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「レジンキャストミルク3」

著者は藤原祐さん、イラストは椋本夏夜さんです。
シリーズ第3巻となります。



この第3巻と、続く第4巻とで、ひとつのエピソードの前後編が描かれる事になります。
そのような理由から、本著は非常にいいところで終わりを迎えてしまっているのですが、第4巻も既に出ていますので、問題はありません。
ただ、発売当時は、ライトノベルでこのような終わり方を見せる作品の方が珍しいという事もあって、待ち遠しさを覚える方も多かったのではないでしょうか。
本作品の場合は、続巻の発売が一ヵ月後の事だったそうで、その点では良心的と言えるのかもしれません。

さて、この第3巻にも巻頭漫画が掲載されています。
既に入手済みの第4巻にも同様にあった事から、この巻頭漫画はもはや慣習化したものと思われます。巻が進むごとに壊れ方が深刻化しているのは、気のせいではないでしょう。
内容の方は、作品内設定の「仮想観測」について、作中のキャラクターを用いて面白おかしく描かれています。見どころは、メガネで教師な硝子さんです。

本巻では、表紙にも登場している姫島姫が、物語の鍵となっています。
本来、ヒロインである城島硝子の友人の1人に過ぎなかった彼女は、とある悲しい事件を経て、重要な意味を持つキャラクターへと変貌します。
彼女の友人であった城島硝子と、同じく友人だった直川君子、そして直川君子と過去に繋がりを持っていた舞鶴蜜をも含めて、事態は混迷の度合いをただ増していくのです。

本作品のスタンスが、ここにきてある程度わかってきました。
主人公の城島晶は、自分の周囲に穏やかな日常を形成する事に腐心しています。何故かと申しますと、そうやって作り上げた日常は、不倶戴天の敵である「無限回廊」をおびき寄せるための餌になるからです。
そして、思惑通りに餌に掛かった「無限回廊」と一戦を交え、その結果周囲の日常の幾らかが破壊され、相手に対して大きいとは言えない程度のダメージを与えます。
破壊された日常が「修正力」によってある程度が戻された後、仲間の力を借りてその繕いをできるだけ完全に近付けたのち、いつか再び襲い来る「無限回廊」を、じっと待つ事になります。

物理的に閉鎖された空間という訳ではありませんが、同じ虚軸、それも身近にいる仲間以外を頼れないという状況と、相手には明確なダメージを与えられず、こちらの戦力のみがただ削られていくという焦燥交じりの感覚は、「篭城戦」と聞いて思い浮かべるそれに近いと思います。
「無限回廊」の目的が未だ判明していない現在では、この戦いの行く末を占う事も困難です。しかし、「無限回廊を仕留め、可能であれば両親をも救い出し、そしてすべての虚軸を葬り去る」という主人公の目的が変わらない以上、両者の激突は避けられないもので、その結果互いに疲弊していくのは自明の事であり、最終的に2人の一騎討ちへと至る事も、予想の範疇と申せましょう。主人公が勝てばよし、仮に負けたとしてその後どうなるかは、「無限回廊」の目的が明らかとならない限り、憶測する事すら困難を極めます。

「篭城戦」と書きましたが、一度破壊された城壁は、どのような技術を用いようとも完全には修復できません。その意味においても、主人公は戦うごとに追い詰められていく事になります。
「無限回廊」によって、戦いの道具として利用される周囲の人々は、表向きは以前と何ら変わらず、今までの日常に疑問を抱く事すらなく、これからの日常を生きていく事になります。ですがそれは、「修正力」による修復と、速見殊子の能力による「繕い」に過ぎません。周囲の人々は単に気付かず、忘れてしまうだけで、当事者である主人公達は、戦いの傷によって変わってしまった人々の事を、また存在自体が最初からなかった事にされてしまった人々の事を、決して忘れる事はできないのです。

主人公が周囲の人々を、完全に道具だと割り切る事ができたなら、傷もそう深いものにはならないのかもしれません。ですが、徹しようと幾ら努力しても、主人公にそれは不可能でした。だからこそ、状況はもっと深刻に、かつ悲しいものへと推移していく事になるのです。

本巻終盤では、主人公のそうした甘さが、しかし言い換えれば得がたい人間らしさが、最大の窮地を招くという結果をもたらしました。それをどう乗り越え、如何にして仇敵へ一太刀浴びせるのか、その答えは第4巻にて明らかとなります。
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