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「抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王」

著者は三浦良氏です。
本著が氏のデビュー作となります。



昨今では珍しくなってしまった、純粋に近いファンタジー作品です。
「純粋」と申しますのは、作品世界が剣と魔法にのみ支配されており、そこに機械の文明などが存在していないという意味での純粋です。現在では、こうした設定を持つ作品の方が珍しい部類に入ってしまうのではないでしょうか。

本著のテーマは、「復讐」です。
かつて魔王があり、その魔王を滅ぼさんと挑みかかった勇者がありました。
結果として勇者は魔王を打ち倒しましたが、その命まで奪う事はできませんでした。
かくして逃げ延びた魔王は、再び力を蓄え、自らのすべてを奪って新たな魔王として君臨する勇者への復讐を決意するのです。

ですが、魔王が真に挑みし復讐の相手は、勇者ではありません。
魔王が如何に強大な力を誇ろうと、勇者が如何に脆弱な存在であろうと、「魔王は勇者に必ず打ち倒される」というその定理、「運命」と呼ばれるそれこそに復讐を挑むのです。

この作品で「魔王」と称される存在は、恐怖を喰らい絶望をすすり、脆弱な人間達を一方的に弄るというような、一般に認知されているそれとは少々異なります。
人間と魔物は同じ世界に生きる別の種族というだけに過ぎず、人間の王と同じく、魔物達を束ねるが故に王と呼ばれる存在、それが本著の魔王です。
元来人を超えた力を持つ魔物達の王ですので、強大な力を持っているという点では同じなのですが、だからといって世界を滅ぼそうと短絡的に考えるような存在ではないのです。

そういう背景もあってか、本著の魔王は非常にらしからぬ性格をしています。
義を重んじ、忠を尊び、秘めた矜持に生きるその姿勢は、魔王というより騎士や侍などと言う方が適切であるように思えます。

或いは、そのように見えてしまうのも、すべては勇者と出会ってしまったが故の事なのかもしれません。
魔王にとっては、同格と認めた相手として、勇者にとっては、ただ1人の想い人として。
行く道筋が1つになる事は決してありませんが、互いの眼差しは常にお互いだけを捉えています。勇者が新たな魔王となって世界を征する傍らで、想いを胸に秘めていたのと同様に、魔王もまた勇者との出会いを経て、多少なりとも変わらざるを得なかったのかもしれません。



ライトノベルとしては比較的硬めの文体ですが、それとは関係なしに面白い作品です。
完成度も非常に高く、1つの作品として文句のない出来と申せましょう。
続巻も出ており、今後のシリーズ化が期待されます。実は既に読み終えていたりしますので、近いうちにそちらの感想も書く事になると思います。
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