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バニラを読んだ

著者はアサウラ。
イラストは高山瑞季×曽我部修司。
サブタイトルは「A sweet partner」。

「ベン・トー」シリーズや「黄色い花の紅」を生み出した、銃器と百合とSEGAハードが大好きなアサウラ氏の作品。
初版発行は2007年4月30日。そして私の手元に今あるつい先日購入したばかりのこの本も、初版である。どうやらあまり売れていないらしい。

黄色い花の紅が、百合風味なガンアクションと思わせておいて、一人の少女の成長物語だったので、本著もそういう手合いだろうと踏んでいたら、こちらは正真正銘百合そのものだった。
それもかなり濃い。これは嬉しい誤算だった。

舞台は銃の所持と使用が合法化された、近未来あるいは別の世界の日本。
国内のメーカーによって試作された新型狙撃銃の強奪事件から、物語は始まっていく。
相次いで起こる狙撃事件。
容疑者として浮かび上がってくる少女たち。
追走と逃走。
そして…というような話である。

舞台設定からして銃の多用が約束されたようなものなので、それ幸いとばかりにガンアクションがよく出てくる。
この点は黄色い花の紅と同じだが、あちらは主要キャラの七割ほどが銃器のプロだったのに対し、こちらは素人や、あまり熟練していない刑事がメインを張っているので、銃撃戦による白熱や爽快感はあまりない。
そもそも先に書いたように、本著の骨子は百合にある。主人公とヒロイン、ふたりの物語である。だからガンアクションは、あくまで刺身のツマだ。

しかし、その刺身のツマがまた美味いのだ。
シチュエーションとしては王道的。残弾制限のある長距離の狙撃戦。
相手はSATの精鋭ふたり。対してこちらは数ヶ月前まで銃など持ったこともなかった女子高生。
重ねて夜中暗視のなか、向こうからはこちらが丸見えという絶望的状況。
けれど王道が王道たりえるには、意外性に頼らずありふれた展開のみで読者を楽しませることが必要不可欠だ。
そういう意味では、この作品の展開は申し分なかった。文句なしの王道っぷりである。

そしてツマが美味いからこそ、メインである刺身の味もより引き立つ。
百合として、非常に完成度の高い作品だった。
スタート地点から既にマイナスで始まっているこの物語は、結末へいたっても主役ふたりが幸せだったのかどうか、わからないままだ。
正しくはないだろう。確実に間違っている。
でもほかに手がなかったというのも事実だろう。
その結果に辿り着いた、他人から見れば袋小路のような結末。
だが彼女たちからすれば、それは考え悩み抜いた末に選び取った答えなのだ。
ならばもし彼女たちが幸せでなかったとしても、マイナスはゼロに精算されたのではないだろうか。
そしてその後はきっと、乗算されていくのみだ。そんな風に思う。


バニラ―A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)
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ジャンル : 小説・文学

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