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魔法少女まどか☆マギカの10話を見た

別の時間軸のまどかは、性格が少し違う。
態度や仕草から、自信が見てとれる。
これは彼女が、欲しかったものを手に入れているからなのだろう。
「なりたい自分」になれているから、「魔法少女としての力」を持っているから、それが内面の自信を表出させているわけだ。
このあたりの表現については、声を当てている悠木碧さんの手腕もあると思う。

声というなら、ほむら役の斎藤千和さんも輝いていた。
魔女の存在を知り、それと戦う魔法少女を知って、最後にはその真実を知る。
その過程で起こる意識の変換を、声の演技によって十全に表現して見せている。
まどかの請いに応じてトリガーを引く瞬間の、あの耳に突き刺さるかのような慟哭は、誰にでもできる演技ではない。
この10話が抱える絶望に、もういいよと思うほどの説得力があるのは、絵による描写に勝るとも劣らない、声の演技の妙があったからだろう。

その演技に負けないほどに、作画もまた優れていた。
もともとそんなに動くアニメではなかったけれど、今回ばかりは力の入れようが違っていた。
作っている人が、“ここがキモだ”ということを、よく理解しているのだろう。
どこでどれだけ動かそうとも、ここで動かせなきゃ意味がない。そんな思いが透けて見えるかのような、気合いの入った良い作画だった。

そして、その作画で見せられたエピソードは、悲劇としか言い様のないものだった。
延々と続く試行錯誤、トライアンドエラーの繰り返しは、ループものの鉄則であり、真骨頂と言ってもいい。
過去をやり直すことのできる手段を、時を渡る力を手に入れたなら、逃れられない結末を繰り返すために、何度だろうと繰り返すことになる。
目的が達成されるか、あるいは主人公が諦めるまで、延々と。

その過程には、基本的に挫折しかない。
過去をやり直したいという思いの前提には、逃れようのない絶望があるからだ。
逃れられないから何度でも繰り返すことになり、その過程は、凄惨な悲劇という以外に表現しようのないものになってしまう。

爆弾を作り、銃器を入手し、体を魔力で強化して、時間操作というこれ以上ないほど強力な力を身につけても、それでもなおほむらの目的は達成されない。
魔女の力は強大で、キュゥべえの手際は鮮やかで、結末はいつも絶対的な行き止まりだ。
今の時間軸でも、それは同様。
違う点があるとすれば、まどかが魔法少女の真実を、契約する前に知っていることだ。

けれど、彼女は魔法少女が戦って死ぬ存在であること、既に人間をやめていることを知って、なお身を捧げようとするほどのお人好しだ。
魔法少女が、魔女になる途上に過ぎない存在だと知った今でも、必要とあらば、契約してしまう可能性は十分にある。

さらに言えば、そうするに足る動機もあるのだ。
ワルプルギスの夜という、最悪の魔女の襲来。
契機とするには、絶好のシチュエーションである。

そして、違う点はもうひとつある。
キュゥべえが、ほむらの正体に気付いていることだ。
このことは、ある致命的な結末の可能性に結び付いている。

キュゥべえなら、状況からほむらの目的にまで察しが及んだとしても、おかしくはない。
その場合、ほむらの行動は、キュゥべえにとって邪魔以外の何物でもないはずだ。仮にまどかを契約させたとしても、ほむらが生きていれば、その前に戻って再びやり直せるからである。
となれば、不安分子を消すために、“そうなる”よう仕向けることは、理に適った選択と言える。

ほむらの性格からすれば、今度はどんな手段を使ってでも、それこそ差し違えてでも、ワルプルギスの夜をひとりで倒そうとするだろう。
その結果として自身が死ぬことになるとしても、まどかを契約させずに済むのなら、彼女はきっとためらわない。
それが世界の滅亡を防ぐことにも繋がるのだ。命を賭ける対価としては、十分に思える。

ほむらの目的と、キュゥべえの事情が、ここで奇妙な重なりを見せているのだ。
やり直しのキーパーソンであるほむらが死ぬことは、普通に考えるとあり得ない展開だけれど、このお膳立ての整い方を見ると、絶対とは言えなくなってくる。
もとより誰が死んでもおかしくない話だ。そうである以上、普通に考えるとあり得ない展開が起こったとしても、不思議なことはまったくない。

つまり、最低に最悪な状況と思われる今よりも、さらにもう一段、下があるかもしれないということだ。
所詮は憶測のひとつに過ぎないし、信憑性はないに等しい。
そもそも、やり直すことがキュゥべえにとって不都合であるのならば、彼がほむらの願いを叶えることもなかっただろう。

すべては未知数。先のことは、まるで予測できない。
けれど、覚悟だけは決めておいた方がいいのかもしれない。


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テーマ : 魔法少女まどか★マギカ
ジャンル : アニメ・コミック

魔法少女まどか☆マギカの9話を見た

まさか魔法少女もののアニメを見ていて、エントロピーなんて単語を聞くことになるとは思わなかった…

SF作品のなかには、核融合や対消滅、磁気単極子などにも劣らない優れたエネルギー源として、知的生命体の精神や、その活動が挙げられているものがまれにある。
だから、宇宙の熱的死を遅らせるための、莫大なエネルギーを生み出す媒体として、人の心を利用するという発想は、そう突飛なものではないと思う。

ただ、それを魔法少女ものとくっつけた作品は、おそらくこれまでに例がない。
しかも、人類が太陽系外にまで版図を広げたような遠未来ではなく、月へ行くだけでも大変な労力を必要とする現代が舞台だ。「いつかは冷えきっちゃう宇宙だし、今のうちから寿命延ばしておこうぜ!」なんてことを理由として挙げられても、同意などそうそうできるわけがない。
そんなことより、まずキャラの安否の方が遥かに重い問題だし、それ以前に、視点が遠大すぎてピンと来ないのだ。想像も及ばないほど遠い未来のことを、今のうちから心配させようとするのは、火星にいるかもわからない生物のことを案じて環境改善に尽力しろと主張するくらいに無理がある。
いささか突飛に過ぎるきらいはあるだろう。

でも、おもしろい。
キュゥべえの視点の遠大さには多くの人が気付いていただろうけど、その正体や目的にまで思慮が及んだ人は、おそらく殆どいないだろう。
誰が想像するだろうか。魔法少女の使い魔的なキャラクターが実は異星人で、熱力学に喧嘩を売るため魔法少女を生み出しているなどと。

「ルール」に従ったうえで、なおそれだけの無茶ができる以上、キュゥべえたちの文明は、地球よりもずっと進んでいると考えられる。
銀河系の端にある地球という星までやってきて、原住民に奇跡としか言いようのない現象を見せている時点で、それは疑う余地のないことだ。
元より、魔法少女と魔女のシステムも彼らの考案したものだろうし、ほむらへの反応から見るに、時間への干渉を現実的なものとして考えられるだけの技術も持っているようだ。でなければ、「違う時間軸の人間」などという存在を、ああも容易く受け入れられるわけがないからだ。

これだけの隔たりがあるならば、キュゥべえたちが感情と呼ばれるものを備えていないことを差し引いても、神が、あるいは悪魔が人を見るかのように遠大な視点となってしまうのは、当然のことだったと言えるだろう。
彼らには感情がないから、判断基準はすべて計算づくとなる。
「損か得か」。それがすべてだ。
地球人を見下しているわけではなく、また存在に価値を認めていないわけでもなくて、「そうすることが皆にとって得だから」という発想だ。

要するに、キュゥべえたちにとっては個々の犠牲など些末事で、全体として得ている利益がそれに勝っていれば、何の問題もない。
だからその意思のもとに行動し、まどかたちはそれに巻き込まれたわけである。
まどかたちには到底理解できない理屈だが、個を尊重しないキュゥべえたちには、その拒絶こそが理解できない。
そして彼らには、自分たちの主張を押し通せるだけの力がある。

相手が悪すぎる、と思う。
勝つことは、おそらくできないだろう。
この場合の勝利とは、魔法少女のシステムを壊すことになるだろうけれど、そうするにはキュゥべえたちを倒し、または説得して、地球から手を引かせなければならない。
それができるかといえば、難しいと言わざるを得ない。力に差がありすぎるからだ。

唯一の希望は、キュゥべえをして測定不能とまで言わしめる力を持つまどかの存在だが、彼女が契約することは、ほむらにとってのゲームオーバーを意味する。ゆえに、作中で選択されることはないはずだ。
杏子が夭折した今、ほむらはワルプルギスの夜に訪れるという強大な魔女を、たったひとりで迎え撃ち、撃退しなくてはならなくなった。つまり、1話冒頭に至るためのお膳立てが整ったかたちになる。

まさに絶望的だ。救いのある要素がひとつもない。
普通のアニメなら、ここで奇跡的な展開を期待することもできるけれど、忘れてはいけないのは、本作の脚本家の名前だ。
虚淵氏が書いている以上、そのように甘い展開になることは、まずないと思った方がいいだろう。
物語は流れるままに流れ、落ちるべきところへ落ちる。それが氏のシナリオの特徴だからだ。物理法則に反して“浮き上がる”なんてことは、きっと起こらない。

だから、絶望的だ。
どのように物語が進んだとしても、痛みを回避することができそうにない。
せめて救いのある結末を。今願えるのは、本当にそれだけだ。


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魔法少女まどか☆マギカの8話を見た

ソウルジェムが、魂そのものを顕在化させたものであるのならば、それが濁ることはすなわち、その人間の本質が濁るということでもある。
積み重なった汚濁は、人格までもねじ曲げていく。
その果てにあるものが何であるのか。それがついに、今回で描写された。

「インキュベーター」という呼び名から察せられるキュゥべえの正体は、孵化器というその名が現す通りに、「少女を女へと孵化させる存在」なのだろう。

「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう? だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」

そんな、彼自身の言葉通りに。
彼が望んでいるのは、魔法少女としての契約ではない。
「やがて魔女になる存在」としての契約だ。
つまりキュゥべえは、最初からなにひとつ嘘を言っていなかった。
自らの「魔女を生み出す」という目的に、ひたすら忠実だったわけである。

初期から予想されていたことではある。
誰しも考えのうちには入れていただろう。
言うなれば予定調和。驚くには値しないはず。

でもそれでも、思っていたよりはるかに重い衝撃だった。
こういう展開にだけはならないでほしいと願っていたせいかもしれない。

そういう視聴者にとっての「嫌な展開」を、臆さず選んで形にしてくるあたりに、このアニメの真髄があるように思う。
予想していても、なお心を抉ってくる。
ゆえに、覚悟を決めていても無意味だ。なぜなら、もともと狙っているのが防御の弱い部分だからである。

この、崩れていく砂の城をどうすることもできずに眺めているかのような虚脱感は、以前にも味わった覚えがある。
本作の脚本家が書いた小説や、シナリオを手掛けたゲームを遊んだときのことだ。
このアニメでは、脚本家のあげたシナリオをそのまま形にしたとも聞いているけれど、今更ながらそれを実感できた。
これは、この容赦のなさは、紛う事無き虚淵氏のシナリオだ。

ほむらの能力が明らかになったり、どこから来たかがある程度はっきりしたり、初めての感情の吐露があったりと、ほかにも見どころは数多かった。
けれど、前述の一点が根こそぎ持っていってしまった感がある。

この先もきっと、「嫌な展開」を躊躇なく選んでくるだろう。
覚悟することにさしたる意味がないとわかっていても、構えずにはいられない…


魔法少女まどか☆マギカ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

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