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「ROOM NO.1301」

新井輝氏の著作にして、シリーズ第1作目です。



本著は、続巻を意識するか否かによって、評価の度合いがまったく違ってくる作品だと思います。あとがきを読む限り、著者氏が続巻を既定の事と考えていたのは疑いようがなく、そうであるなら読者である私もそのように捉えるべきと思われるのですが、私はそこで普通は思わないだろう事を思ってしまったのです。
本著は、この1冊で完結していたとしても何ら問題のない作品なのではないか、と。

本著のストーリー、その一連の流れと結末に、本作品が1冊で完結していた可能性を加えて考えた際、私は妙な既視感を覚えました。似たような物語を過去に読んだ事があると感じたのです。そして、そのタイトルにも程なく思い至りました。村上春樹氏の著作、「ノルウェイの森」です。

こと外装を見る限りにおいて、この2作品の間に関連性はまるでありません。
かたや一流の小説家が書き綴った大ヒット作にして大ベストセラー、かたや萌え絵を表紙に掲げたラブコメ物のライトノベルです。
ライトノベルが一般の小説に劣っているなどとは思っていませんが、一般的に見て「≒」で示されるものでない事もまた、疑いようのない事実です。ですが私にとってのこの2作品は、非常に近い読後感を持っていました。

一番の理由は、構成が似ている事だと思います。
プロローグとして、まず未来の主人公が語られます。そこから、過去の回想という形を取り、ストーリーの本筋が語られ始めるのです。

2作品とも、メインのテーマは恋愛です。
厳密には異なるのかもしれませんが、少なくとも表層的にはそう見えます。
そんな「恋愛」という普遍的なテーマを持ちながらも、その内容は一般的とは言いがたい、特殊なものとなっています。端的に申しますと、読み手を選ぶ作品です。

そして、「ノルウェイの森」の場合も、「ROOM NO.1301」の場合も、読者に対しもっともわかりやすく衝撃を与えるであろう部分は、共に性の描写であると思われます。
「ノルウェイの森」は、今でさえ不必要と思えるほどに過激な性描写を行った作品ですし、「ROOM NO.1301」も、ライトノベルと油断していましたら、朝チュンとはいえ明確なセックスの描写があった事には少しばかり驚かされました。

細かな点では違いがありますが、と申しますより実際には似ている部分よりもかけ離れた部分の比率が大きいくらいですが、視点をマクロにしたうえで構成を見てみますと、どうやら何とはなしに似通っているという事がわかってきます。そうした部分こそが、同じような読後感を味わう要因となったのではないかと思います。



「ROOM NO.1301」とはあまり関係のない話ばかりになってしまいましたが、最後に2つほど書かせていただこうと思います。

1つは、本著の挿絵についてです。
どういった事情によるものかは私にはわかりませんし、調べようという気もないのですが、文章による説明と、挿絵の描写との間に明らかな食い違いがあったのは、本著における最大の問題点だと思います。
文章と挿絵を合わせるなどという事は、出来ていて当然の事ですから、合わせる事ができずに読者の興を削ぐくらいなら、最初から挿絵を入れない方がまだマシだったと思います。反省すべき悪所と申せましょう。

そしてもう1つ、ある意味私が一番言いたい事なのですが、それは私が「ノルウェイの森」を大好きであるという事です。
最後に読んだのがいつであったか、今ではもう思い出す事もできませんし、探せば何処かから出てくるのは間違いないながらも探そうとは思わないのですが、これだけは断言する事ができます。私の人生において、10指に入る名作の1つである、と。

つまるところ、それとよく似た読後感を持つ「ROOM NO.1301」も、後続のシリーズを考えず、本著だけに限定して考えるなら、良著と呼んで差し支えないと思うのです。それは、前述の挿絵にまつわる不快感を、すべて払拭して余りあるほどに大きな長所なのですから。

そう、後続のシリーズ。それが問題です。
短編集も含めますと、既に2桁に近い冊数が出ているようなのですが、果たして手を出すべきか、出さざるべきか。それが問題なのです。
本著を面白いと感じた以上、常識的に考えたなら、手を出すべきなのかもしれません。何よりシリーズ物なのですから、続きを知らないままにわかったような気になっているのは、作品に対して失礼という考え方もあります。
ですが、続巻を読んでみたいという欲求以上に、今のこの読後感を大切にしたいとも思うのです。悩ましい事この上ありません。
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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