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「ユメ視る猫とカノジョの行方」

著者は周防ツカサ氏、イラストは森倉円さんです。



本作のヒロインであるキリコは言います。愛情とは、相手の身体に触れたいという欲求である、と。
ですがこうも言います。肉体的な接触だけで、すべてを得られる訳ではない、と。
人を構成する要素は身体だけではありません。もう一つの要素である心を知らなければ、本当の理解は得られないと彼女は言います。
心を理解するには言葉による意思の疎通が不可欠であり、しかし言葉による相互理解には限界があります。その限界を超え、完全に理解し合うためには、心をひとつにする必要があります。概念的な意味ではなく、物理的な意味でです。
そのような事は不可能ですから、結論として、「完全な愛情」のようなモノは、存在し得ないという事になります。…ただひとつの例外的な可能性を除いては。
その唯一の例外こそ、主人公の天谷智季と、ヒロインであるキリコの2人なのです。

以上が、本著のプロローグに書かれている内容のおおよそです。
本著のプロローグは、言うなれば作品全体で見た際の「0」に相当します。本著のプロローグというだけでなく、作品全体の基点ともなっているのです。
そして本編の方は、言うなれば「-1」です。ここからプロローグへと至って「0」となり、今後紡がれるであろう物語によって「+1」となります。つまり、本編の方はプロローグより少し以前の物語となっています。具体的に申しますと、主人公の天谷智季と、ヒロインのキリコの出会いの場面からが描かれているのです。

「人間の少年と猫の少女とのラブストーリー」。
このように書きますと、何やら怪しい香りが漂ってまいりますが、本作の設定は少しばかり複雑です。キリコは確かに猫ですが、同時に人間でもあり、そして本質的な意味ではそのどちらでもありません。そんなあやふやで訳のわからない存在と、少しだけ重い、しかし誰もが持っているような事情を抱えた少年とが、「本当の愛情が成立し得るのか」を「試してみる」というのが本作品のテーマとなるようです。

個人的には、まずまずといった印象でした。
称賛に値するほど面白いとは思いませんが、構成に関しては率直に巧いと感じました。
本編そのものをプロローグのための前座に据えるような、ある意味逆説的な本著の構成は、その甲斐あって、プロローグが特に際立って見えています。改めて読み返した時に、それがよくわかるのです。

とは申せ、本著だけですべての評価を決するのは早計かもしれません。ほぼ確実に続巻が出るでしょうから、そこで綴られる「+1」がどのようなものになるかによって、本著の評価も自ずと定まってくるでしょう。
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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