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円環少女9巻の感想およびシリーズの紹介文

著者は長谷敏司、イラストは深遊
シリーズ第9巻となる


円環少女 (9)公館陥落 (角川スニーカー文庫)


衝撃の幕引きで終わった8巻だったが、この9巻の導入部から受ける驚きは、それを更に上回っていた
意外な人物の背信、そして彼らと戦うことになる主人公
更には、物語の裏に隠れひそんでいた真の黒幕の登場
バトルの描写も多く、8巻以前までしばらく低空飛行だったのを吹き飛ばすかのような、久々に面白いと思える展開だった

このシリーズを知らない人へ向けて、円環少女という作品をざっと説明したいと思う
舞台は、平穏に生きる人たちのすぐそばで、魔法使いが暗躍している世界
万を超える平行世界の向こう側では、そのそれぞれで異なった魔法の大系が確立されており、そこの住人である彼ら異世界人たちは、超常の力を、息を吸うのと同じくらいにたやすく操ってみせる
彼ら魔法使いと人間とが、国や政治も巻き込んで、複雑に絡み合って戦ったり協力しあったりする
それがこの「円環少女」という物語である

以上がこのお話の“真面目な”大筋だ
真面目なとわざわざカッコで覆ったからには、不真面目なほうの特徴というものがあるわけでして、それがなにかっていうと、この円環少女シリーズ、登場キャラのことごとくが、揃いも揃って救いがたい変人ばかりなのだ
たとえば、ヒロインの鴉木(あぎ)メイゼル
彼女は、人が痛がったり苦しんでいるのを見るのが大好きだ
彼女は主人公に惚れているので、特に主人公のそういう表情や態度に、過敏に反応する
具体的にいうと、主人公が苦境に追い込まれて判断に迷ったり苦しんだりすると、その顔や仕草を見てお喜びになるのである
平たく言ってしまえば筋金入りのサディストなわけだ
そんな彼女は十二歳、小学校へ通う年齢であり、実際に通っていらっしゃる
将来が楽しみすぎる逸材だ

ヒロインからしてそんな調子なのだが、この彼女の設定は、どちらかといえばまだ甘いほうだ
メイゼルは、変人で通そうと思えばいけないこともない
十二歳でヒロインというのは倫理的にどうなんだという向きもあるだろうが、それは主人公の問題であって彼女の問題ではないし、主人公は表向きロリコンではないことになっているので、それへ殊更に触れることはしない

閑話休題
この作品には、変人どころではない明らかな“変態”が、少なからず登場する
たとえば、全裸こそ人がもっとも誇り高くあることのできる姿と信じて疑わないような人とか
ガソリン駆動のウインチを腰にすえつけ、それでもって身体中の骨を引き折り肉を引きちぎって喜ぶような人とか
小学生の衣服の匂いを恍惚の表情を浮かべつつ胸一杯に吸い込むような人だとか
包丁持って主人公に愛を迫る人とか
そういうのばかりが出てくるので、相対的にヒロインの変態性もかすむわけである
上記の四人が、すべて女性だったりするのでなおのこと恐ろしい

そんな彼ら彼女らの変態性は、魔法を使うためにそうせざるをえないというだけであって、いわば仕方のないものであるのだが、傍から見ればただの変態でしかなく、実際にそういう書き方がなされているので、変態と断じてしまって問題はないと思う
つまるところ、そのようにやや個性的なキャラクター達がたくさん登場し、活躍するというあたりが、本作の不真面目なほうの特徴だ

それとは別に、あともう一点、本シリーズには特筆すべき特徴がある
それは、魔法に関する描写がやや特殊なことである
通常、多くのラノベにおいては、魔法とは通常ならざる異能であり、魔力とかその他の要素だとかを使って、炎や氷を発したり、呼び寄せたりするものとして描かれる
大筋においては、この円環少女もその例から外れてはいない
この作品中に登場する魔導師たちも、炎を発したり、氷を作り出したり、電撃を飛ばしたりする
少し違うのは、それらの効果を魔力などの要素にはよらず、物理法則を操ったうえでの、あくまで自然現象として発生させることだ
彼ら魔導師たちの住んでいる、万を超える平行世界では、物理法則が主人公たちの住む世界とは違っている
たとえば、ヒロインの住んでいた円環大系と呼ばれる魔法世界では、円にまつわる物の法則に狂いが生じる
例をあげると、水車が勝手に止まったりするのだ
そんな世界で生きていく者たちは、狂った法則のなかに魔法を見出して、やがてそれを操るようになった
それが、この作品における魔法というわけだ
円環大系でもっとも得意とされているのは、電子を操って電気やプラズマを作り出すこと
電子も原子核の周囲をまわる円環なので、魔法で操れるというわけだ
そういう流れでもって、この作品に登場する魔導師たちは、異なる物理法則を操ることで、その結果の現象として魔法を発生させるのだ

この魔法に関する描写、これがかなり面白い
こうこうこうなって雷を撃ちますよとか、爆発しますよとかそういうのが、筋道立てて書かれる上に、その効果が派手だ
幾十、幾百もの凡夫を一人の天才が力によって薙ぎ払っていくさまは、厨臭くは確かにあるが、実際のところ爽快なものだ
このシリーズの面白さの根源も、そうした厨臭さを漂わせるような、緻密でありながらも華々しい魔法バトルにあるのだと思う

以上三点を簡潔にまとめると、以下のようになる

一つ、様々な勢力が複雑に絡み合って、戦ったり協力し合ったりする話
二つ、登場キャラの大半が変人もしくは変態
三つ、魔法に関する描写が緻密で論理的、そして派手

これらの要素が渾然一体となったのが、この円環少女という作品だ
個人的にかなり面白いと思える作品なのだが、一点だけ大きな問題を抱えている
それは「読みづらい」ということだ
一巻から三巻あたりまではまだいい
四巻から七巻にいたるまでの読みにくさは、もはや筆舌につくしがたい
読んでても、書いてあることが頭に入ってこないのだ
迂遠な言い回しも、あそこまでいくと、もはや暗号の領域である
と、それはさすがに言いすぎだろうけど、読みづらいのはまぎれもなく本当なので、手を出すならば、そのことには覚悟をしておいたほうがいいと思う
でも、その読みにくさを差っ引いても、私はこのシリーズが大好きだ
なのでこんな長文になってしまった
この熱意が、この文を読んでくれた人にほんの少しでも伝わってくれれば幸いだ

読み返して思ったけど、これ感想っていうより紹介文なんじゃね?
というわけで、タイトルに紹介という単語を追加してみた
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ジャンル : 本・雑誌

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