかのキャラクターには存在意義自体があまりなかったのだ。
だから、キャラが増えても面白さが希釈される結果にしかなっていなかったように思う。
その前作での失敗を、本作では見事に克服しているように見受けられた。
描きたいキャラやエピソードを、思うまま描いている作品という風に見ることもできるだろう。
けれどそれで面白くできるということは、実は群像劇に向いた作家さんなのかもしれない。
学校を舞台にした群像劇風マンガの第5巻。
マンガに限った話でもないと思うが、あまりにもキャラが増えすぎると、個々の持ち味が薄まって、全体としての面白さを損なってしまうことが往々にしてある。
このマンガもまた、キャラがどんどん増えていくタイプの作品だ。
だからそのうち面白くなくなっていくのかも、なんて思ってたけど、今のところその兆候は感じられない。
むしろ面白くなってるようにも思う。
理由を考えてみるに、そもそも特定のキャラへ依存した内容ではないということが第一に挙げられるだろう。
一応、四人の主要キャラクターは存在しているのだが、彼女たちに頼っていたのは最初のうちだけで、順次増えていくほかのキャラクターたちへも、今では均等にエピソードが割り振られている。
ここで重要となるのが第二の理由だ。
キャラクターに個性があること。それも生半可なものじゃなく、かなり強烈な個性だ。
だからキャラクターの増加にともなって、その個々にスポットライトのあたる時間が減じていっても、それぞれが主要と言えるくらいの個性を持っているから、持ち味が薄まらない。つまり作品としての面白さが損なわれることもない。
この場合、キャラクターが増えることはプラスに働きこそすれ、マイナスになることはないと言えるだろう。
作者氏の別作品である夕日ロマンスの場合、強い個性を有していたのが主要キャラの数人だけで、ほかのキャラにはそれがなかった。
というかメイン三人の話こそが読んでて面白いものだったので、のちのち登場してきたほかのキャラクターには存在意義自体があまりなかったのだ。
だから、キャラが増えても面白さが希釈される結果にしかなっていなかったように思う。
その前作での失敗を、本作では見事に克服しているように見受けられた。
描きたいキャラやエピソードを、思うまま描いている作品という風に見ることもできるだろう。
けれどそれで面白くできるということは、実は群像劇に向いた作家さんなのかもしれない。

ブロッケンブラッド4を読んだ
作者は塩野干支郎次。
主人公は少年であり、魔法少女である。
おまけに人気沸騰中の少女タレントである。
なにを言ってるのかわからないかもしれないが、要は女装少年なのである。
さまざまな理由によって、主には歳の離れた従姉妹のおばお姉さんから強要されることによって、魔法少女になることや女装することや、その姿でアイドルとして働くことを余儀なくされているのである。
主人公自身は、女装癖などかけらも持たない健全で健康な青少年だ。
だが、だからこそ女装が映えるのだとも言える。
自ら好んで女装する男の子というのもたしかにいい。その価値は否定できるものではない。
しかし、「嫌がる子へ無理矢理に」というシチュエーションであるからこそ、女装の魅力を最大限に発揮できるのだとも思う。
その点で言えば、本作の主人公には申し分のない魅力があると評して差し支えないだろう。
とはいえ実は、1巻あたりの頃には女装がそうだと敵に看破されることも多かったのだ。
というより見た目からしてかなり男の子っぽかった。
巻が進むにつれて段々と女の子らしくなっていって、今では男だと宣言しても信じてもらえないほどである。
これは、設定があって無きがごとき本シリーズの作風によるものと考えるのが妥当だとは思う。しかし私は、「女装に慣れて堂に入る演技ができるようになってきた」という説をあえて掲げたい。
理由は単純だ。その方が萌えるからである。
さて肝心の内容の方だけど、そちらは前巻までとさほども変わっていない。時事ネタを絡めたハイテンションなギャグを、ノリと勢いだけで押し通していくという構造だ。
笑えるかどうかという点については人によると思うので触れないでおく。
ただ本作の、何があっても後ろを振り向かずに全力全開で疾走する姿勢は、ギャグが合わなかったとしても好意的に見ることのできるポイントだと思う。
この4巻での特筆すべきところを最後に挙げさせてもらうと、主人公のママと従姉妹のおばお姉さんがエロ可愛かったことがそれにあたる。
シチュエーション的には、活躍の果てに引退したかつての美少女戦士が、子を持つ歳になって十数年ぶりに変身して戦うことになるというもの。わりとよく見るパターンではあるが、だからこその王道的なよさがあった。活躍の場面が少ししかないのが惜しまれる。
がしかし、それ以上に魅力的だったシーンが実はほかにあるのだ。
それは、主人公(♂)がつけたこともないブラの着用を強要されて、「つけ方がわからない…」と肩越しに振り向きながら頬を染めて訴えてくるところ。
まさに。
ま、さ、に、最強だった。
さすが主人公は格が違ったと言わざるを得ない。
主人公は少年であり、魔法少女である。
おまけに人気沸騰中の少女タレントである。
なにを言ってるのかわからないかもしれないが、要は女装少年なのである。
さまざまな理由によって、主には歳の離れた従姉妹のおばお姉さんから強要されることによって、魔法少女になることや女装することや、その姿でアイドルとして働くことを余儀なくされているのである。
主人公自身は、女装癖などかけらも持たない健全で健康な青少年だ。
だが、だからこそ女装が映えるのだとも言える。
自ら好んで女装する男の子というのもたしかにいい。その価値は否定できるものではない。
しかし、「嫌がる子へ無理矢理に」というシチュエーションであるからこそ、女装の魅力を最大限に発揮できるのだとも思う。
その点で言えば、本作の主人公には申し分のない魅力があると評して差し支えないだろう。
とはいえ実は、1巻あたりの頃には女装がそうだと敵に看破されることも多かったのだ。
というより見た目からしてかなり男の子っぽかった。
巻が進むにつれて段々と女の子らしくなっていって、今では男だと宣言しても信じてもらえないほどである。
これは、設定があって無きがごとき本シリーズの作風によるものと考えるのが妥当だとは思う。しかし私は、「女装に慣れて堂に入る演技ができるようになってきた」という説をあえて掲げたい。
理由は単純だ。その方が萌えるからである。
さて肝心の内容の方だけど、そちらは前巻までとさほども変わっていない。時事ネタを絡めたハイテンションなギャグを、ノリと勢いだけで押し通していくという構造だ。
笑えるかどうかという点については人によると思うので触れないでおく。
ただ本作の、何があっても後ろを振り向かずに全力全開で疾走する姿勢は、ギャグが合わなかったとしても好意的に見ることのできるポイントだと思う。
この4巻での特筆すべきところを最後に挙げさせてもらうと、主人公のママと従姉妹のおばお姉さんがエロ可愛かったことがそれにあたる。
シチュエーション的には、活躍の果てに引退したかつての美少女戦士が、子を持つ歳になって十数年ぶりに変身して戦うことになるというもの。わりとよく見るパターンではあるが、だからこその王道的なよさがあった。活躍の場面が少ししかないのが惜しまれる。
がしかし、それ以上に魅力的だったシーンが実はほかにあるのだ。
それは、主人公(♂)がつけたこともないブラの着用を強要されて、「つけ方がわからない…」と肩越しに振り向きながら頬を染めて訴えてくるところ。
まさに。
ま、さ、に、最強だった。
さすが主人公は格が違ったと言わざるを得ない。

プラナス・ガール1を読んだ
作者は松本トモキ。
以前私が読んで感想を書いた「女装少年アンソロジー」というタイトルそのまんまなアンソロ本に、このプラナスガールの1.5話が掲載されていて、読んで感銘を受けたことがこの本を買うにいたった理由だ。
もうおわかりかもしれないが、この作品のヒロインは女装した男の子である。
基本的な画力はとても高い作家さんだと思うのだが、どうもマンガを描きなれていないフシがある。
スポーツをやっているシーンのように、動きの激しくなるところでそれが顕著だった。
あとこの作品は、主人公がヒロインにからかわれてオタオタするというのが各話のテンプレート的な流れになっているのだが、そればかりが続くと少し冗長に感じられてしまう。
これは恐らく、話へ密接に絡むキャラが主人公とヒロインと、あと脇役のふたりしかいないことが原因の大半を占めていると思われる。
次巻掲載分では新キャラの登場があるらしいので、それによってこの問題は解消されるかもしれない。
欠点かなと思えたのは上記の二点。
ただ、「ヒロイン攻め→主人公受け」の展開に冗長さを感じると上で書きはしたのだが、これを壮大な前振りと考えるならば、あながち悪いものではないとも思う。
その「壮大な前振り」から落ちへと繋いでいるのが、三話のイチゴ飴だ。
ひたすら攻めまくる攻め気質なキャラが受けにまわったときの破壊力は、想像をはるかに凌駕するのだということを教えてもらった。
全体としては、この1巻はエンジンをかけたばかりという印象だ。
これから暖まってきて、更に上向いていく。そんな予感がする。
続きに期待したい。
以前私が読んで感想を書いた「女装少年アンソロジー」というタイトルそのまんまなアンソロ本に、このプラナスガールの1.5話が掲載されていて、読んで感銘を受けたことがこの本を買うにいたった理由だ。
もうおわかりかもしれないが、この作品のヒロインは女装した男の子である。
基本的な画力はとても高い作家さんだと思うのだが、どうもマンガを描きなれていないフシがある。
スポーツをやっているシーンのように、動きの激しくなるところでそれが顕著だった。
あとこの作品は、主人公がヒロインにからかわれてオタオタするというのが各話のテンプレート的な流れになっているのだが、そればかりが続くと少し冗長に感じられてしまう。
これは恐らく、話へ密接に絡むキャラが主人公とヒロインと、あと脇役のふたりしかいないことが原因の大半を占めていると思われる。
次巻掲載分では新キャラの登場があるらしいので、それによってこの問題は解消されるかもしれない。
欠点かなと思えたのは上記の二点。
ただ、「ヒロイン攻め→主人公受け」の展開に冗長さを感じると上で書きはしたのだが、これを壮大な前振りと考えるならば、あながち悪いものではないとも思う。
その「壮大な前振り」から落ちへと繋いでいるのが、三話のイチゴ飴だ。
ひたすら攻めまくる攻め気質なキャラが受けにまわったときの破壊力は、想像をはるかに凌駕するのだということを教えてもらった。
全体としては、この1巻はエンジンをかけたばかりという印象だ。
これから暖まってきて、更に上向いていく。そんな予感がする。
続きに期待したい。

謎の彼女X(5)を読んだ
チェンジHを読んだ

TSモノばかりを集めたアンソロジーだ。
サブタイトルに『pink』とついているだけあって、ほんのりエロい作品が多い。程度で言うなら青年誌掲載のマンガと同じくらい。射精や挿入もある。これはちょっと予想外だった。
TSモノは、性転換という過程を経るその性質上、性とは決して切り離すことができない。しかしエロいからといって良いTS作品になるかというと必ずしもそうではなく、性にまつわる葛藤をうまいこと描いた作品こそが良いTSモノとして評価されるのだ。と思う。
その点でいうなら、これに掲載された作品群は、少しばかりエロに特化しすぎている気がした。まあ私がよく調べずに買ったのがそもそもの原因なんですが。
内容は決して悪くない。それどころかむしろ良い。
アンソロ本は、多くの場合玉石混淆になってしまっているのだが、この本は半分以上が玉だと思った。なかなかに読みごたえがある。
目を惹いた作家さんの名前を挙げさせてもらうと、甘詰留太、塩野干支郎次、六道神士、おりもとみまな、たかみち、大井昌和、TALI、新井祥、以上敬称略。
こうしてみると、有名作家がかなり多い。
そのなかでも塩野干支郎次氏のは特によかった。TS的なよさではないと思いつつも、あえて挙げたくなるほどに。
氏の作品のひとつであるブロッケンブラッドを知っている人になら、あのノリのTSといえばどんなものか伝わると思う。百戦錬磨の傭兵が女の子にされて、全寮制の女子校に送り込まれるって話です。まじカオス。
TS的なよさというなら、甘詰留太氏の作品は避けて通れない。
ほかにもTSモノを描いてるだけあって、後天的な性の変化に対する戸惑いや葛藤を絶妙に描いている。
あとは六道神士氏と、TALI氏の作品は突き抜けたギャグで楽しませてもらった。
ともにツッコミが追い付かないほどのハイテンションさ。面白い。
新井祥氏は自身が両性具有であるそうで、普段はそれをネタにしたマンガを描いておられるそうだ。
この本に掲載されているのは四コママンガなのだが、実体験や取材を元にしたネタを使っておられるようで、エピソードにはリアリティと説得力があった。
たかみち氏のマンガはそこだけなぜかフルカラー。
ページ数少ないし、カラー映えする作品だとは思うけど、あとは巻頭に少しあるくらいのカラーが真ん中に集中してる図というのはちょっと面白い。
こんなところで。
TSに興味があって、好きな作家の名前が2、3もあれば、読んでみて損はないと思う。
世界の果てで愛ましょうを読んだ

作者は武田すん。
主人公の少年が異世界の王子さまの手で女にされて、そのうえ求婚されてしまうというお話だ。
俗にTSモノと呼ばれるジャンルの作品である。
この作品の魅力を言い表すには簡単な一言で十分だ。
「女の子になった主人公が超可愛い。」
以上である。
主人公があまりにも可愛すぎる。そのことを基点に物語が構成されているのだと言えば、どのくらいかご想像いただけると思う。
可愛すぎるゆえに王子も元男を妃になどという凶行へ及ぼうとするし、主人公の弟も欲望と理性の狭間で悶絶する羽目になるのだ。
普段から兄のことを憎からず思っているどころか、性的にもちょっと関心持ってたくらいのブラコン弟が、女になった兄を前に正常な精神を保ち続けるというのは恐らく極めて難しい。
しかもこの兄、つまり主人公のことだが、彼は自分が元男であるために、男相手に警戒心というものをまったく持たない。
身体は発育途上な年齢であることを忘れさせるほどに成熟しているのに、性に対しては無垢な少女のように無防備だ。男にとって、これは据え膳以外の何物でもない。
弟くんが倫理と理性と愛情と性欲の中心で揺れ動くさまは、思春期における青少年の複雑な内心を巧みに描写していると思う。真面目な話、あの環境はあまりにも過酷すぎるよ。
総括すると、かなり面白くハイクオリティなTSモノといった感じになる。
男の子が女の子になったり、またその逆だったり。そうしたマンガに心惹かれるところのある人なら、きっと楽しめると思う。