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「狼と香辛料2」

※記事の性質上、ネタバレを含んでいる可能性があります。未読の方は、ご注意下さい。
と申しますか、未読の方は、できれば以下を読まずに「狼と香辛料」を手に取っていただき、その身悶えするような甘酸っぱさを、存分に味わっていただければと思います。



というわけで、読了いたしました。
ファンタジーを謳いながらも、その主人公たるロレンスは、いたって普通の人間です。剣も魔法も使えない彼にあるのは、たった一つの魔術のみ。時に、剣や魔法をも凌ぐ武器ともなりえるその魔術を操る者の名を、我々は「商人」と呼びます。異色のエポック・ファンタジーの第2弾です。

この「狼と香辛料2」は、“2”という数字を冠している事からもお分かりいただけますように、シリーズの2冊目という位置付けになります。第1巻の詳細についてはこちらの記事を参照していただくとして、ここでは2巻についての雑感を主に書いていきたいと思います。

「物を売ってお金を儲ける職業」
商人という職業に関する一般的な認識は、概ねこのようなものになるのではないかと思います。本著で描かれる商人も、その認識から外れてはいません。
しかし、そこには必ずリスクを伴います。成功すれば巨万の富を得る一方、失敗すればその巨万の富さえも、一夜にして灰燼に帰してしまうのが、商人の世界なのです。
前巻では描かれなかった、商人の裏側にして暗黒面たる、「破産」という名の終着駅。本著で中心として描かれるのは、まさしくその部分になります。

きっかけは些細な事で、そこに油断があったのは間違いないにしろ、起こってしまった以上は取り返しがつこう筈もなく、結果としてロレンスは絶体絶命の窮地に立たされる事となります。それは剣を持って魔物と戦う戦士のような、わかりやすい窮地ではありません。しかし、商人にとっての「破産」の二文字は、死刑の宣告にも等しい重圧を持つのです。

そんな最中、一瞬、ほんの一瞬だけ取り乱してしまうロレンス。しかし、ホロの心を傷付けるには、その一瞬で十分でした。
それを過ちと深く悔いる彼は、自らにできる精一杯を、彼女のために行います。それは、傍から見れば、ひどく不器用で不恰好な行いでしたが、しかしその分、とても暖かくもありました。

以上は抽象的に書いてはいますが、読まれた方にならお分かりいただけると思います。
本巻においての最大の見所は、この部分であると私は確信します。前巻の記事でも書きました通り、このシリーズの最大の魅力は、ホロとロレンスとの掛け合いにこそあります。それが最大級の説得力をもって証明されているのが、この部分になるのです。

2人の心理描写の巧みさは、素晴らしいの一言です。終始ロレンスの視点で描かれているにもかかわらず、ホロの心情が透けて見えるかの如く読み取れます。それなのに、肝心のロレンスがありえないほど朴念仁なのが、また笑いを誘います。この2人の間柄の微笑ましさときたらもう、身悶えしつつ床を転げ回りたくなるほどの破壊力を持っているのです。

数百年を数える生の上に蓄積された、経験と知識に裏打ちされた老獪さと、時折見せる、見た目相応の少女のような言動の数々。ホロの魅力は、獣の耳や尻尾、老獪な言葉遣いといった明確な特徴にはなく、そのギャップにこそあると言っても過言ではありません。

対するロレンスは、如何にもへタレ過ぎです。朴念仁にも程があります。しかもそれを、狙ってやるのではなく、素でやらかしてしまうあたり、相当にたちが悪いです。そりゃあ、みぞおちに渾身の一撃を入れたくもなろうというものです。
ですが、あらゆる事を見通すホロの目をもってしても見通せないのが、このロレンスの反応であるというのもまた、揺るぎない事実だったりするのです。

本シリーズの著者である支倉凍砂氏の最大の持ち味は、やはり人物描写にこそあります。
単純な筆力に関しては、それほど高いという事はないように思いますが、キャラクターを魅力的に描く技術は、それを補ってあまりあるほど卓越しています。

あとがきにて触れられている事から、3巻の発売はほぼ確定と言っていいでしょう。1巻の発売から2巻の発売までの期間を鑑みるに、早ければ3、4ヵ月後になるものと思われます。その時が待ち遠しい限りです。
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