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楽園の条件を読んだ

作者は森島明子。

内容は、一話完結の読みきりを幾つか収めた短編集のようなかたちになっている。
登場キャラの大半が職についた大人の女性であるという点も、特徴として挙げることができるだろう。
なかには三十歳と二十歳の、年の差百合なんていう作品まである。
でも、総じて出来はいい。

カッと熱く燃えるような恋愛は、この本には出てこない。
先にも書いたように、登場キャラの大半が既に大人であるせいか、お互いの距離感に無理がなくて、自然だ。
もちろん恋愛なので、やきもきしたり思い悩んだりというような描写もあるけれど、大体がそこまで深刻にはならない。
全体的に、ゆるやかな空気が流れている。
春の陽だまりが似合いそうな本だ。

個人的にお気に入りなのは、本のタイトルにもなっている楽園の条件という作品。
主人公とヒロイン、それぞれの在り方や、その関係性。
すべてがいい。
特に、ヒロインの価値観には唸らされるものがあった。
ヒロインの子は世界を飛び回ってるフリーのライターなのだが、その職業ゆえか、それとも当人の資質なのか。考え方が少々特殊だ。
あるがままをただ大切だと心から言い切る彼女の性格に共感を覚えることのできる読者は、決して多くないだろう。
でもだからこそ、羨ましいと私は思った。
そして彼女の異質さゆえに、主人公がより引き立てられる。
いいカップルだと思う。


楽園の条件 (IDコミックス 百合姫コミックス)

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

オクターヴ4を読んだ

作者は秋山はる。
ファンタジックでもサイエンスティックでもないごく平凡な世界で、どこにでもいるような女同士の、どこにでもあるような恋愛を描くシリーズの第四巻。

三巻は綱渡りのようなあやうい展開に恐怖を感じたけど、この四巻は主人公の無防備さが恐い。
アイドルをやっていた過去があって、顔は人並み以上にかわいいのだが、そのことを当の本人がまるで自覚してないので、まわりから見たら隙だらけなのだ。
そのことに「つけこまれてる」とは主人公の恋人の弁であるが、もっともな意見だと思う。

仮にも主人公の恋人である彼女からすれば、主人公の無防備さは読者にとって以上に恐怖の対象だ。
男性というものがどのような性質を有しているか、世間並みの人生を送っていれば、二十歳を過ぎる頃にはおおよそ知れる。なにせほぼすべての男が本能から女を抱きたがるのだから、知るための機会には事欠かない。美人であればなおのことだ。
だから彼女にとっては、主人公の無防備さがあまりに度しがたいものとなる。それが恐くてたまらなくなってしまう。思わず辛辣な物言いをしてしまうほどに。

でも、その痛烈なことばの数々も、痛い以上に心地いい。
別に私がマゾだとかいう話ではなく、遠慮のない批判の裏には、覆い隠せないほど強い愛情があるとわかるからだ。

主人公を「引き込んだ」のは彼女である。それゆえに責任を感じて、主人公へ好意を寄せつつも、深く踏み込みすぎないようにしてきた。これまでは。
それが三巻で崩れ始めて、この四巻で崩壊が決定的なものになった。

主人公の身体をかきいだいて告げた一言は、彼女にとって初めての「告白」だ。壁を壊し、戻れない一歩を自分の意思で踏みだし発した魂の叫びだ。
ふたりがたどった道程はゆるやかなものでは決してなく、波乱に満ちた険しいものだった。
だからこそあの告白が、重く強く価値を持つ。

三巻で、こりゃねえわって笑うくらいにすさまじい、最上級の百合を見せてくれた本作だけど、四巻ではさすがに落ちるだろうと思っていたその予想を、またしても裏切られた。
いやあ落ちないわ、ほんと。

同性愛を現実に当てはめて考えると、今の日本では過酷と言うしかない状況だ。
ひとには打ち明けられないし、理解は基本的にされないし、結婚の制度がないから社会的な信用も保証もろくに得られない。
多くの百合作品は、そこを避ける。殊更に取り上げることはあえてしない。だから百合作品は、見る者の目にはファンタジックな世界の出来事と映る。
それが悪いと言いたいわけではない。ヘテロなカップルを扱った作品であっても、現実的な要素を廃して核心と決めた要素のみを抽象的に描き出すことで、他作に劣らないおもしろさを発揮しえたケースは少なくない。
百合好きが求めるものは「倒錯した関係」であり「女の子同士のあまい世界」であって、つらく苦しい現実にさいなまれるふたりの姿では決してないのだ。
だから百合から現実を排除し幻想に徹させることは悪ではないし、それを望む土壌があるからこそ供給の生じる余地がある。

けれど、それでも見てみたくなるのだ。
狭量な世界と折り合いつけながら、どうにかやっていこうとがんばっているふたりの姿を。
そんな欲求を満たしてくれるのが、この作品なのです。


オクターヴ 4 (アフタヌーンKC)

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

百合心中を読んだ

作者は東雲水生。
サブタイトルは「猫目堂ココロ譚」。

猫目堂という不思議なお店を中心に、一話完結の物語が綴られていくオムニバス作品。
非現実的な要素が若干出てくるものの、主題はあくまで女の子同士の恋愛、すなわち百合である。

百合というジャンルにおいては、女の子同士が惹かれ合って紆余曲折の末に結ばれる作品が多い。
ラブコメの割合も比較的多く、大抵はハッピーエンドを迎えることにもなる。
それはニーズに答えた結果だと思うし、実際私も百合のラブコメは大好きだ。
でも、ときには切ない展開を見せたり、幸せとは言えない幕引きを迎える作品を読んでみたくもなる。
そして本著ならば、そういう欲求に答えてくれるのだ。

ストーリーはかなり現実的。
本著の世界観においては、女性が女性を想うことは途轍もなくリスキーな行為であり、易々と口にできるようなことではない。
だからキャラクターたちは深く思い悩み、その末に道を踏み外し、心を失ってしまう。
そこで出てくるのが、サブタイトルにもある「猫目堂」というわけである。
そこの少女店主によって道を示され、なくした心を取り戻し、彼女たちは日常へと帰っていく。
ただ、その先にあるのが幸福に満ちた未来であるとは、必ずしも限らない。
そんな本だ。

一言で言ってかなり好みだった。
なかでも一話と二話が特にいい。
人が人を好きになる以上、そこには綺麗事では決して片付けられないような感情や問題が、どうしても生じてくる。
エゴとエゴを間近でぶつけ合うことになるのだから、意見を異にすることなど日常茶飯事だろうし、喧嘩だって当然起こる。
ましてやそれが同性ともなれば、ヘテロのカップルよりも気にしなければならない事柄は多くなるのだ。
まず法的、社会的に認めてはもらえないし、世間一般の常識も分厚い壁として立ちはだかってくる。
周囲の目もある。家族の問題もある。
簡単にいくわけがないのだ。
第三者の心ない言葉に傷つけられることもあるだろう。
無理矢理押し倒されるようなこともあるかもしれない。
気持ちを受け入れてもらえずに身を切るような苦しみを味わうことだってあるだろう。
しかしそれでも、生まれてしまった感情を消すことなどできはしない。
月並みな言い方をすれば、好きになってしまったものはしょうがないのだ。
だからキャラクターたちは悩み苦しみ、そして道を踏み外す。
そんな過程が本作においてはしっかりと描かれていて、そこがいいのである。

細部には甘い点も散見されるし、全体としての完成度はそこまで高くない。
そもそも猫目堂の設定はいらないのではと個人的には思うくらいだ。作品の土台と言える設定なのにもかかわらずである。
つまり、手放しにお勧めできる作品とは言いがたいのだ。

それでも私は、本著に魅力があると思っている。
現実的で、ままならなくて、不条理で。
そういった話ばかりが集められているこの本のキャラたちはしかし、最後に必ず心の落とし所を見つけ出す。誰ならぬ、自分たちの手によって。
この本の、そこが魅力的だと思うのだ。


百合心中~猫目堂ココロ譚 (IDコミックス 百合姫コミックス)

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

384,403kmを読んだ

著者は向坂氷緒。
イラストは玄鉄絢。
サブタイトルは「あなたを月にさらったら」。
「384,403km」というのは、地球の中心から月までの距離なんだそうだ。

内容は、率直に言って百合。
筋金入りのお嬢様たちが集う女子校を舞台に、主人公が意中の少女をいかにして射止めるかというところが描かれている。

妙にエロいと思いながら読んでいたのだが、よく見たら発売元がフランス書院だった。
おかしいとは思ったのだ。ラノベでも朝チュン描写くらいならたまにあるけど、この本はセックスしているところをしっかり書いてしまっている。
どうやら性的な描写が許されたレーベルらしく、そりゃエロいに決まってるわという話。

一応ティーン向けのレーベルらしいのだが、こういうのを10代の女の子に読ませようというのだろうか。
最近の少女漫画は下手なエロ漫画よりエロいと聞いたことがあるけど、その波がラノベ界隈にも押し寄せてきているのかもしれない。

それはともかく、内容についても書いておきたい。
まず、全編通してベタ甘です。
次に、主人公が超のつくドジっ子です。
そしてヒロインは猫みたいな子です。
展開は予定調和的というか、大きな驚きもなく進んでいく感じ。
でもその分、安心して読むことができる。
玄鉄絢氏の挿絵も作風によく合っていて、作品の魅力を増すことに一役買っている。
また氏のイラストの影響もあってか、雰囲気のなかに少女セクトに近いものを感じた。
恋愛勉強會の会長なんて、ほとんど思信そのまんまだ。
内容のシンプルさゆえに、そうしたキャラたちが脇役のまま終わってしまうのだが、それが惜しいと思えるくらいには良キャラ揃いだった。

セックスを濃く描写しているガールズラブ小説なら、既に少なからずあるのではないかと思うのだが、これのようにさらっと書いているような作品は、実のところあまりないんじゃないだろうか。
でもエロの有無を別にしても、予想していたより楽しめる良作だった。正直に言うと、挿絵目当てに買ったというところが大きかったのだが、その思惑に反して内容の方にも十分楽しませてもらえた。
百合好きであれば、手に取って損はない作品だと思う。


384,403km―あなたを月にさらったら (ティアラ文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

バニラを読んだ

著者はアサウラ。
イラストは高山瑞季×曽我部修司。
サブタイトルは「A sweet partner」。

「ベン・トー」シリーズや「黄色い花の紅」を生み出した、銃器と百合とSEGAハードが大好きなアサウラ氏の作品。
初版発行は2007年4月30日。そして私の手元に今あるつい先日購入したばかりのこの本も、初版である。どうやらあまり売れていないらしい。

黄色い花の紅が、百合風味なガンアクションと思わせておいて、一人の少女の成長物語だったので、本著もそういう手合いだろうと踏んでいたら、こちらは正真正銘百合そのものだった。
それもかなり濃い。これは嬉しい誤算だった。

舞台は銃の所持と使用が合法化された、近未来あるいは別の世界の日本。
国内のメーカーによって試作された新型狙撃銃の強奪事件から、物語は始まっていく。
相次いで起こる狙撃事件。
容疑者として浮かび上がってくる少女たち。
追走と逃走。
そして…というような話である。

舞台設定からして銃の多用が約束されたようなものなので、それ幸いとばかりにガンアクションがよく出てくる。
この点は黄色い花の紅と同じだが、あちらは主要キャラの七割ほどが銃器のプロだったのに対し、こちらは素人や、あまり熟練していない刑事がメインを張っているので、銃撃戦による白熱や爽快感はあまりない。
そもそも先に書いたように、本著の骨子は百合にある。主人公とヒロイン、ふたりの物語である。だからガンアクションは、あくまで刺身のツマだ。

しかし、その刺身のツマがまた美味いのだ。
シチュエーションとしては王道的。残弾制限のある長距離の狙撃戦。
相手はSATの精鋭ふたり。対してこちらは数ヶ月前まで銃など持ったこともなかった女子高生。
重ねて夜中暗視のなか、向こうからはこちらが丸見えという絶望的状況。
けれど王道が王道たりえるには、意外性に頼らずありふれた展開のみで読者を楽しませることが必要不可欠だ。
そういう意味では、この作品の展開は申し分なかった。文句なしの王道っぷりである。

そしてツマが美味いからこそ、メインである刺身の味もより引き立つ。
百合として、非常に完成度の高い作品だった。
スタート地点から既にマイナスで始まっているこの物語は、結末へいたっても主役ふたりが幸せだったのかどうか、わからないままだ。
正しくはないだろう。確実に間違っている。
でもほかに手がなかったというのも事実だろう。
その結果に辿り着いた、他人から見れば袋小路のような結末。
だが彼女たちからすれば、それは考え悩み抜いた末に選び取った答えなのだ。
ならばもし彼女たちが幸せでなかったとしても、マイナスはゼロに精算されたのではないだろうか。
そしてその後はきっと、乗算されていくのみだ。そんな風に思う。


バニラ―A sweet partner (スーパーダッシュ文庫)

テーマ : ライトノベル感想
ジャンル : 小説・文学

つぼみvol.5を読んだ

百合のマンガ作品だけを集めたアンソロ本の通算5冊目。
今回の表紙は黒星紅白氏。
サモンナイトやキノシリーズのイメージが強かったので、画風の違いにちょっと驚き。
表紙と裏表紙で2コママンガのようなストーリー性を持たせてある。裏表紙では一転し、眼鏡の子が茶髪の子に迫るという構図。萌え。


つぼみ VOL.5 (まんがタイムKRコミックス GLシリーズ)


例によって目にとまった作品の感想を書く。


 ◇


・つぼみがはじまるよ - 小梅けいと
イラストが2ページ。季節柄か、合格発表風味。
この人が描いた本格的な百合も、いつか読んでみたい。


・エビスさんとホテイさん - きづきあきら+サトウナンキ
唐突に終わった! 予想もしてなかった!
もう少しくらいは続くんだと思ってたけど、語るべきところだけ語って、本当に容赦なく終わらせてしまった。
容赦なさすぎてちょっと物足りなく感じるくらい。本音を言えば、もっとページ数を使って、じっくり落ちをつけてほしかった。
…なんて考えてたけど、読み返してるうちにヒロインの心情がわかってきて、これはこのページ数でよかったのかもと思えてきた。言葉にしてないだけで、言うべきことは態度に出しているからだ。
そして、締めくくりも私好みだった。余韻を残すラストは大好きです。
ともあれこれで全五話ということになるわけだけど、単行本にはできるのだろうか。今はそこだけが気掛かりだ。


・星川銀座四丁目 - 玄鉄絢
このまますんなり結ばれるのかと思わせておいての新キャラ登場。さすがタイミングをわきまえてらっしゃる。
そのキャラが今後も絡んでくるのかはわからないけど、もしそうだとしたら、ちょっとした波乱の展開になるのかもしれない。
あと先生ひどいマジひどい。あれは妙にリアルでいやだ。


・しまいずむ - 吉富昭仁
いつにも増してテンション高い。飛ばしまくり。
思わず素で笑ってしまった。面白い。
百合というより、変な女の子が変なことをするマンガにもはやなりつつある。
よりにもよってなんだあの落ち。見た側の反応に窮する内心が手に取るようにわかるよ…
あとてるてる坊主に吹いた。


・ロッシェの限界 - 関谷あさみ
今になって気がついたけど、この作品は固定の主人公がいるわけじゃなくて、同じ世界のいろんなキャラクター視点で物語が紡がれていくらしい。
今回の内容に関しては、そうきたかーという感じ。タイトルが作品のすべてを表してる気がする。
このエピソードだけなら胸躍る展開だなと無責任に喜ぶこともできたけど、前のエピソードを見ているからそういうわけにもいかず…
百合もヘテロも、恋のままならなさには寸分の違いもない。


・雪のお姫さま - 水谷フーカ
この作者氏にしては珍しい話の流れ。
それでも全編通して明るいのは、そういう作風が根付いてるからなんだろうな。
相変わらずといいますか、安定して面白い。この作者氏ははずれがないので安心して読める。


・キャンディ - 鈴木有布子
可南さんが天然たらしすぎてつらい。
視点は片方に固定のほうがよかったかも。
なんて風に思ってしまうのは、普段私がそんな感じで文章を書くことが多いせいだからなのだろう。
双方の心情を平行して描いていても、この作品は十分いい当たりになっている。
でも、ヒロインの心情を隠しておいて、最後で明らかにしたほうが、より飛距離の大きいホームラン性の当たりになってたんじゃないかと思うのだ。
この辺は好みの問題かも。


・タンデムLOVER - カサハラテツロー
ちょっとレトロチックな有人機動兵器が出てくるという変わり種の百合。西川魯介のマンガみたいだと思った。
でも、内容はちゃんと百合になっている。機動兵器が、描きたいから出したというだけのガジェットで終わらず、作品の一要素としてしっかり活用されてるのも好印象だった。


・ひみつ。 - 大朋めがね
この作者氏のマンガは甘さ控えめであることが多いのだが、今回は砂糖がだいぶ増量された印象。
そのおかげなのかはわからないが、今までで一番読みやすく感じた。
迂遠なようで直接的な言葉のやりとりが、雰囲気出ていて好きだ。


・アシンメトリー - きぎたつみ
姉妹百合というシチュエーションはわりとよく見掛けるのだが、双子の百合というのはなかなかに珍しい。
喧嘩するほど仲の良い姉妹というのはとてもいいものだけど、それがこれだけ巧みに描かれていると、もう悶絶ものだ。


・鬼丸さんの恋 - 宮内由香
最初、宮内氏のマンガだとわからなかった。前回と絵柄が結構変わった気がする。
そして今回はページ数がわりと多め。これまではいつも少なかったので、少しでも長く堪能できるのはありがたいかぎり。
苦言を向けるべきところがあるとすれば、主人公のバカという設定があまり活かされてないあたり。良識あるし根性もあるし、頭もまわる子なので全然バカには見えないのだ。
でも逆に言うと、欠点と言えるのはそのことくらいで、全体としてはよくまとまった良作だと思う。


・わんらぶ - 杉浦次郎
落ちがひでえ。(褒め言葉
この作者氏のことだから、とんでもない展開になるだろうとは思ってたけど、その予想すら甘かった。
とんでもなさすぎだよ…


・葵ヶ丘珈琲店 - ほた。
ちょっとスマートさに欠ける印象。山場を迎えたあたりからが特に。
たぶん、ふきだしで内心を語りすぎてるところがそう感じる原因なんだと思う。あけすけにすぎるというか。
キャラクターはかわいいし、シナリオも悪くないので、これも好みの問題と片付けていいかもしれない。


・スノードーム - 堀井貴介
最初のほうで落ちは読めたけど、溜めてから開放という流れを順守してるせいか、それでも面白く読めた。
こういう構造のストーリーは好きだ。


・プライベートレッスン - ナヲコ
以前掲載された同名作の第二話。つまり連載化と考えていいのだろうか。
前作も、そして今作もかなり好きなので、連載してくれるのなら嬉しいことこのうえない。
内容は今回かなり甘め。前回がほんのり百合風味くらいだったので、それと比べると味は濃くなった。
言うのは何度目になるかわからないけど、年の差百合はやはりいいものだ。


 ◇


こんなところで。

今回は本当にはずれがなかった。掲載作品全部当たり。高アベレージにもほどがある。
似たようなことは毎回言ってるような気がするけど、今回の平均レベルは過去最高だった。「目にとまった作品の感想を」とか言いつつ、掲載作全部の感想を書いてしまっているあたりがその証拠である。

でもその代わり、メーター振り切るような傑作クラスはなかったように思う。
だから全体としての満足度は、いつもより少し高いという程度だ。
まあこの本の元のレベルを考えれば、いつもより少し高いというだけでも十分凄いんだけど。

これだけ良質な百合のアンソロを野口先生一枚で楽しめるなんて、素晴らしい時代になったもんだ。
そして早くもvol.6の発売日が待ち遠しい。今度は5月発売予定とのことである。

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

瑠璃色の夢を読んだ

作者は森島明子。
百合作品を集めた単行本である。

全体的にレベルは高い。だがそのなかでも抜きん出ていたのが…
といつもならば言うところなのだが、今回は言わない。
なぜなら全体的にではなく、“全部のレベル”が高かったからだ。
なので特によかった作品を挙げるというのは難しく、それでも強いて言うならば、これ一冊まるごとというかたちになる。

百合における恋愛のパターンは、私が思っているよりはるかに多く存在しているのだということを思い知らされた。
こんなかたちがあるのか、こんなかたちもあったのかと、ページをめくるたびに思わされるのだ。
考えてみれば、今の地球には60億人もの人間がいるのであり、すなわちそれだけの人格が存在しているということでもある。
物語のきっかけや、一要素として使えるアイテムの総数ともなれば、もはや兆でもきかないかもしれない。
過去未来までも含めて考えていけば、それはもう無限に近い組み合わせがあると言っても過言ではないだろう。

だけど人格とアイテムの画期的な組み合わせによって斬新な出会いを迎えるラブストーリーを作ったとしても、見た者がそれを良いと思わなければ意味がないのだ。
そして多くの人が良いと思えるような組み合わせとなると、総数が60億よりはるかに小さくなるだろうことは想像に難くない。
ヘテロでさえそんな様子なのだから、これが百合限定ともなればなにをかいわんやである。
だから百合作品で斬新さを感じられるような展開というのは、そう多くは見られないのではないかと、そんな風に私は考えていた。

でも違った。
書き尽くされてなど全然いなかった。
作り手の意思ひとつさえあれば、今まで誰も見たことがないような素晴らしい百合作品を、きっと今後も見ることができる。恐らくは、五十年後、百年後、千年後にいたるまでも。
この本と作者氏が、それを私に教えてくれた。


瑠璃色の夢 (IDコミックス 百合姫コミックス)

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

コミック百合姫S Vol.11を読んだ

コミック百合姫S (エス) 2010年 02月号 [雑誌]


既に手元にはあったのだが、FF13を遊ぶのに忙しいので、読むのはもう少し後になる。
その予定だった。
予定が狂ったのは、ある作品が面白いという話を聞いたためである。そうとあっては読まざるを得ない、ということで。

掲載作全部の感想を書くと大変なので、目に留まった一部だけ。


 ◇


・flower*flower - 石見翔子
かなめものアニメ化に際して忙しかったせいか、こちらの連載が止まっていたけど、今号より再開。ちなみに巻頭カラー。
ストーリーに進展はなし。心なしか絵も若干荒いように思える。
こういう幕間的な回も、単行本になった際には必要になるのだろうけど、今回だけを見ると少し微妙か。


・ふ~ふ - 源久也
タイトルの意味が判明したとき、思わず膝を打った。なるほど、たしかにそうだ!
内容は女の子二人が同棲を始める話。甘い。ベタ甘。糖分過多。
表札に、それぞれが書いた名前が並んでいるのは、新生活の始まりと共に、ふたりの覚悟も表してる気がした。
あと、きな嬢の言葉が何弁なのか、気になって仕方がない。博多弁じゃないよなあ。福岡近隣なのは間違いなさそうなんだけど。


・此花亭奇譚 - 天乃咲哉
一挙に二話掲載。総ページ数は七十近い。頑張ってらっしゃる。
無邪気な主人公と生真面目なヒロインの間柄がいい。他意なく素直に好意をぶつけるのって、それができない人物にとっては、銃弾に等しい破壊力を持つと思う。


・幼馴染と呼ばないで! - 黒柾志西
連載第一話。つかみとしてはかなりいい。
短編よりも、長編に向いた作家さんなのかも。


・絶対少女アストライア - 東雲水生
同じく連載第一話。こちらはちょっと微妙かも?
風呂敷をまだ広げきってないのと、展開が急すぎるのがそう思える理由だろうか。
とはいえ、作者氏ならばきっと面白くしてくれるだろうという期待もある。もう二、三話様子を見たい作品。


・HONEY CRUSH - 椿あす
新キャラ二人登場。互いに浅からぬ因縁がありそうな。
そしてストーリーも何気に佳境へ差し掛かってきたように思う。
主人公とヒロインが、ほんの少しずつ、でも着実に距離を縮めていく過程がとてもいい。


・発情2 - 谷村まりか
タイトルの「2」は二乗の意。
好きを通り越して情欲をあらわにするキャラというのはそれほど珍しくないと思うけど、感情を抑え込んでるパターンは結構レアかも。
ふとした瞬間ヒロインの胸や太ももに目がいってしまう自分を気持ちの悪い変態だと考え、葛藤するのが本作の主人公である。
その葛藤が、抑えておけない気持ちの強さを表していて、そこがいいと思った。


・会長と副会長 - 袴田めら
あんなフラグを立てたからには、こういう展開も当然のようにあるだろうと思っちゃいたけど、実際にいざそうなってみると、やっぱり重い。
ハッピーエンドを迎えてほしいとただただ願うのみ。


・ゆるゆり - なもり
クリスマスに二人一組でカップルごっこ。
その発想と、実行へ移す行動力はいろんな意味で物凄い。
おばあちゃん呼ばわりされる千歳に吹いた。でもおばあちゃん=かわいいっていうあかりのセンスもよくわからない。
京子は相変わらず。世界の果てで一人取り残されても生きていけそうなテンション。見た目金髪美少女なのに。


・ふたりとふたり - 吉富昭仁
あれーいいのか、そっちに転がっちゃうのかと思わせておいて、一筋縄ではやはりいかない。
綱渡りのように危うい四角関係。危うすぎて目が放せない。


・南波と海鈴 - 南方純
そうか好きかそんなに百合姫が好きなのか…!


・特盛りプリンを持ってこい - すこやか
脳のネジが二、三本外れてそうな作者氏であり、今回も導入から飛ばしまくってるので、ああいつも通りだなと思いつつ読んでいたら、普通にいい話だった。よく出来たストーリーという意味で。
料理を美味くするのは愛情だ。作り手だけではない。食べる者の愛情もまた大切な調味料なのである。
というお話。


・コノハナリンク - 玄鉄絢
単行本は、
まだですか。
そろそろキャラの相関図が必要な気がする。


 ◇


こんなところで。

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

オクターヴ3を読んだ

オクターヴ 3 (アフタヌーンKC)


作者は秋山はる。
今回はいつもより主観分多めに。

2巻までの流れで百合というか、ガールズラブにあるまじき展開を3巻で迎えるだろうと予想がついていたので、あらかじめ覚悟はしておいた。
そのうえで手に取って読んだのだが、覚悟してたせいかショックはそれほどでもなく。
でも、綱渡りみたいなあやうい均衡がいつ崩れるかも知れなくて、読んでてほんとハラハラさせられた。
別にスリルのあるサスペンスとか猟奇モノなんかじゃなくて、ごく普通のラブストーリーなんですが、そのラブストーリーとしての完成度があまりにも高いから、読んでいると怖くて仕方がないのだ。
キャラクターが自然で、リアルで、生々しくて。
自然だからぎこちなくもなるし、リアルだから間違いを犯すし、生々しいからケンカもする。
次にどう動くかまったく予想がつかなくて、だからこそ怖い。
でもその怖いってのと同時に、面白いって感覚もある。

面白い。
めっちゃ面白い。
百合もヘテロも関係なく、ここまでレベルの高い恋愛マンガを読んだことは久しくなかった。
百合というひとつのカテゴリーでくくってしまうには勿体ないくらいの傑作だ。
ヘテロに百合が劣っているとは思わないが、しかし比べようもないほど認知度に差があることは否定できない事実。
それだけに、百合という1ジャンルに埋没させておくのは惜しすぎる。

いやもうね、ほんとに凄い。
抽象的な比喩でアバウトに書き表すことしかできないほど、ただ凄い。
読むのが怖くて仕方なかったけど、読んでる最中も怖かったけど、読み終わったあとに残った感情の筆頭は、意外にも清涼感だった。
ドロドロした粘性の愛憎渦巻く感覚のうえに、一陣の風が吹いたとか、そんな感じ。

ヒロインが主人公を問い詰める言葉は、胸にきた。
想像もしてなかったから、余計に。
ここからどう転ぶんだろう。
幸せになってくれるといいなあ。

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

オクターヴを読んだ

オクターヴ 1 (アフタヌーンKC)


元アイドル現マネージャー見習いの女の子が、似た境遇の女性と知り合うところから始まる物語
ジャンルとしては百合・・・なんだけどセックスも普通に描いてある
百合とレズは、分けて考えるべきという一派と、言い方が違うだけで同じものだという一派があるのだが、どちらが正しいのかいまだに判断がつかない
分け方としては、性に関する描写があればレズ、なければ百合という感じのようだ

その区分で言えば、この作品はレズに分類されると思う
女同士の恋愛というものを可能なかぎり現実に当てはめて描いてあるので、とかくリアルに見えるのだ
そのリアルさゆえに、「百合」という言葉が持つ幻想的な雰囲気がまるでない
だから区分するならレズであると、そう感じた

だが上記の分け方でいくと、百合関連のマンガの中でも傑作のひとつに挙げられている「少女セクト」という作品は、レズのほうにカテゴライズされることになる
掲載が書店販売のエロマンガ雑誌だったこともあって、毎話必ずセックスの描写があるのだ
しかし個人的な印象としては百合であり、ほかにもそう認識している読者は少なからずいるようである
それは恐らく、少女セクトが女の子同士の色恋を、ひたすらファンタジックに、現実には到底ありえないような箱庭的世界で描いているからなのだと思う

そんなわけで、百合とレズに分けるとしても、その区分けは割と曖昧だ
面倒なのでもう全部百合でいいんじゃねえかと、そんなことを考える今日この頃である

話がだいぶずれた
このオクターヴ、今のところ3巻まで発売されており、差し当たり1巻と2巻を読んでみたのだが、2巻の幕引きがわりかしショッキングだった
読後感が、ちょっとばかりよろしくない
内容はかなり好きなのだが、幕引きの流れがひとつの懸念を生じさせるのだ
その流れを引きずって、長期連載モノの少女マンガがよく陥るような、くっついたり離れたりのグダグダな展開になるのだけは勘弁してほしいと思う
それ以外に文句はない
正確に言えば、「文句のつけようがない」
そのくらいに上質な百合作品でした

テーマ : 百合
ジャンル : アニメ・コミック

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