「戦う司書と恋する爆弾」
著者は山形石雄さん、イラストは前嶋重機さんです。
本著が著者氏のデビュー作であり、シリーズ第1巻となります。
「司書」と申しますれば、図書館にいて本を管理する職業の事と、誰もが思い至るでしょう。
ですが、本作品に登場する司書達は、少しばかり毛色が異なります。
その世界では、死した者すべての魂が「本」となって、神の造った図書館に収められます。それは本来人の手には委ねられないものであり、だからこそ人の身でありながらその管理を委ねられた者達は、「本」に関する様々な知識以上に、高い戦闘能力を求められる事になりました。
本作品における「司書」とは、そういった戦う者達、つまりは「武装司書」を指すのです。
対して「爆弾」。
一般的に爆弾と申しますと、もっとも性急な化学反応である爆発を人為的に引き起こし、それをもって対象への攻撃力とした武装の事を指します。
ダイナマイトやプラスチック爆弾などが有名で、いずれも対象もろとも周辺地域をまるごと吹き飛ばすほど、強大な攻撃力を有しています。人に対して使えば、致命の威力となる事は説明するまでもありません。
本作品の主人公は、その「爆弾」です。
武装司書達の長であり、最強であるハミュッツ=メセタを殺すためだけの存在で、そこに人としての意思は残っていません。故に彼は、人を殺す爆弾そのものなのです。
そんな「爆弾」そのものである彼が、もし恋をしたとしたら、果たしてどのように変わるのでしょうか。人間らしい感情のすべてを強制的に忘れさせられ、対象をただ殺す事だけを教えられて街に放たれた少年が、すべての思惑から放れ、自分の意思で恋をした事が、この物語の鍵となっています。
最強の武装司書ハミュッツ=メセタと、彼女を疎んじる神溺教団、そして彼らの思惑から放たれんとする主人公、コリオ=トニス。三者三様の戦いの物語が、今ここに幕を開けます。
といった具合のあらすじです。
内容を100点満点で評しますと、78点くらいです。
設定やキャラクターは良いと思うのですが、全体的にまとまりに欠ける印象があります。各々のパーツをもっと綿密に繋げられていたなら、更に面白い作品となったかもしれません。
余談ですが、本作品にはありとあらゆるものを切り裂く常笑いの魔刀「シュラムッフェン」という剣が登場します。因果を超越し、有効射程は50mを超えるという恐るべきその剣の名前を、何処かで目にした覚えがあると思いましたら、その語源はミヒャエル・エンデの「はてしない物語」にあったようです。
バスチアンの短慮から生じた常笑いの虫、シュラムッフェン。それと同じ名を冠する剣が、笑い声と共に幾人もの人々を切り伏せ、その果てに癒える事のない常泣きの悲しみを生み出すとは、何とも皮肉な話です。
本著が著者氏のデビュー作であり、シリーズ第1巻となります。
「司書」と申しますれば、図書館にいて本を管理する職業の事と、誰もが思い至るでしょう。
ですが、本作品に登場する司書達は、少しばかり毛色が異なります。
その世界では、死した者すべての魂が「本」となって、神の造った図書館に収められます。それは本来人の手には委ねられないものであり、だからこそ人の身でありながらその管理を委ねられた者達は、「本」に関する様々な知識以上に、高い戦闘能力を求められる事になりました。
本作品における「司書」とは、そういった戦う者達、つまりは「武装司書」を指すのです。
対して「爆弾」。
一般的に爆弾と申しますと、もっとも性急な化学反応である爆発を人為的に引き起こし、それをもって対象への攻撃力とした武装の事を指します。
ダイナマイトやプラスチック爆弾などが有名で、いずれも対象もろとも周辺地域をまるごと吹き飛ばすほど、強大な攻撃力を有しています。人に対して使えば、致命の威力となる事は説明するまでもありません。
本作品の主人公は、その「爆弾」です。
武装司書達の長であり、最強であるハミュッツ=メセタを殺すためだけの存在で、そこに人としての意思は残っていません。故に彼は、人を殺す爆弾そのものなのです。
そんな「爆弾」そのものである彼が、もし恋をしたとしたら、果たしてどのように変わるのでしょうか。人間らしい感情のすべてを強制的に忘れさせられ、対象をただ殺す事だけを教えられて街に放たれた少年が、すべての思惑から放れ、自分の意思で恋をした事が、この物語の鍵となっています。
最強の武装司書ハミュッツ=メセタと、彼女を疎んじる神溺教団、そして彼らの思惑から放たれんとする主人公、コリオ=トニス。三者三様の戦いの物語が、今ここに幕を開けます。
といった具合のあらすじです。
内容を100点満点で評しますと、78点くらいです。
設定やキャラクターは良いと思うのですが、全体的にまとまりに欠ける印象があります。各々のパーツをもっと綿密に繋げられていたなら、更に面白い作品となったかもしれません。
余談ですが、本作品にはありとあらゆるものを切り裂く常笑いの魔刀「シュラムッフェン」という剣が登場します。因果を超越し、有効射程は50mを超えるという恐るべきその剣の名前を、何処かで目にした覚えがあると思いましたら、その語源はミヒャエル・エンデの「はてしない物語」にあったようです。
バスチアンの短慮から生じた常笑いの虫、シュラムッフェン。それと同じ名を冠する剣が、笑い声と共に幾人もの人々を切り伏せ、その果てに癒える事のない常泣きの悲しみを生み出すとは、何とも皮肉な話です。

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