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「ティアーズ・トゥ・ティアラ -花冠の大地-」の感想

ようやくクリアいたしました。


ティアーズ・トゥ・ティアラ -花冠の大地-


率直に言って、面白かったです。
欠点が無いわけではないものの、と言うより欠点が多いくらいのゲームなのですが、シナリオと音楽が、それらを補って余りあるほど良かったことが、印象を良い方へと転じさせているのだと思います。

その欠点ですが、グラフィックに3Dを使用していながら、それをさほど活かせていないことがまず一つです。
設定の上では大軍勢がいるだろうシーンなのに、実際にそこへ立っているキャラ数が二十に満たないというようなことが幾度かありまして、だったら無理に3Dにしなくとも、CGでいいじゃないかと思わずにいられませんでした。
Leafの過去作品を例に出すなら、Routesの那須党帰還のシーンのように、描き様は幾らでもあったはずなのですから。

3Dキャラの動きのパターン数も多くはないのですが、開発環境を考えれば、これは致し方のないことなのかな、とも思えます。
ただ、本作では、メインキャラのそれぞれに固有の必殺技や魔法が与えられており、これの発動時に専用のムービーが流れるようになっているのですが、これの出来は良かったと思います。
動き自体が良くなっているわけではなく、エフェクトの被せ方が巧みでした。足りないところをこういう風に補うのは、なかなか上手いと思います。

とはいえ、そのくらいならば予想の範囲内でしたので、欠点と言えども許しがたいというほどではありませんでした。
真に許しがたかった欠点は、他にあります。

このPS3版では、PC版と声優の大半が同じなのですが、色々と事情があったのでしょう、一部のキャラクターについては、その声優が変わっています。
しかし、大半のキャラクターはそのままであるためか、PC版の音声を流用していると思しき部分が多く見受けられます。と申しますか、PC版と同一のシーンでは、ほぼすべてがそうであると言っていいでしょう。

それはいいのです。
PC版のキャストによる声の演技は、どのキャラも特筆に価する素晴らしいものでしたから、再録する必要性を私は感じていませんでしたし、他のプレイヤーの多くにとってもそれは同じだったでしょう。製作スタッフにとってもそうだった、というだけのことです。

問題なのは、どういった事情によるものなのか、一部のイベントにおいて、PC版キャストとPS3版キャストが混在するというおかしな状況が発生していることです。
平たく言えば、キャラクターの声が突然変わるのです。

そんなことか、と思われるかもしれません。
これは、実際に体験してみないと、その凄まじさはわからないでしょう。
私も目の当たりにして驚きました。

もう、物凄い勢いで萎えるのです。
シナリオの世界に没入していたのが、瞬時に現実へ引き戻される感じです。
重要なシーンにおいてこれが無かったのは不幸中の幸いと言えるかもしれませんが、こんなもの、バグ以前の問題です。テストプレイの段階で気付かなかったはずがありません。

はっきり申しまして、論外です。
このような部分を残しつつ、平気な顔をして発売できる神経が理解できません。

などと言わせるほどの欠点が、このゲームにはあります。
ですが、それにも増して良いシナリオを持つ作品でもあるのです。

その大筋はPC版と同一であり、始まりと終わりは完全に同じと言っていいでしょう。
過程において差異が生じており、それが予想していたより良かったのです。

新たなイベントの追加は、新キャラクターのリディア関連で幾らかあった程度でしたが、その他に、シナリオの重要な部分の複線を強化するような形で、随所に小さなイベントが仕組まれており、それがシナリオをより重厚なものへと進化させることに一役買っていました。
終盤あたりは、ややしつこいと感じる向きもありましたが、全体としてみれば、この一連のシナリオの改修は成功と言っていいでしょう。PC版で、足りないと感じていた部分を補うというだけでなく、より強化するという良修正だったと思います。

音楽については、八割方がPC版と同じものであり、それらが元から良かったため、そもそも悪い評価を下しようがないというのが正直なところです。
もちろん、このPS3版で幾つかの曲が追加されているのですが、それらについても、世界観に合った良曲揃いだったと思います。

ただ惜しむらくは、オープニングテーマが変わっただけでなく、ついには一度も使用されなかったことです。
PC版のエンディングテーマの方は、意外な形で使われていましたので、オープニングテーマを作中で聞けなかったことだけが、本作の音楽についての心残りです。

サントラについてですが、ゲームソフトに付属の物と、かつて入手したPC版の物とですべての曲が揃いますので、改めて購入する予定は今のところありません。

と思っていましたら、PS3版のエンディングテーマを含む幾つかの曲が漏れている事実が発覚いたしました。
その数曲のためだけに買うというのも微妙なのですが、終盤にさわりだけ聞いてかなり気に入った曲がありまして、それが入っているとなれば、買ってしまうかもしれません。ひとまずは、収録曲の情報待ちです。



とまぁ、本作の感想といたしましては、このような感じです。

正直、人に勧めるには難のあるゲームです。
PC版のファンか、あるいは無類のファンタジー好きで多少の欠点など気にしないという人くらいにしか、このゲームを心から楽しむことはできないでしょう。
王道ファンタジーとして、非常に優れたシナリオを有している本作ですが、それを味わうには、幾つかの欠点をも一緒に飲み干さなければいけません。
それができる人は、決して多くないと思います。それゆえ、このゲームは人に勧め難いわけです。

とはいえ、個人的には大当たりでした。
作中のとあるキャラの言葉を借りるなら、「胸熱く、心踊る日々」が、まさしくそこにありました。
純粋なファンタジーで、これほど完成度の高いシナリオを有したゲームは、昨今では殆ど見られなくなったように思います。そういった最中にあって、このゲームに出会えたことを、私は幸運に思います。
堪能させていただきました。
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テーマ : ■PLAYSTATION®3
ジャンル : ゲーム

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