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「涼宮ハルヒの退屈」の雑感 前編

原作第3巻です。



第4巻の「消失」より後に、第3巻である「退屈」の感想を書いておりますのは、単純に「退屈」の方を後に読み終えたからです。
このシリーズは、エピソードが時系列に沿わない並びになっている事がたびたびあります。発売時期の古い4作品だけ取って見ましても、発売の順序は「憂鬱→溜息→退屈→消失」ですが、エピソードを時系列に沿って並び替えますと、「憂鬱→退屈→溜息→消失」となります。アニメ版にあったようなエピソードのシャッフルが、原作ではデフォルトで行われているという訳です。
そのため、シリーズの発売順を無視して読むという、一般的にはあまり推奨されないだろう読み方を、デメリットを意識せずに行う事ができます。そのような理由から、私は「退屈」よりも先に「消失」を読み終え、雑感を書くに至ったという訳なのです。

ただ1つの例外として、「退屈」に収録されている「笹の葉ラプソディ」というエピソードだけは、「消失」を読み始める以前に読了していました。「消失」において、重要な伏線として機能する事を、事前に知っていたからです。
つまり、「デメリットを意識せずに行える」というだけで、実際にやってしまうと伏線の見逃しという弊害が生じる可能性があります。ですので、結局はあまり推奨されない行為のままという事になります。

閑話休題。
この「退屈」は、4つの独立したエピソードをまとめた短編集となっています。よって、その感想の方も、各エピソードごとに書いていこうと思います。
まずは前半の2つからです。



・「涼宮ハルヒの退屈」

本著のタイトルともなっており、アニメ版でも第4話として放送され、いわゆる「野球の回」として知られる事になったエピソードです。「憂鬱」の終了直後、具体的には2週間後の出来事として設定されています。

この頃は、まだハルヒも我が侭の絶頂期にあり、「野球の試合に負けそうだから」という非常に理不尽な理由から、これまでにない規模の閉鎖空間を発生させ、物凄いスピードで拡大させてしまいます。2週間前と同じような世界の危機が、よりにもよって野球の試合で起こってしまうのですから、もうデタラメです。

ただ、ここで注目すべきはハルヒのイライラの真なる理由です。
彼女は、負けそうだからイライラしていたのではありません。勿論、何割かはそういう部分もあったでしょうが、最大の理由は違うところにあります。古泉君も台詞の中で指摘したその理由とは、「キョンの働きが4番らしからぬ事」です。

キョンは、何の変哲もないごく普通の一般人です。普通ではないところがあるとするなら、「本質的にハルヒと同じ」という1点のみですが、それについてはいずれ書かせていただくとして、少なくとも野球において彼が突出した才能を持っているというような描写が、このエピソードの中で行われる事はありません。
つまり、ハルヒが如何に大きな期待をかけようとも、彼がそれに応える事は、物理的に不可能なのです。にもかかわらず、「閉鎖空間」という絶対的な危機を眼前にし、不可能であろうと可能にしなければならない状況へと、彼らは追い込まれる事になってしまいます。

実際、SOS団の辞書に不可能の文字はありませんし、あってはなりません。彼らは、ハルヒの自身も自覚しない暴走を、人知れず鎮めなければならず、そのためには科学的、非科学的の別無くあらゆる手段を用いなければなりません。そうしなければ、世界が終わってしまうからです。

古泉君が分析し、キョンと2人で具体案を作成、それを長門さんが実行に移し、朝比奈さんはオタオタしているというテンプレート的な構図が、ここに完成します。
結果、危機は回避され、ハルヒの退屈も紛らわされて、キョンが疲労の局地に至るというのもお決まりのパターンとなります。キョンは、ああ見えて好きでやっているのでまだいいとしましても、事態の収拾へ力を尽くさざるを得ない古泉君は、キョンより明らかに疲労を蓄積していると思われます。キョンも、もう少し彼に優しく接してあげればいいと思うのですが、そうしないのはやはり、恋のライバルである事を認識しているからなのでしょうか。

チアリーダーの服装に着替えた直後、朝比奈さんの髪型をポニーテールにしようとしたハルヒが、キョンを一瞥して瞬時に取り止めたエピソードの重要さには、「憂鬱」のストーリーをすべて知る事でようやく気付く事ができました。ここでのポイントは、その行動にあえて言及しないというキョンの反応です。即ち、彼は恐らく気付いているのです。ハルヒの行動の意味に。



・「笹の葉ラプソディ」

前述の通り、「消失」への重要な伏線となるエピソードです。
と同時に、朝比奈さんサイドの主目的である「この時間平面上での『涼宮ハルヒ』という数値の適正化」の、起点となるエピソードでもあります。これから続いていく「過去へ行って問題を解決したのち戻ってくる」という流れの、始まりとなったポイントなのです。

さて、現実に時間旅行が可能になったと仮定しますと、人は過去の自分に起こる出来事を、どのように解釈するのでしょう。
「見返りにどんなアイテムをくれるんだろう」というキョンの言葉に対し、「そっちで眠っているわたしにチュウくらいならしちゃってもいいよ」と答える大人バージョンの朝比奈さん。この返答は、どのように解釈すべきなのかという事を、ここで少し考えてみたいと思います。

まず前提として、この時点でのキョンの行動は、すべて規定事項だったという事を念頭に置いておく必要があります。つまり、朝比奈さん(大)にとっては、すべてが過ぎ去った過去の出来事に過ぎず、事態がどのように推移していくのかが予めわかっていたという事です。
ですが、「消失」での朝比奈さん(大)の台詞から鑑みるに、規定事項と言えども確実にそうなると決まっている訳ではなく、至るまでの道筋を誤れば、当然結果も違ったものになると考えていいようです。即ち、「チュウはされなかった」という結果を前提にした上で、「しちゃってもいいよ」と言ったのではないと考えられるのです。

しかし、朝比奈さん(小)が睡眠状態にある事が、状況を若干の混乱へと導きます。
他に観測者及び装置がない事を前提に据えた上での話ですが、「記憶に無ければされなかったも同じ」と言う事もできます。朝比奈さんにとっては寝ている間の出来事に過ぎず、チュウされたとしても、それを知るすべはありません。つまり、チュウをされたかどうかは問題ではなく、規定事項である「チュウくらいならしちゃってもいいよ」という台詞を発する事こそが重要だったとする考え方です。
所属する組織を後ろ盾とした大人バージョンの朝比奈さんなら、そのくらいの割り切りはして見せそうでもあります。ですが、その対象が「過去の自分」となった時に、本心ではそれをどのように考えるのかというこの問題には、大いに興味を惹かれます。



後半の2つについては、いずれまた。
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