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「円環少女(3) 煉獄の虚神(下)」

神に愛され、奇蹟を使う者達の戦いも、いよいよ最新巻へと至ります。
著者は長谷敏司さん、イラストは深遊さんです。
シリーズ第3巻となります。

あと、今回はと申しますか、今回もと申しますか、割と深刻にネタバレしておりますので、ご注意下さいませ。

円環少女(3) 煉獄の虚神(下)
円環少女(3) 煉獄の虚神(下)

突然ですが、物語において強大過ぎる敵というのは、非常に扱いの難しい存在だと思います。例えるなら、ドラゴンボールの初期の頃に、フリーザだのセルだのが出てくるようなものです。
「煉獄の虚神」編に登場する、1万年を超える歴史を持つ相似大系史上最強と言われる魔導師、「神に近き者」の2つ名で呼ばれるグレン・アザレイは、そんな存在です。

相似大系は、「相似である物体は同一である」と見なされる魔法世界において発生した魔術大系です。ある物体同士が相似であれば、その2つの物体を同一の存在と定義し、例えば手に持った剣と、その10m先に置いた同じ形を持つ剣があったとするなら、手元の剣を振るう事で、10m先にある剣をも同様に動かす事ができるのです。

熟練した術者であれば、上記の要領で10本の剣を同時に操る事も可能です。
更には大きさや重さが同じである必要はなく、優れた術者であればあるほど共通項の曖昧な物同士を相似と定義し、操る事ができるようになります。

相似魔術の初心者が、ボールを動かすのにまったく同一の形状、大きさを持つボールを必要とするのに対し、熟練した術者であれば、パチンコ玉を使ってボウリングの球を自由自在に動かす事も可能となる訳です。
真に卓越した術者は、上記の要領で、例えば手に握り込んだ1本の爪楊枝を動かす事で、対象へ百本の槍の雨を降らせる事さえ可能です。

この世界は、多種多様な形状を持つ物に溢れています。物の数だけ形があると申しましても過言ではないでしょう。ですが、物体を際限なく拡大していくと、最終的には分子や原子にまで行き着きます。そして、分子や原子のその形状は、外見的には「すべて似ている」のです。

相似魔術は、理論的には物質の最小単位に至るまでを操作可能です。ただ、そのような所業には神の如き力が必要となるため、誰にも成せないだけの話なのです。
しかしここに、その神の如き力を持ちえた1人の天才がいます。分子すら相似とみなし、世界のすべてを操る「神に近き者」、グレン・アザレイその人です。

数百人の魔導師とたった1人で相対し、それでも袖ひとつ振れば周囲に破壊の嵐を巻き起こしてすべてを決する事ができるにもかかわらず、あえて真っ向からの魔術戦を挑み、そして勝利してしまうような存在です。とてもではありませんが、主人公達にどうにかできるような相手とは、私には思えませんでした。
そのため、本著のオチにはやや不満が残ります。よく出来てはいますし、結果を理解もできるのですが、今一つ足りない印象です。まぁこれは好みの問題なのかもしれません。

さて、本著におけるグレン・アザレイの台詞のひとつに、このようなものがあります。
「だが、わたしに並ぶには、少なくともまだ十年かかる」
円環魔術には本来あり得ざる奇蹟を行ってみせたメイゼルに対する称賛と、それでも今は絶対に勝てないのだという現実を突き付ける言葉です。
ですが、これは逆を申しますと、「メイゼルは早ければ十年で『神に近き者』にさえ手が届く」という事でもあるのです。

メイゼルは、刻印魔導師として100人の敵を倒し、その結果として自由を勝ち得、失われた名誉を回復しようとしています。ですが、それは単なる通過点に過ぎません。彼女が真に成そうとしている事は、更にその先にあるのです。
そして、その目的も巻が進むにつれておぼろげながら明かされつつあります。その目的に挑むに際し、彼女の溢れんばかりの才能は、大きな鍵となりますと共に、物語を彩る上で欠かせない要素となる事でしょう。

総括としましては、やはり「面白い」のですが、1巻、2巻と比べますと、やや勢いが落ちてきたように感じられます。100点満点で申しますと、90点というところでしょうか。
本作品の著者氏は、キャラクターを魅力的に描く事が素晴らしく巧みです。ひとつの作品内に、これだけ魅力を感じられるキャラクターを詰め込めるというのは、もはや天才の業だとすら思います。
ですがそれ故に、読者の好みが評価に強く反映されてしまいます。好きなキャラクターが活躍していれば面白いですし、そうでなければ低めの評価になってしまう訳です。
要は、エレオノールにもっと陽の光をという事です。敗戦者の常とは申しましても、あの扱いは不憫に過ぎると思うのです。

第5巻は11月1日に発売予定との事です。あと1ヶ月強が、待ち遠しい事この上ありません。
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テーマ : ライトノベル書評
ジャンル : 本・雑誌

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