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「AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~」を読みました

著者は田中ロミオさん、イラストはmebaeさんです。


AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)


思春期のオタクにありがちな、妄想を異常に肥大させてしまうという、いわゆる「中二病」のお話です。
「中二病風の話」なのではなく、中二病そのものがネタに使われたお話です。
魔女や呪術は言うに及ばず、「飛霊(ヒューレイ)」とか「万里眼」とか「多元異世界ゼウスヘイム」とか「邪神エフェソスメア」とか「サイコダイヴ」とか、そういう単語がもういいからってほどにズラズラ出てきます。

ですが、舞台は現実です。不思議なことが介在する余地など微塵もない、悲しいほどに冷たい現実です。
なので、登場人物の大半は、そうした一般的に見てイタい設定を掲げる人々は、当然のように冷酷無比な扱いを受けます。そして主人公も、彼ら彼女らを冷たくあしらう側の人間です。

こうして設定を見てみますと、なんといいますか、痛々しい話です。それはもう、手の施しようがないほどに痛々しい話です。
舞台は現実で、妄想戦士(ドリームソルジャー)達はひたすらに痛ましくて、それ以外の一般人の反応は冷酷で、対応は残酷で、それはもう閉塞感さえ覚えるほどにどうにもならない世界です。
そんな世界でヒロインは、己の「設定」を頑なに貫こうとする少女であり、主人公は、そういった行動を憎悪するほどに嫌う少年です。
少年は巻き込まれ続け、当然対価など得ることはできず、クラスでは孤立していき、果てには虐めにまで発展します。

絶望的です。
あとで思い返し、クッションに頭を突っ込んで足をバタバタさせるくらいじゃ到底足りません。思い出すたびに後悔の念に駆られて叫びだす程度では、まったく追いつかないのです。
「中二病」とは、後々にまで深い傷跡を残す、恐るべき病なのです。

しかしこれが、面白いんです。
痛快なんです。
一気に読んでしまうんです。

最後の方の主人公は、本当に格好良かったのです。あれこそまさに、「勇者」でした。職業やクラスなどではなく、勇気を携えし者という、本質的な意味での「勇者」です。
客観的に見れば、とてもそうは呼べないかもしれません。ですがその行動の意味は、間違いなく本物でした。意味が本物であるなら、それを宿す体も本物であってしかるべきです。だからこそ、主人公は「勇者」でした。

ややヌルいかなという感はあります。実際のイジメは、もっと陰湿で凄惨なものだと思います。
主人公を取り巻く環境も、恵まれすぎていると言えます。
そういった部分の描写の甘さは、本著の欠点と言っていいでしょう。
ですが、それを差し引いてなお、万雷の拍手を浴びせるに足るほどに、この物語は面白かったです。おかげで一気に読み切ってしまいました。睡眠時間が足りません…
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テーマ : ライトノベル書評
ジャンル : 本・雑誌

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