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「Tears to Tiara」、感想

まず最初に。
以下の文章には、軽いネタバレを含む可能性があります。
直接触れるような書き方はしていないつもりですが、気にする方はご注意下さい。


─ 以下チラシの裏 ─


全体としては、序盤から中盤にかけてまでの広がりに比して、終盤はこじんまりとまとまってしまっていて、やや物足りない印象だった。
とはいえ、そうした書き方自体が古くから在る「ファンタジー」を目指したものだと捉えれば、これはこれでいいのかもしれないとも思える。つまりは、「指輪物語」などと同じようなものだと考えればいいわけだ。

赤鉄の時代の終焉、本来目覚めるはずのなかった、遥か未来の深淵の国を統べると予言された魔王、アロウン。
彼とアルサル、そして多くの仲間達との戦いと冒険の日々は、言わばかの世界において、遠い過去から遥かな未来へ連綿と続く、長い長い歴史の、ほんの1ページに過ぎないというわけだ。

まぁ、それで納得できるか否かというところには、やはり個人差があると思われる。
とりあえず、私は納得できたし、楽しめた。

ファンタジーオタクを自認するだけの事はある。
まるい氏の底力、確かに見せていただいた。

特筆すべきポイントは、他にもある。
何をおいてもまず書かねばならないのは、声の演技の実に妙なる事である。
私はさほど声優に詳しいというわけでもないのだが、それでも演技の良し悪しくらいは聴き分けられるつもりだ。そんな私の耳で聴いて、このTtTの声の演技は、TH2と同等か、あるいはそれ以上とさえ言える。
わかりやすく点数を付けるなら、10点満点中9点はカタいかなというところである。

「声の演技」という点においてTH2と比較した際、その最大の違いは男性キャラへの比重であろう。
TH2では、まともに声のある男性キャラというのが、雄二とダニエルの二人くらいしかいなかったと記憶している。つまりは、比重が女性キャラへと大きく傾いており、萌えだけではなく「燃え」をより強く欲する私としては、いささか物足りないと感じるところもあったのだ。とはいえ、元からそういうゲームだと知っていたため、ここを不満とする事もまた、なかったのだが。

対してTtTは、その比重が圧倒的に男性キャラへと傾いている。というより、はっきり言ってしまえば、女性キャラの扱いが飾り程度である。
もちろん、TtTはエロゲであるので、そうしたイベントはちゃんと存在する。むしろ、Leafにしてはかなり頑張っている方だと思う。
だが、それらのイベントは、その殆どがシナリオの本筋には関わらないのだ。シナリオを主に動かしていくのは大概男性キャラであり、声の演技で強く主張するのも、必然的に彼らとなる。
そうした意味で、女性キャラが飾り程度の存在感しか示していないと、私には感じられたのだ。これは、萌えをこそ求める方にとっては、ある意味致命的とさえ言える欠点だろう。

だが、私にとってはむしろ長所だ。
「その演技が優れている場合においてのみ」という条件は付くが、TtTはそれを十分すぎるほどに満たしている。
具体例を出すなら、特に推したいのが主人公の魔王アロウン。その声の醸し出す色気は、筆舌に尽くし難い。魔王の貫禄十分である。
並んで、アロウンの副官として仕えるオガム翁も、その存在感は相当なものである。時には、そのアロウンをさえ凌駕していると思わされた。

正直、声にはあまり期待を寄せていなかっただけに、これは嬉しい誤算だった。
いい加減、声を軽視しがちな今の考え方を、改めるべきなのかもしれない。

さて。
シナリオ、声ときたら、次はBGMについて語らねばなるまい。
とはいえ、多くを語る必要はないのかもしれない。何故なら、今回もLeafは、いつも通りに良い仕事をしてくれたからだ。
否、「いつも通り」というのは誤りかもしれない。個人的な嗜好の問題もあるのだろうが、少なくとも私にとっては、方向性は違うものの、「Routes」と並ぶほどにクリティカルヒットしたのだ。そういう意味では、今回は「いつも以上に」良い仕事をしてくれた、と言うべきだろう。

シナリオに合わせての事だと思われるが、全体的に北欧の民族音楽のようなイメージを持つ曲が多い。ややクセがあるので、合わない方には辛いかもしれないが、逆に好きな方にはかなりの好評を得られるのではないだろうか。私は無論、好きな方である。

ところで今回、曲の指定書には、「圧倒的な感動を」とか、「ものすごく盛り上がる曲を」だとか書かれていたそうだ。
こうした意図へ素直に乗せられてしまうのは、なんだかとても悔しいと感じるのだが、認めざるをえないだろう。
感動も、盛り上がりも、確かにあった。そしてそれは、曲の力によるところが大きかったのも事実である。
やはりLeafである。こと音楽に関して、この会社を侮る事はできそうにない。

シナリオ、声、音楽。
AVGとしての残る要素は、システムとグラフィックであるが、システムについては特筆すべき事もないので割愛させていただく。これ系のゲームをやり慣れている方なら、マニュアルを読む必要すらないと思われるからだ。
というわけで、残る一つのグラフィックについてを書こうと思う。

悪くはない、決して悪くはないのだ。
レベルで言うなら、恐らく業界全体でも上から数えた方が早いだろう。
だが、同じ人が原画を担当したのだと、俄かには信じられないほど絵が変わっているのは、さすがにどうかと思わされる。
TtTが発表された初期段階から、発売の直前までの間に、絵の感じがかなり変わっているのである。その変化自体は、より一般受けしそうな感じにというものだったので、むしろ良いものであったと言えるのだが、そういう後期の絵と、変わる前の初期段階の絵がごっちゃになっているというのは、全体的な統一感を欠くという意味で、あまりよろしいとは思えない。

今回は、グラフィックに関しては、残念ながら若干の不満を残す出来に終わっている。だが、こうも考える。次回担当作品へ繋がるステップとして考えれば、こうした在り様もあっていいのではないだろうか、と。
どちらにしろ、この作品単体で見て不満を残す出来であるという事実が覆るわけではないのだが、原画担当者の将来が楽しみであるというのも、また事実であるのだから。

最後に。
この作品の言わば半身、ゲームとしての部分である。
率直に言って、SRPGとしてのクオリティは、決して高くはない。「普通」レベルで、操作の大半を自動にしていても、ラスボスまでさほど苦労せずに辿り着けると言えば、どの程度かはご推察いただけるだろう。この手のゲームには当たり前のようにある地形効果の概念なども存在しないし、やり込めるようなものとはちょっと言い難い。
ただ、逆に言えばそれだけお手軽だという事でもある。SRPGとしての部分をあまり必要としていない人にとっては、このくらいのヌルさがちょうど良いかもしれない。
私はまだやり残している事があるので、もう少しいじってみるつもりでいる。それによっては評価が若干変わってくる事もあるかもしれないが、恐らくは現状の「ミニゲーム以上、メイン未満」という微妙な評価のままだと思われる。

SRPG部分の評価を下げている別の要因として、操作性の悪さが挙げられる。
ユニットの行動を一括で指定できないところなどは、終盤に至るほど不親切に感じたポイントである。出撃可能なキャラの最大数が少ないからまだいいものの、そうでなければ投げ出しかねないところだ。
大まかな指示を出す事は可能なのだが、移動先の指定などは出来ず、その際には1キャラごとに選択して移動先を指定してやらなければならない。広いマップになると、これが結構面倒なのだ。結果として、自動戦闘に任せる事が多くなるのだが、このAIも賢いとは言い難いために、結局は移動先を手動で選択してやる事になったりする。
あと、右クリックでポーズをかけられるのはいいのだが、そこでマップの確認などができないのでは、あまり意味がないように思われた。そうであるなら、ミニマップくらい付けてくれてもよかったのではないだろうか。

というように、ゲームとしての部分には、練り込みが足らないという印象を受けた。
言葉にすると、わずか二言三言という程度の違いでしかないのだが、現実にはそれがかなり大きな違いとなる。せめてもう一押しあれば、評価は大きく違ったものになっていたかもしれない。非常に残念である。

だがしかし、今となってはAVGパートだけのTtTというのは、ちょっと考えられなくなってしまった自分がいたりもするのだ。数字による説得力というものは、存外に大きい。
物語の進展の度合いや、鍵となるアイテムの特別さが、数字によって明確化されるというのは、AVGではなかなか難しい「演出」だとも言える。故に、そうしたところにこそSRPGであった事の意味を見出す事ができるかもしれない。ただ、恐らくそれは、制作側の意図から大きく外れた評価のされ方ではあるだろうけれど。

総評として。
やはりシナリオ、これに尽きる。このような物語は大好きであるので、ゲームを評価する際にシナリオが大きなウェイトを占める私としては、どう頑張っても低い評価など下せそうにない。
加えて音楽。そして声の演技。
これらが、グラフィックやSRPGパートのマイナスを完全に打ち消し、なおプラスへと転じさせている。それでも「名作」という評価には至らないが、「良作以上」とは迷い無く言う事ができる。
ファンタジー好きを自認する方なら、やってみても損にはならないと思う。ただ、明確なマイナスポイントが存在するため、諸手を挙げて勧める事はできない。それらを気にしないと言える方になら、あるいは名作たりえるかもしれない。


─ チラシの裏ここまで ─


思っていたより長くなってしまいました。
ここで特別に書く事もありませんので、以上をもって了としたいと思います。
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テーマ : 美少女ゲーム
ジャンル : ゲーム

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