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「リヴァースキス」を読みました

著者は佐野しなのさん、イラストはFuzzyさんです。
本著が著者のデビュー作となりますようです。

リヴァースキス

以下あらすじです。



ある朝、目覚めると俺は美少女になっていた。そして俺の体は、見知らぬ男に乗っ取られていた!?
トモヨシと名乗るその男は交通事故にあい死亡。しかし、この世に残した未練のため、成仏できず俺の体を乗っ取ったというのだ。じゃあ、こいつの願いをかなえ、無事成仏させてやれば問題解決、と思いきや…
こいつの願いは好きな女の子とキスすることで、しかもこいつは俺(美少女版)に一目惚れ!! おまけに俺の親友もこれまた俺(美少女版)に一目惚れしたりして…。
かくして始まるドタバタ劇。第7回「電撃hp」短編小説賞“大賞”受賞作。堂々の登場です。




内容としましては、オーソドックスなTSF、つまりは性転換モノです。
主人公が男から女になり、元の身体を幽霊に乗っ取られるという点においては極めて非日常的ですが、その他の点においては、比較的現実に即した描写がなされています。
「もし朝起きた時に性別が変わっていたら?」という少しばかりコアな妄想に、著者独自の解釈による肉付けをした印象です。

設定上、倒錯的な雰囲気を湛えてはいますが、意図して抑え目にはされていますようで、そこまでフェティッシュという感じではありません。
とはいえ、女性になった元男性の主人公が、元の自分の外見をした男から、ことあるごとにキスをねだられ、親友からも熱烈なアプローチを受けるというような場面が普通にあったりしますので、ハードルは若干高めかもしれません。

その特異な設定に注目してしまいがちではありますが、この作品のキモは、そこにはありません。
この作品のキモは、善ちゃんの可愛さにこそあります。率直に申しまして、ツンデレです。
しかも、「らき☆すた」のらっきー☆ちゃんねる内において、白石みのる氏が言っていた、「時間経過による心情変化」という、本来的な意味でのツンデレです。
更に申しますと、ツンとデレの割合が9:1です。
いわゆる黄金比です。
パーフェクトです。
元が男というのは、この際気にしてはいけません。

普段からツンデレツンデレと書きまくっているので、こういう時に説得力を持たせられないのは心苦しい限りなのですが、それでも善ちゃんの性質を現すに、これ以上相応しい言葉を見つけられません。

同じライトノベルから、善ちゃんに比肩しうるキャラクターを探すなら、“文学少女”シリーズの琴吹ななせ嬢が相応しいように思います。彼女もまた、私の中ではかなり高いレベルにあるツンデレであり、それに匹敵すると申しますれば、善ちゃんの可愛さが如何ほどのものであるか、容易にご想像いただけるのではと思います。

とこのように、称賛するに値する、素晴らしい要素を備えた作品ではあるのですが、幾つか気になる点もありました。
ひとつは、人物のポーズを書き表す際、若干ながら言葉不足、あるいは説明不良な部分があったことです。特に、手に関してのそれが多かったように思います。

もうひとつ、主人公が強すぎることも気に掛かりました。
作中では、「相手が油断するから」というような説明が一応はなされていましたが、それでも女の身で、大の男を5人まとめてのしてしまうというのは、いささか無理があるように思えます。

主人公が武道の経験者というような描写もなく、また逆に親友である啓旬には、男の身体でも敵わないという独白が見られることから、元々人並程度の戦闘力しか持ちえていないという推測が成り立ちます。
強すぎるのは啓旬の方で、善も平均よりは強いということなのかもしれませんが、説明不足の感は、やはり否めませんでした。

とは申しましても、ポーズに関しては、2、3拍分考えれば正解に至れる程度のものですので、ここで違和感を引きずるということはないと思います。
また、主人公が強すぎる件についても、上記の推論で納得するか、あるいは深く考えさえしなければ、そう気になることでもないでしょう。共に、問題としては些末な部類かと思います。



性転換、いわゆるTSFという、割とコアなネタを中心に据えた作品であるため、間口の狭さは否めません。多くの人が、手に取る前の段階で、躊躇してしまうのではないでしょうか。

ですが、実際に読んでみますと、それが先入観による思い込みに過ぎないことを気付くに至るでしょう。先入観に縛られて、この本を手にしないことは、勿体無いと言わざるを得ないのです。

率直に言って、面白いです。良作という評価を与えるに相応しい作品と申せましょう。

さて、気になるのは続巻の可能性ですが、今のところは無いようです。
続きを書こうと思えば書ける幕引きだと思いますが、この作品に関しては、あえて書かないのが正解であるようにも思えます。
いずれにせよ、著者の次回作には期待を寄せずにいられません。
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テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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